25話 ベタな争いごと
「今日は何もなさそうだな」
俺は次の日に外に出た。
なぜかというと、俺は原則としては外に出たくないのだが、全くでない状況を継続的に続けすぎると、いざ出なくてはいけなくなったときに本当に出れなくなる。会話も必要最小限しかしてないから、面倒でも多少外とのかかわりは持っておくべきであるからだ。
ただ……。
「誠くん、ここのお料理結構アルヴァンティーア国と違うんだよー」
右手にセリーヌさん。
「…………ここちょっと日差し強いです……、人込みは少し少なくていいですけど……」
左手にロロ。
「ランラーン。わーい」
正面にマリートさん。
「…………」
後ろにジェニーさん。まぁ目立つ。
誰かを置いていくというわけにもいかないので、全員連れてきたが、俺みたいなのが、可愛い女子4人もつれていたら、そりゃ目立つ。
しかも、セリーヌさんとロロに至っては、俺にくっついているわけです。
これがさ、有名人で、イケメンな勇者水口さんとか、勇者神野さんだったら大したもめごとにならんわけですよ。
でも俺は有名人でもないし、イケメンでもないし、しかもイケメンであろうとする努力もしていない。
するとですね。よくあるもめごとが起こるわけです。
「ジェニーさん、その人は誰だい?」
なんかイケメンの金髪が寄ってきた。とても女性にモテそうだな。かっこいい。
「ああ、この方は私の友人のマリート様のお知り合いの方です」
ジェニーさんの知り合いか。だったら、面倒なことには。
「ぜひとも可憐なお嬢様とは知り合いになっておきたくてね。よろしく」
チャラ男みたいな仕草で俺の横らへんを見てポーズを決める。
すげぇな、俺はイケメンに生まれたとしても恥ずかしくてそれはできない。
目線の先を見る限り、このイケメンの好みはセリーヌさんか。見る目あるな。ロロに向けてたら、ロリコンだもんな。まぁこの2人年齢1個しか変わらないけど。
そう考えると、ロリコンの定義は年齢に置くべきか、見た目に置くべきかということになってくるな。
「……の許可なんかいらないでしょ」
「ううん、ごめんなさい」
おっと。余計なことを考えているうちに話が前に進んでた。多分だけどセリーヌさん断ったな。
「ど、どうしたんだい? 変な魔術でもかけられたのかな? どうして僕みたいなイケメンじゃなくて、そんな奴の腕をとってるんだい?」
「えーと、私あなたのこと知らないし……。イケメンだからどうというのでもないんだけど……」
セリーヌさん遠回りに俺のイケメンを否定してるけど……。
「おい君、彼女を開放してあげなくちゃいけないよ。無理やりに言うことを聞かせるような奴隷にするのは、この国の制度で禁じられているはずだ」
「そうは言われましても……、俺そういう魔術使えませんし、セリーヌさんが嫌と言っているものを強要もできませんので……」
なるべき穏便に済ませようと考えた。
「ふざけるなっ! 勝負しろ!」
「嫌です。俺にメリットないし、面倒くさいし」
「僕をバカにするな!」
パァン!
銃が放たれた。
『スキルセレクト、いつものやりまーす』
ガン!
多分絶対硬化が発動したと思う。最近いちいち内容を聞くのが面倒になってきたので、発動した結果だけを教えてもらうことにした。便利である。
「な、な……」
「いきなり人に銃を向ける人を私が好きになると思うんですか」
「す、すいませーん」
セリーヌさんに怒られてヘタレる男だった。ちなみにセリーヌさんは天使のように優しく、散らかってる部屋を片付けるのが大好きなので、俺が出したものをしまわずそのままにしておいても、毎日整理整頓してくれるし、俺が寝起き機嫌悪くても、いつも笑っている。
だが、1度だけものすごく怒ったというか、恐怖を感じた出来事があったことは覚えている。
確かロロと出会って少し経ったくらいだったかな。