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宇宙船

作者: 鈴朗

ここはとある博物館。

かつて宇宙を旅していた数々の宇宙船が展示されている。

私が乗っていた船もまた、展示されている。

古い記憶が呼び起こされ、かつての船員の顔が浮かぶ。あぁ懐かしい。

しばらく眺めていると博物館のパンフレットをしわくちゃにした一人の少年が私の前に現れた。

「おじいさん、この船何だと思う?」

少年は嬉々として私に話しかけてきた。どうやらパンフレットの情報を覚えたため私に自慢したいらしい。

「教えておくれ、坊や」

少年は輝かしい目で船を紹介し始めた。

「この船はね、むかし宇宙人の戦争の時に活躍した船なんだよ。

大っきな砲台でたくさの宇宙人を次々と倒していったんだ。かっこいいでしょ?」

「そうだな、実にかっこいい」

「えへへ」

少年は満足した顔で手を振りながら別の場所へ走っていった。

そう、事実この船は戦争に使われた。しかし敵を倒したというのは違う。

戦争の時、私はこの船の船長であった。そして、宇宙人と勇ましく戦う一人の戦士でもあった。

しかし、宇宙人の科学力は凄まじく、到底かなうものではなかった。

仲間の船は無残に、次々と爆破されていった。

このまま私たちの船も爆破され地球は破滅するのか。

そう思ったとき、宇宙人から交渉を持ちかけられた。

「もしお前が仲間の戦艦を全て打ち落とし、船内にいる部下全員を殺せばもうこの星は攻めないと約束しよう。」

それが交渉の内容だった。私はひどく悩んだ。仲間を殺したくはない。しかしこのままでは多くの命がなくなってしまう。

頭の中で様々な思考が駆け巡るが、一向に答えは出なかった。

その時、私に向かってくる多くの足跡が聞こえた。それは同乗していた船員たちだった。

「船長。私たちは構いません。私たちを殺して地球を救ってください。」

船員たちは迷いのない顔を見せた。

苦渋の決断だった。私は交渉を受け入れ、仲間を殺し、同志の船を次々と爆破していった。

宇宙人はそれを見て満足し、帰っていった。

この船は宇宙人を殺したのではなく人間を殺した船なのだ。

地球に帰ると多くの者から激励を受け、私は英雄と崇められた。

私はそれが嫌で何十年も隠れ自分を悔いていた。

ようやくその悔いを晴らせる。

すまなかった仲間たちよ。今そちらに向かうぞ。

博物館に悲しい銃声が響いた。


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