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異世界転移、失敗?面倒だからどっちでもいい

視界が靄のかかったように掠れ、意識が薄れていく。


面倒だ。

非常に面倒なことになってしまった。


わずかに残る意識の中で、ひたすらに面倒だと呟く。


面倒だ面倒だ面倒だ……


そして意識が完全に途絶えた。


>>>>><<<<<


「んぐっ、重いなぁ」


透過体となった彼女、風角(かざすみ) 寝雨(ねう)を男の娘が運ぶ。


「どうして僕がこんなことをする羽目に…

 そもそも、主様がこんなミスをするから悪いんだ。後で怒らなきゃ。」


ため息をつきながら、世界の境界線を越える。

と同時に、寝雨の体が実体化する。


「よし、軽くなった。」


実体化し、軽くなったその体を思いっきり持ち上げる。


「えいっ!!」


遠く空の彼方へ放り投げた。

防護魔法と一緒に。


>>>>><<<<<


ココハ フカイ モリノナカ

コモレビガ カノジョノ ホホヲ テラス

ジメンガ モコモコ ウゴキダス

ジメンカラ オオキナ モグラガ デテキタ


バーンってなってまた吹っ飛んだ。

山をごろごろ転がり落ちる。

近くのログハウスに強くぶつかって止まった。


「んあぁ、なんじゃぁ?」


ログハウスから、髭を生やしたおじいさんが出てきた。

『あるバス・ダンボールドア』とも見間違えるほど似た背格好だ。


「なんじゃ、女かぁ。わしは可愛い男の娘が趣味なんじゃがのう」

どこかの男の娘さんの背筋に悪寒が走った。


ブツブツ呟きながら、寝雨を家に引き摺り込む。

あいにく防護魔法がまだ効いているので、傷はついていないようだ。

そしておじいさんは、乱雑に彼女を部屋の隅に放り投げると、寝てしまった。


……一ヶ月後


まだ寝雨は寝ていた。どうやら、防護魔法が寝雨の意識が戻るのも守っているみたいだ。

これに気付いたるは男の娘。気配と姿と匂いを完全に消しながら、意地でもおじいさんにバレないように寝雨を連れ出した。


「この子不運にも程があるだろ、主様も主様で悪いけど…」


ぐちぐちと悪態を吐きながら寝雨を運ぶ男の娘。今度は丁寧に孤児院の前に置いた。


「流石にこれでもう大丈夫だろ。」


フラグである。これ以上にない完璧なフラグである。

しかし、男の娘には『フラグ回収回避』という便利なスキルがあるので(誰のせいで身についたのだか…)もちろん回収はしない。無事、寝雨は引き取られた。


>>>>><<<<<


目が覚める。開口一番「面倒だ」と呟く。今回に限っては誰でも呟きかねないので許そう。


「あら起きたのね、ちょうど朝ごはんの時間よ。」


いかにも先生っぽい人が私に声をかけた。

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