緒戦
「動いたか……東海め。早かったな」
西園寺孝基はそう言うとコックピットの中で手袋を付ける。
「東モスレムも同様の動きをしている……つなぐ線と言えば」
「相馬の……言うなって『外憲』だろ?」
1式の2番機のコックピットに座った相馬慎吾の言葉に孝基は頷いた。
「突出部を見れば素人でもどこを付けば戦線が崩れるかわかる。ただ……数だけで戦争が決まるわけじゃない」
孝基はそう言うと誘導する兵士に従ってそのままカタパルトへと向かった。
「空軍力の無い東海だ、空中でカタをつけるぞ」
「東和は動くのでは?」
「動きゃしないよ……央都側が有利にならない限りな。こっちは楽に暴れられるんだ」
そのまま孝基の機体はカタパルトに押し付けられ、そのまま空中へと射出される。
「くーこのGが何とも言えねえな」
一気に加速し機体は南へと向かう。山間部の小槍のような岩だらけの景色を抜けてアサルト・モジュールは圧倒的存在感を示しながら突き進んだ。
「相馬……二機で十分だぞ」
「そのつもりですよ」
真紅の孝基の機体の後ろにオリーブドラブの落ち着いた色調の機体が同じく低空を一気に加速して進んでいく。
「見えた」
孝基の言葉通りいくつもの煙の筋が地平線に見える。
「抜けられたみたいだな」
対空ミサイルが数発孝基の紅色の機体に向けて放たれていた。
「アサルト・モジュール相手には……弱いな」
一瞬機体を止めると瞬間に全身から衝撃派が放たれそのままミサイルが誘爆して消える。
「ではこちらも行くぞ」
孝基はそのまま一気に機体を降下させる。先頭を走っていた装甲車両を腰に付けられたサーベルの一撃で砕く。
「隊長……ケレンもいいですが……」
相馬はそのまま高度を保ったまま敵部隊に向けて銃撃を行った。
真紅の孝基のアサルト・モジュールの撃ちだした対人兵器に巻き込まれて東海兵が次々と倒れていく。
「ちょっとこれは一方的過ぎるな……」
「そんな余裕を持ってられるのも……来ましたよ」
相馬が空を見上げる。東海の少ない空軍力を動員しているようですでに三機の戦闘機が上空に待機していた。
「一気に行くぞ」
孝基はそう叫ぶと機体を浮上させた。三機のうちの一機が編隊を崩したのを見ると孝基はそのまま残りの二機に襲いかかる。
「情けは無用だな……どうせ最後はそっちが勝つんだ」
戦闘機がミサイルを発射するがそれはどちらもアサルト・モジュールの標準装備である衝撃波発射装置の影響で無情に分解して落ちていく。
「逃げられるものなら逃げてみな」
反転して真紅の孝基の機体から距離を取ろうとする二機を追い立てる。空中での機動性はやはり航空機に利がありするすると距離が開いていく。
「やれば出来るじゃないか……だが!」
孝基はそう言うとバックパックに固定されていたライフルを握り直し狙撃を開始する。
「隊長……当たりますか?」
「どうにも上手くないな……負けはしないが勝てないってところか?」
「それもいいんじゃないですか……対地攻撃に集中できる」
そう言うと相馬はそのまま大地に機体を降下させた。
野 戦指揮所らしい拠点を設営している敵陣の中央に一気に飛び降り、そのまま対人兵器を使用して陣地を焼き払う。
「また来るぞ」
「どうせ奴らは何も出来やしないよ……ミサイルが通じない以上……」
孝基の言葉が終わる前に一気に距離を詰めていた戦闘機が機関砲を放った。
「こちらの狙撃の方が確率は上だ」
正面装甲に機関砲を受けながらも孝基はライフルで射撃を続けた。うち一発が二機目の敵機の主翼を撃ち抜いた。
「言わんこっちゃねえ……」
そのまま敵機は炎に包まれて落ちていった。




