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引っ越してきたときに、手土産を持って訪ねたのだが、チャイムを押しても何の反応も無かった。


留守なのか、中にいるのかさえもわからなかった。


俺は面倒くさくなってきて、その後隣の部屋は訪問していない。


俺は考えた。


ひょっとしたら、音を出すのは引越しの挨拶がない俺に対するあてつけなのかとも思ったが、よく考えてみるとどうもそんなものではないような気がした。


嫌がらせで音を立てているのであれば、もっと大きな音を出すだろうし、なにも暗闇の中でやる必要がない。


あの音は俺などとは無関係なところで鳴っているのだ。


それにしても暗い部屋で毎晩奇妙な音をたてる隣人なんて。想像すると背筋が寒くなってきそうだ。



あれから一ヶ月が過ぎた。


音はまだ続いている。


一日も欠かすことなく。


そして二ヶ月が過ぎた。


音はまだ続いている。


一日も欠かすことなく。


真っ暗な空間の中で。


毎晩毎晩俺に容赦なく圧し掛かってくる恐怖、不安、不気味さ。


俺はたまらなくなった。


もう我慢なんて一秒たりとも出来ない。


ある日、勢いよく部屋を飛び出した俺は、そのまま大家の元へとむかった。


「それはそんなに大きな音なんですか?」


「いや、小さいとは言えませんが、大きな音かと聞かれると、そうとも言いきれないんですが」


「生活音程度では、こちらも対応しかねますが」


「いや、音も問題なんですが、それよりも……」


俺はその音が、灯りが一切点いていない真っ暗闇の中でたてられていることを、大家に何度も強調した。


「真っ暗な中で音をたてているのが、気味が悪いと言いたいんですか?」


「そうです。そうなんです」


大家は笑い出し、そして言った。


「それが気になると言うのなら、何の問題もありませんよ。だってあなた、あの部屋に住んでいる人は、目が見えないんですから」



       終

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