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27話 ラビリンス

ドーン!!!


「うるせぇな……」


朝の基本的に弱い俺にとって、朝起こされることは何よりも不快である。朝起きて死んでるよりも多分辛い。


「おはようー。誠君」


「おはようございます、誠様」


まだ太陽が上がりきってもいない時間なのに、セリーヌさんとジェニーさんは起きてるし。いつ寝てんだ。


「くー」


「すぴー」


ロロは静かに寝ている。マリートさんは寝相が悪いのであまり見てはいけない。ただ同じなのは二人とも寝つくはかなりいいみたいだ。


「外は何が起きてんだ」


「戦争中みたいだね」


「神野様……、戦争を避けられなかったんですね……」


ジェニーさんが心配そうに窓を見る。


窓の外ではちょうど戦争中のようだ。面倒にもほどがある。


戦争は考えることが多くて大変だな。戦争そのものがなきゃいいのに。


『了承です。戦争迷宮アウトラビリンス


ん? なんか発動したな。


シーン……。


「あれ? すごく静かになったよ」


よし、事情は知らないけど静かになったならいい。寝る。



「くぁ~」


そしていつもの時間に目が覚める。太陽が大分高い時間だ。


「おはようございます……」


「おはよー」


ロロとマリートさんが声をかけてくる。さすがに2人ともこの時間だと起きている。


「おはよ誠君」


セリーヌさんは昼食の準備をしてくれていた。


「? ジェニーさんはどこに行った?」


朝目が覚めたときにはいたはずだが。


「ジェニーさんは外の様子見に行ったよ」


「外? 朝すげー騒がしかったけど大丈夫なのか?」


「うん、それがね」


セリーヌさんが窓の外を指す。


「全然騒がしくないな……、というか、異様な雰囲気が」


外では戦争の気配などまるで無かった。かといって人気がないかといえば人気はある。


だが、違和感はあった。


「何で鎧を着た騎士みたいな人や魔法使いみたいな人が皆放心状態になってんだ?」


一般人は普通の状態なのだが、いわゆる戦争のための支度をしたような見た目の人が全員座り込んで

まるでひとつの戦いを終えたようにくたびれている。


「その状態がおかしいから、ジェニーさんは神野さんと合流して情報共有してるみたいだよ」


「なるほどな」


まぁ戦争してないならいい。


でも何でかは気になるな。



『了承しました。説明します』


いつもの声お疲れ様です。


戦争迷宮アウトラビリンス。戦争の意思がある人間は意識を肉体ごと亜空間の迷宮に送り込まれます。

戦争を絶対にしないと心の底から思えば戻れますが、この効果は2回以上発動しますので、何度も迷宮に戻ってしまいます』


「ずいぶんこれまでと比べておおがかりな効果だな」


事実上の戦争不可能の効果と言うわけか。


「戻りました。皆様戦争の意思がすっかりなくなってしまいました。ラルド様含めジノヴァ王国の要人は行方不明のままで、戦争は事実上不可能。結論として神野様とクララベル様の婚姻は成立いたしました」


そりゃよかった。しかも今回こそは俺の手柄であることは分からないだろう。


「さすがですね……、誠さむぐっ?」


「おー、ロロ、口元が切れてるぞ? いつ怪我したんだ?」


危ない危ない。ロロはぼんやりしてるから忘れそうになるけど、魔物サイドの奴だから敏感なんだ。


また手柄を立てたのが俺と言う話になるとここにいずらくなる。今ここにはジェニーさんがいるから、

容易にここの勇者の耳にはいってしまう。


「誠君だよね。この戦争になりかけたの止めたの」


安心しかけていたら、まさかのマリートさんがばらしてしまった。この人は何者だ。


「やっぱりね」


そしてそれにどういうことすら聞かずに対応するセリーヌさん。


「はぁ、そうだよ俺だ俺。まぁいいか。ジェニーさん、俺がやったってことは黙っててくれ。

俺目立ちたくないんだ」


「詳しい事情は分かりませんが、誠様のおかげでしたか。ありがとうございます。お尋ねはいたしません」


今回の件は前の町での事件と違い、いろんな人が見ている中やったことではない。


今ここにいる人さえ何も言わなければ、まず分からないだろう。










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