脳内コピー
「さて、これからどうするか」
俺は魔王城からかなり離れた森の中で一人さまよっていた。
何故俺があの状況から脱出できたのかというと、話せば長くなるが、いや全く長くならないな。
俺はドアを開けると同時にあの部屋にいた奴ら全員に催眠魔法をかけて、記憶の改ざんをした。今頃あいつらは俺が死んだものだと思い込んでいるだろう。
俺はあの後支度して魔王城を出たのだが、うっかり迷いの森と呼ばれるところに入ってしまった。仕方ないだろやっと自由になれたんだから、浮かれるのはしょうがない。
「適当に歩いてたらそのうち抜けられるだろう」
ひたすら歩き続けていると光が見えた。俺は光の方に向かって走った。その光の先は綺麗な池がある場所だった。
「出られたと思ったのに」
一つため息をついて、池の近くまで近づくと真ん中に何かいるのに気がついた。俺はそれがなんなのかすぐに気づいた。
「きゃぁぁぁあああああ!変態!」
そう、それは池で体を洗っていた女の子だった。俺はその子の裸をバッチリ見てしまった。これは完全に事故なのでしょうがないが、きっちり脳内コピーはしておいた。
彼女が着替え終わるのを少し待った。もちろん着替えを覗くような真似は絶対しない。
「どう責任とってくれるの?」
どうやら着替えが終わったようだ。俺は彼女の方に顔を向ける。
近くで見るとさらに可愛い。水色のショートヘアに整った顔、そして残念な胸。これは減点ですね。
「何でも一つ言うことに従ってやるよ」
今のこの力があれば大抵のことはできてしまうからな、楽勝、楽勝。
「二言はないわよね」
「俺にできることなら」
「それなら大丈夫。誰にでもできる簡単なことだから」
「そうか。それは良かった」
「私の下僕になりなさい」
さっき何かおかしなことが聞こえたような気がしたぞ。いやきっと気のせいだ。聞き間違いだ。
「もう一回言ってくれ」
「だから、私の下僕になりなさい」
「断る」
「何でよ、何でも従うって言ったじゃない」
「たしかに言ったが下僕にはなりたくない。違うのにしてくれ」
「しょうがないわね。じゃあ私のパートナーでいいわ」
「それぐらいなら」
俺はこれからこいつのパートナーになるのか。面倒くさい。でも、そのうち解放してくれるだろう。
「そういえばまだ自己紹介してなかったな。俺はクロマだ。よろしく」
「私はアイリスよ。こちらこそよろしくクロマ」