天使たちのシーン
元気ですか? 私はあまり元気がありません。
なぜなら、あなたにあまり会えていないから。
受験勉強しっかりしないとやばいから頑張って会わないようにしてるけど、
とてもとても、寂しいです。
仕方がないので私は今、小沢健二さんの「天使たちのシーン」という曲を聴いています。
「犬は吠えるがキャラバンは進む」というアルバムに収録されている曲で、
なんと、曲の長さが13分を超える大作です。
緩やかな曲調に合わせて紡がれる日常の風景。
誰もが感じることができる、空間と時間のすべてがいとおしくてかけがえがないものだって教えてくれます。
そんな世界が用意されているんだから、用意してくれた神様だっているでしょ、という歌詞です。(自分の主観バリバリです(笑))
会えない日も多いけど、そういうときはあなたとこうやって出会えたこと、今こうやって頑張っていること、そのすべてに感謝したいと思います。
小沢さんが別の曲の歌詞で言っていましたが、愛が深まるには、距離があることも大事らしいです。それを信じて日々頑張っています。
ではでは、明け方より愛を込めて。
冬になった。彼女は受験勉強の追い込みだ。
それに伴って、会う回数を平日は2、3回に減らした。土日は大体彼女の家で勉強だ。
交換日記もしばらくお休みすることにした。
彼女は志望校の合格率はボーダーラインらしい。
受からなければ浪人するとのことだった。
彼女が忙しくて、あまり彼女に時間を割かなくなった分、僕と彼女についてゆっくりと考える時間ができた。
僕は彼女に対して何らかの責任を果たすべきなんだろう。
将来にわたって成長しあえる関係を目指して付き合ったんだ。長い時間一緒に居るのは望むところのはずだ。
彼女は心理学に興味があり、僕は物理学を専攻したいと思っている。哲学と科学。全く別の視点で切磋琢磨することで、この世界をより深く解き明かしていくんだ。
そう、これでいいんだ。
彼女と付き合うことで、僕は多くのことを学んだ。
一番大きなことは、感情、特に愛情に対しては理屈なんか意味がないってこと。
理屈というのは、価値観の優先順位が客観的にわかってないと意味がないものだ。
愛はそれ自体が正しく、価値観自体を変えてしまう。
だから愛情の前に理屈なんて考えても仕方がない。
愛情には愛情で応えるしかないのだ。
だから、彼女の心には自分の心をぶつけるしかないし、身体には身体、言葉には言葉を返すしかない。そこにできるだけの愛情を込めて。
交換日記を通じて僕が理解した愛。それはこの3つだ。
『彼女を形作るモノに、いいも悪いもないんだ。彼女の人格すべてをありのままに受け入れるのが愛なんだ』
『周りからどう見られるかなんて、関係ない。ヒトの愛の形はそれぞれなのだから』
『愛情にプラトニックも正解もないんだ。思うがまま、求めるがまま、表現することこそが愛情表現なんだ』
彼女が大学行くと遠距離恋愛になる。それもまたいいんだろう。彼女の今日の日記はそれを示している。
だから、かけがえのないこの日常全てに、彼女への愛情を込めよう。全力で生きるんだ。
僕は、自分と彼女のために生きることを決意したのだった。