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6話 登録

俺はセリーヌさんを連れて、アルバンティーア国の町に繰り出していた。


街中を歩くのは面倒だが、あのような悪い環境にずっとセリーヌさんを置いておくのも悪い。


面倒ごとは嫌いだが、セリーヌさんにはとてもよくしてもらった。一緒にいるといったし、比較的健康になったとはいえ、まだ体格的にやせ細っている。衣はどうでもいいが、食、住はなんとかしたかった。


その辺りの問題を解決してから、セリーヌさんに癒されつつ、発動するスキルを纏めていこうかなって思ってる。本来スキルが命に関わるのだから、先にやるべきだが、面倒だからいい。戦いにも使ってないから、いつの間にやらポイントは300近くになってるし。


「へ、身分証明書?」


俺がとりあえず持ち金の一部を使って、宿をとろうとすると、身分証明の話をされた。


「最近何かと物騒だからね。身分証明がないと止めるのは難しいねぇ」


「まじかー、どうすっかな」


「ごめんねー。私は持ってるけど」


「身分証明にもお金はかかるが、ここの宿にある程度泊まろうとするならそれくらいはあるだろう。なら、あっちのギルドで、すぐに発行してくれる」


「ありがとうございます、親切ですね」


「何、あんたはここらで見ない顔だし、それくらいはいいさ。登録したら是非この宿を使ってくれ」


優しいなー。最初荒くれ者はいたけど、ああいう分かりやすい悪のほうがいい。日本だと、ある程度一般人なのに、中身がクズだとか普通にいるもん。



「じゃあ行こうか、セリーヌさんもついてくる?」


「もちろん?」



そして俺の腕にぎゅっとしがみついてくる。あー可愛い。いい香りするし癒される。でも彼女ではないというね。


というわけでギルドに来た。


最初セリーヌさんが報酬をもらうときに、ちらっと見ただけだったので、記憶に薄かったが、見た感じは、市役所に近い。


入り口の文字を見る限りでは、仕事の斡旋もしているから、市役所兼ハローワークに近いかな。


「いらっしゃいませ。今回はどのような用事でしょうか?」


「えーと身分証明書の作成をお願いします」


「はい、ではこちらの用紙に住所と氏名と年齢と職業を書いてください」


「えーと、明確な住所は無いんですが」


「不明な場所は未記入で構いません」


そこら辺は冒険者も多い異世界ならではか。日本で住所なかったら、絶対にいろいろ面倒になる。そういうところ好き。


「えーと、大山誠、19歳、職業……、いちおう魔法使いでいいか」


「はいありがとうございます。では登録料1金貨をいただけますか?」


「はいお願いします」


金貨1枚を渡す。登録料1万か。高いな。


「はい、これで身分証明書の発行手続きは完了しました。発行まで少しお時間がかかりますので、具体的な説明をいたしましょうか?」


「あ、はい、お願いします」


「はい、では説明いたします。あなた方は身分証明が完了いたしましたので、これで、宿に泊まったり、このギルドのサービスを受けることができます。そして、身分証明のカードが発行されます。ちなみに、このカードはギルドの仕事依頼を受けるのにも必要になります。ギルドの仕事の内容は大きく分けて7ランクに分かれていまして、下から順番に、黒、白、黄、赤、青、紫、金になります。カードもこの色に分かれていまして、最初にお渡しするカードは皆さん、黒色です。ギルドの仕事依頼を受けて、その成果によって、ランクがあがっていきます。仕事を請けられるのは、そのカードと同じかそれ以下の色の依頼のみになります」


「へー、あげるにはどうすれば?」


「赤ランクまででしたら、同じランクの依頼を3ヶ月に5回成功できれば、自動的に上がります。赤から上にいくためには、同じ条件を満たした上で、月に1回行われる特別な仕事依頼をこなせれば上がります。また、2つ以上ランクが上の人から推薦をもらえれば、例外的にあげることもできますが、上がった人が3回連続で仕事を魅すると、本人と推薦した人は2段階降格になります」


「不正を防ぐためですね」


「はい、また、受けられる場合は、壁に貼ってある依頼用紙を剥がして持ってきていただくか、あらかじめ、あちらの用紙に条件を入れていただければ、こちらで該当する依頼を探し、該当するものがあれば、身分証明書に、依頼があったと連絡させていただきます。この場合は、かならずその依頼を受けていただく必要はありませんが、依頼を受ける場合でも受けない場合でも、1週間以内にかならず、こちらで手続きをしてください。その手続きがなされない場合は、ペナルティがありますので、ご注意ください。他に何か質問はございますか?」


「この身分証明書を失うことはありますか?」


俺が気になるのはそれだ。どうせそこまで仕事依頼とか受けないし。


「3ヶ月以内に、1度も仕事をされていない場合は、ランクが1つ下がります。黒の方がこれを行った場合、失われます。また、犯罪を犯した場合、程度によっては、2ランク以上の降格、あるいは取消し、停止があります」


「分かりました、ありがとうございます」


「はい、ちょうど完成したようです、どうぞ」


黒色のカードが手渡される。


顔写真のない免許証みたいな感じだな。一応俺は持っていた。ペーパードライバーだが。


「さてと、来たならなんかやっていけばいいかな」


3ヶ月以内に何かやらないと失効するなら、今受けといて、さっさと済まそう。今日帰ると、もう1回来なくちゃいけなくなる、面倒くさい。



「どれにするー」


「えーと、何々、黒ランクは、仕事多いな。やっぱ黒の人も多いんだな」


セリーヌさんと一緒に掲示板のところまで行く。


上のほうに色が書いてあって、黒と白が圧倒的に多い。


ちらっと紫を見てみる。ドラゴンの討伐とか書いてあるな。いかにもやばそう。


「えーと、落書きを消す、マウスの駆除、ゴミ処理、家事手伝い、運送、材料の仕入れ、飲食店の1日ヘルプ……、なんというか……アルバイト?」


エルフがいる世界のファンタジーな内容とは思えない。


「そういえばセリーヌさんって黒なんだな。普通に仕事してるなら、白か赤にはなってそうなのに」


「私、病気がちだったから、あまりたくさんできなかったり、できても満額の報酬がもらえなかったりしたからねー。成功っていうのは、満額もらえる成功をしないといけなかったからー」


「そこら辺はシビアか」


「今回は家事手伝いがあるから、これにしようかな。今体調もいいから、成功しそうだよー」


あの家事スキルは確かだ、多分大丈夫だろう。


「えーと、俺は……、いいのがないな……」


単純な肉体労働はあまりしたくない。クズといわれようがそれはしたくない。


「となると、ん?」


下のほうにちょっと色が他のものよすくすんだ依頼書があった。


『幽霊退治。人が少なくなって、幽霊が住み着くようになった村の幽霊退治を依頼する。成功報酬として10金貨、また別に、この場所を開拓したときに、1件家を無償でお渡しします』


「これって、本当に黒ランクの仕事なのか?」


ぶるぶる……。


「セリーヌさん?」


俺がその依頼書を手に取ると、セリーヌさんが、かなり震えだした。


「誠くん、それはちょっとまずいかもしれないよー」



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