異世界転移?面倒だな…
〜ー〜ー〜
やあ。元気にしてるかい?
唐突だけど、僕の名前はまんまるポテチだよ。
今から、生きるのが面倒くさくなった君に天罰として、異世界に飛ばすよ。
多分、あっちの方が生きるのがめんどくさいから、がんばってね。
じゃあまたね!
〜ー〜ー〜
足元に、ありきたりな魔法陣が広かる。
これは異世界転移ってやつだな。
異世界転移ってどんな気分なんだろう。
生身で飛行機に張り付いて飛ぶくらいかな。
だとしたら風が邪魔で面倒くさいや。
何も抵抗することなく、ただただ立ち尽くす。
…‥‥…あれ?遅いなぁ。まあいいや。
面倒なので、飛ばされるまでひたすら待つ。
立つのも面倒くさくなってきたので、座る。
1時間が経過した。
座るのも面倒くさくなって寝転がった。
さらに1時間が経過した。
起きておくのも面倒なので、寝てしまった。
さらに8時間が経過した。
目覚めて気づいた。これ、転移魔法陣じゃない?
ずっとここにいるのも面倒なので、魔法陣から出ようとした。
しかし、謎の壁に阻まれてしまった。
あ、これ結界じゃん。
どうやって出るか、考えた。
でも考えるのが面倒になって、また寝た。
「うおおおぉぉぉぉい!」
誰かが大声で叫んだ。非常にうるさい。
でも耳を塞ぐのも面倒なので、気にせず寝続けた。
「おい、そこだよそこ!まあいいや、みたいな感じで何もしないとこ!」
どうやら、私に話しかけているらしい。
でもそのうち諦めてくれるだろうし、話し返すのも面倒だからいいや。
「ふう。お前ってやつは……」
疲れた様子でため息を吐く男の娘。
その頭には天使を思わせる光の輪っかが掛かり、それを貪る手くらいのもふもふした生物。
なんか存在が邪魔だった。だから、
「サーサードードーキーキー」
数ヶ月ぶりに声を出した。
久しぶりに話すミ○ドラ語は、やはり面倒だな。
ミニ○ラ語は「直感系言語」と言われるほど、相手に頼りに頼った話し方である。
ちなみに、さっき言ったのは「さっさとどこかに消えろ」だ。
どうやら男の娘は理解したようだ。『言語理解』のスキルのおかげだろうけど。
でも、男の娘は不思議な顔をしている。転移魔法を使ってなぜ消えないのか。
そんなの自明の理。だって、結界魔法だもん!
ようやく自分のミスに気づいたようで、魔法陣を消す。
そして、明らかにおかしい量の魔力を手先に集める。
ヒョイッ
魔力の塊を彼女に放り投げた。
そして、跡形もなく消えた。