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18話 スキルセレクトVS未来予知

「貴様ら! よくも私のドラゴンを…………滅ぼしてやる」


「こっちこそリアリスの仇! 決着をつける」


また面倒な展開になってる。


しかも今度は普通にここにいるから逃げづらいな。


いや、逃げづらいといっても、スキルがあるから、物理的には逃げれるよ。でもさ、このタイミングで逃げたらさ、ものすごく今後ここに来づらくなる。


俺だけなら別にいいけど、セリーヌさんやロロに悪影響が行くのはとても困る。


…………ここはスキルセレクトさんに頼るか。


「…………ぐはぁ!」


「コウジ!」


「コウジさん」


満身創痍の勇者水口では、ヴァイパーには苦戦していた。


あくまでも前回の戦いで倒せたのはヴァイパーの扱う魔物だけ。ヴァイパーは無傷なのだ。


「わはははは! 私がこの国を支配し、魔王様に魔力を献上しよう」


ヴァイパーは能力を使ってどんどん押し切る。


ああ、もう面倒くさいな。何でしがらみが増えていくんだよ。俺はただのんびりしていきたいのに。


仕方ない。ちょっとだけ動くか。まぁ動くのはスキルセレクトさんだけど。


「誠君!」


「危険だ! 前に出てはいけない!」


俺がゆったり前に出ると、セリーヌさんと勇者水口が俺を止めてきた。


まぁ俺もやりたくないし。でもさ、ここで1回片づけとかないと、面倒な展開になっていくじゃん。


何も考えなくてもいいけど、何もしなくてもいいというわけではないということか。


「何だ貴様は。なぜ私の前に立つ」


「なぜと言われましても、ここは一応俺たちの居住区ですから、ここが襲われると面倒なことになる」


「なるほど。わかりやすいな。我々を悪というか」


「悪とは思いません。俺は俺の周りが平和ならそれでいいんです」


のんびりと何も考えないようにするためには、ここでにげることができなくなってしまった。


「はっはっは、より分かりやすい。だが、その実力が伴っているかな?」


「いけない、目を見ては! 心を読まれる!」


助言が勇者水口から飛んでくる。なるほど、目を見ると、そうなるのか」


「…………む?」


しかしヴァイパーは余裕じみた顔がなくなった。


心を読むと言われても、スキルセレクトさんが俺にどういうスキルを選んで戦ってくれるかは俺にもわからないのだから、もちろん心に思うこともできない。だから、ヴァイパーにもわかるはずがないのだ。


「見えぬ。見えぬが……、しかし、そのような無防備な姿で!」


ヴァイパーが炎の攻撃を放つ。とんでもなく大きく、俺が避ければ間違いなく後ろが吹っ飛ぶだろう。


「スキルセレクト、熱量制圧サモネーター。ポイント消費は10です」


何か勝手に発動すると、大きな炎は熱量を失って消滅した。


「何? 何かをしたような感じではないが」


まぁ俺は何もしてないからな。


「ならばこれならどうだ!」


さらに連続で打撃攻撃が飛んでくる。


「熱量制圧を解除、絶対硬化を発動させます」


しかし打撃攻撃に対しての防御は、絶対硬化があればまずダメージを受けることはない。


「これならどうだ!」


こんどは高速で電流が飛んできた。


「絶対硬化を解除、絶縁線ボルトアウトを発動します。スキルポイントは10です」


俺の前で一瞬稲妻が光ったが、何もなく消えてしまう。


「くっ、貴様、何をしている」


何もしてないです。


その後も水、氷、風、さまざまな魔法が俺に飛んでくるのだが、全部スキルセレクトさんがなんとかしてくれる。


本当に何もしてないです。


「一体彼は何使いなのだ」


ちょうど真後ろに勇者水口とかいろいろなメンバーがいるので、普通に聞こえてくるな。本当に俺は何使いなんでしょうね。


「私にもよくわからないけど、誠君は誠君だよ」


「……そうですね。ちょっと変な人ですね。よくわからないんですけど」


冷静に考えると、俺って何にもアピールしてないから、どういう人って話だもんな。


「はっはっは、だが防戦一方だな。受けるのは上手いようだが、守っているだけでは勝てないぞ」


最もです。でもこのスキルさんはあまり自発的には動いてくれないもので。さてどうすればいいのやら。





「くそっ。何とか加勢をしたいが……」


勇者水口は誠が戦っている状況になんとか手を出そうと、隙をうかがっていた。


「……すいません。あまりうかつに動くと、大変かもしれません……」


「君は……ロロさんだっけ? どういうことだ?」


「あの人は相手の動きや思考を先読みして動くスキルを持っているんです……。誠さんがどうやって攻防しているのかは私にも分かりませんが……、思考を0にしていけないなら……、かえって誠さんの邪魔になる可能性があります……」


