空の食欲魔人
ふふふ……素敵なお手紙ありがとう。
そっか、私はそんなにあなたに刺激を与えられているのか。嬉しいな。
でも、まだまだ全然あなたの気持ちを書いてくれていない。
私はあなたが好き。とてもとても。
絶対に人に対して嫌な顔をしないところも、
鋭いアイディアでみんなを引っ張っていくところも、
そのくせ私にはいつもしゃべる内容に少し困っているところも、
考え込むとあごに指をあてる仕草も、
全部好き。
あなたのいいところだけじゃなくて、嫌なところを見せてくれてもいいんだよ。
そんなあなたに、今日はマンガを紹介したいと思います。
じゃーん、川原泉さんの「空の食欲魔人」です。
普通の少女漫画とはちょっと違うけど、心があったかくなる話だから、ぜひ読んでみて。
今日はとりあえずこんなところで。
おうちから愛をこめて。
彼女から交換日記とともに渡されたのは一冊のマンガだった。
読書感想文ならお手の物だ。
生徒会活動が終わった後、僕は依然やっていた部活に復帰するか悩んでいた。
体育会系で半年のブランクは大きく、このまま続けてもレギュラーは取れそうにないが、エンジョイ目的で参加してもいいのか迷っていると、彼女はこういった。
「私の高校生活はあと半年ちょっとしかないから、私に時間をくれないかな?」
それは彼女のエゴだったのか、迷っている自分の背中を押すためのものだったのかはわからない。
けど、その言葉で僕は部活に復帰することなく、彼女との時間を優先することにしたのだ。
さて、紹介してくれたマンガを読もう。
読んでみると、確かにイメージしている少女漫画とはちょっと違う。キャラのデザインはまんま少女漫画チックなのに、内容はなんといっていいか、所帯じみているものが多い。普通はもっとキラキラした恋愛を描くものじゃないの? 一目ぼれとか、三角関係とか。このマンガはどちらかというと、ドラマチックな恋じゃなくても、大きな困難が無くても、普通に付き合えばいいんだよということを訴えかけているような気がする。それなりのきっかけとちょっとした困難の先に、幸せが落ちているってことがよくわかる。
僕は筆を執った。
こんばんは!
「空の食欲魔人」読みました。
とても面白かったです。
なんというか、恋してないけど恋している感じがじんわりと胸に来ました。
一番好きなのは月夜のドレスですね。みんながいい人で尊重しあってる関係がいいです。
僕も貴女とこういう関係が築けたらな、と思います。
「空の食欲魔人」みたいに、長い時間を一緒に居ることで、相手の欠点を知ってて許しあう関係も素敵だな、と思いますし、ほかの話にもあるように、長い時間をゆったりと過ごすことで、お互いに、そこにいることが当たり前の存在になれればいいな、と思います。
恋に落ちる瞬間って、ちゃんとわかっていけないのかな、と考えていたんですが、自然と恋に落ちていってもいいんだ、と思って少し気が軽くなりました。
とにかく、紹介してくれてありがとうございました。
今日はこの辺で。好きですよ。