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初めて見る戦地

「そちらのモニターに俺の機体の画像を送りますから。戦場とはどういうものかよく見ていてください」


 叫ぶように放たれた孝基の言葉に献は孝基が示したモニターに目をやる。


「発進します。さがって」


 整備員の言葉に献はそのままモニターが並んでいる管制室に入った。


 すぐさま孝基の赤い機体が空中に浮き上がり始める。


「赤い機体……紅籐太」


『まあ人はそう呼びますね』


 モニターの中で笑っている孝基。その姿に少しばかり安心しながら献は隣の外部を表示するモニターにも目を向けた。


 あっという間に上空に上がり、視界が開ける。かつて孝基に乗せてもらったのと同じ光景が広がっていた。


『これから州境まで進みます。東和が高度制限をかけていますからかなり慌ただしい映像になりますが』


 孝基の言うとおり一気に高度を下げ住居や木にぶつかりそうになるくらいの低空をひたすら進む画面が映し出された。


「大丈夫ですか」


「殿下……うちの大将……じゃなかった西園寺卿をお信じください」


 いつの間にか隣にいた相馬が献の頭を叩きながら呟く。あまりいい感じは受けなかったがそれでも相馬の言葉に献は静かに頷いた。


『飛んどる……無人偵察機がわんさといるな』


「撃墜しないでくださいよ……東和をこれ以上刺激したくない」


『ラスコーは心配性だな……こっちも数は少ないが飛ばしてるんだ。お互い様だろ?』


 無線から孝基の笑い声が聞こえて献は少しばかり恥ずかしそうに微笑んだ。画面には転々と白い無人偵察機の姿が見て取れた。


『最前線に近いが……対空砲火をしてくる気配は無いな』


 画像には地上が映し出される。膠着しているようで車両は止まったままで周りに兵士がたむろしている様が見て取れた。


「央都軍は本隊の到着を待っているんじゃないですか?」


『それもあるだろうが……全体的に士気が低いんだろうな。そもそも帝室の家督争いだ。死んで英雄になれるわけでもない』


「そうですね」


『おいおい、気にするなよ。兵力は倍以上違うが兼州軍が押し込んでるんだぜ。それだけ兼州側の方が士気に優っているということだ』


「でもそれがいつまで続くか……」


 ラスコーの言葉に孝基は沈黙した。画面にはとりあえずと言うように対空ミサイルを飛ばしてくる敵の姿が見えた。


『戦闘機じゃないんだから歩兵の地対空ミサイルじゃ屁の突っ張りにもならんぞ』


 敵の放った地対空ミサイルは命中するどころか1式のリアクティブアーマーシステムの発する衝撃波で空中で分解していた。これもまたお座なりな防空洗車による対空砲火が孝基の機体を狙うが空中を激しく動き回っている孝基の機体を捉えることはできなかった。


『少しは工夫をしてもらいたいものですねえ……それにしても央都軍はまるで空軍力を使うつもりが無いようだが……』


「本隊が到着するまでは動かないでしょう。こちらもそうですが東和を刺激したくない」


『まあ最もだ……それじゃあちょっと味方の陣地に挨拶してきますわ』


 そう言うと孝基は機体を一気に降下させた。周りが一瞬ぶれたように歪み、そしてすぐさま壊れかけた塔のある広場の景色が周りに広がっていた。

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