「……そうか…………、君はあの魔物について詳しいのかい?」


「…………私のお父さんがそういうことに詳しい人でして……」


「なるほど…………、じゃあその手立てがないんなら、動かないほうがいいということか……、くっ、何もできないのか……」


「このままだとあの人が不利になっちゃうよね……。魔力は魔物のほうが高いことが多いし……」


一進一退の攻防だが、一般的にはこうなると魔物のほうが有利といわれる。


知力は別としても、基本的には魔力や体力では魔物が人間を上回っていることが多い。


それを皆知っているので、先ほどまで押されていた相手を押さえている誠をすごいとは思いつつも、楽観的には慣れなかったのである。


「大丈夫だよ。誠君なら。ねっ、ロロちゃん」


しかし、そのような重苦しい空気をセリーヌが一言で覆した。


「そうなんですかね……」


「そっか、ロロちゃんは誠君の戦いを見たことがないもんね。でも大丈夫だよ。あれは、苦戦してるわけじゃないと思うもん」




俺のスキルセレクトさんは、魔法に対しては適確な防御、打撃攻撃に対しては絶対硬化で完璧に受け続けていた。


「ふっ、そんな余裕も今のうちだろう。そろそろ体力も魔力も底をつきかけているだろう」


ヴァイパーが何か言っているが、俺は全然疲れていないし、そもそも魔力の概念もない。


幽霊騒動以降は、ほとんど戦いにスキルセレクトさんを使っていないから、ポイントは5000を余裕で超えていて、30分ほど戦っているが、まだ200くらいしか減っていない。同じ計算なら400で1時間として、半日くらいはこのままでもいい。


「まぁ、全然大丈夫ですけど……」


「……ははははは、まだ強がりを言う余裕があるか! ならば先ほどまでの生ぬるい攻撃ではなく、本気の攻撃を見せよう!」


するとヴァイパーは腕に力を込める。腕が3倍以上の太さになり、それを振り下ろしてくる。


「これが私の本気の打撃攻撃だ!」


あ、なんかやばそうだな。


『絶対硬化解除。威力反射カウンターを発動させます。スキルポイントは50です。なお、このスキルは発動後、自動的に解除され、絶対硬化に戻ります。この戻るときにはスキルポイントの消費はありません』


ゴンッ!


「グギャアア!?」


ヴァイパーの攻撃は確実に俺にヒットした。だが、鈍い音がしたと思うと、ヴァイパーのほうが苦悶の表情を浮かべて、後退する。


「……お前はなんなんだ! お前の動きを読んでも、お前は一歩も動かず何もしないだけ! なのになぜ……」


「それが俺のスキルだよ。何も考えないことこそが、俺の力になる」


「い、意味の分からないことを……」


「意味ならあるさ。無駄に考えたりするのは、面倒なことだからな。お前なんて、相手の心を読んで動くわけだから、考えることばかりで大変だろ。俺もこれ以上はめんどうだからさ」


『スキルセレクト、絶対硬化解除、魔力放出マナバーンを発動します。相手の生命力は現在600ですので、スキルポイント600を消費します』


えらい使うな。でも説明的には意味は分かる。


「ぐぁぁぁ!」


俺の体から白いもやみたいなものが出ると、ヴァイパーの体からも黒いもやみたいなものが出る。


どうやら、俺の生命力、俺の場合はスキルポイントだが、それを放出することで、相手の生命力も放出させる技みたいだ。俺はスキルポイントだからいいけど、実際使うとなると、かなりリスクのある技だよな。


「……ラガルト様……、カイエト様……、申し訳ございません……」


そしてヴァイパーは倒れた。


…………、待てよ。このままヴァイパーがやられてしまうと、俺が倒したことになるよな。そうなると面倒くさいことに……。


『魔力放出解除、現在発動中のスキルはありません。600消費予定でしたが、ご主人様の思考により、途中で止めましたので、消費は590です』


ん?




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