ガウヴィン・シュタウフェン
長い説明文も何なので途中途中に会話を入れました。本編に関係ない話があるのは厨二病だと思って生暖かい目で見てください。あと各人物により、見方が異なっております。
シュタウフェン家の始まりは暗黒の竜を討伐したことから始まる、この功績を挙げた男は時のアルカディア国王から黒竜騎士団の創設を認められる。黒竜騎士団はシュタウフェン家に率いられて以降、世界各地で戦い大きな名声を手に入れた。それによってシュタウフェン家はアルカディア王国から男爵の位を授かるまでに発展して順調な拡大を続けた。しかし、アルカディア王国は後継者問題をきっかけに分裂する。分裂後、本来なら王国の再建を目指すのが普通だがアントウェルペンは人間帝国の庇護下に入ると王国の再建を頑なに拒否するようになる。
「アントウェルペンは本当に酷い連中です、ガウヴィン様もご苦労されたのでは?」
ガウヴィンの話を聞いていた筆記係が言う。
「いや、先見性があったのだよ」
シュタウフェン家はベーメン王国の庇護下に入ると勢力を拡大するがアントウェルペンと戦争になり、敗北してしまう、男爵ことガウヴィン・シュタウフェンの生まれた時期は既にアントウェルペンの天下の時代だった。
「我がシュタウフェン家の初の敗北だった。私が生まれた時は終わった後だが」
アントウェルペンは人間帝国の要請でアルカディア地域の諸国をまとめ上げて魔界に遠征する。この遠征時にガウヴィンは大セルディウスの傘下で目覚ましい活躍をする。その活躍は大セルディウスの認めるところとなり、彼の推薦でシュタウフェン家は人間皇帝から侯爵の位を授かる栄誉まで手に入れた。
「魔人を知っているかね、奴らは眼が魔力の影響で紫色で魔族と混血しているせいか紫色の髪が多い、そして非常に賢く強かった。」
だが、魔界遠征中に遠征が魔界の人々の独立意識から来ていて悪魔軍魔界方面総軍:総司令官で六魔の一人である。通称ネルと言われる女性の形をした大悪魔が魔界に住んでいた人間(魔人)の男に肩入れし始めると戦争の泥沼化が予想されるようになる。ガルジアは一度は若き後の魔界皇帝率いる軍を倒すが膨れ上がる戦費を心配して人間皇帝に戦争の終結を直訴して人間皇帝の怒りを買う、本来ならガルジアが負けるところだがガルジアは恐れを知らず、自らの軍を率いて魔界から略奪をした上で撤退をしてしまう。
「もちろん、私もガルジアに従った、魔界にいつまでもいるなど皆耐えられないからな」
その後、ガルジアの予想以上に魔界皇帝は恐ろしいほど実力を発揮して人間皇帝軍に連戦連勝を続け、遂に魔界から人間皇帝軍を追い出すことに成功してしまう。さらには天界と戦争をして勝利するなどして天界側に付いていた北原の覇者である神聖エルフ帝国を自らの支配下に置くことに成功した。
「捕らえた時に殺しておけば…」
「いや、殺したところで大筋は変わらんかったと思うぞ、人間帝国も天界も弱すぎて話にならなかった。」
勢いに乗った魔界軍は弱体化した人間帝国に攻め入る。あっという間に腐り弱り切っていた人間帝国は崩壊してしまう。これで魔界の連中は戦争は終わりになると考え安心したが…教皇を始めとした帝国の重臣及び莫大な帝国の財産は全てガルジアによって持ち出されていた。
「この時は愉快だった。私は財宝の運び出しをしたが…生涯忘れられんよ、眩いばかりの輝きと優れた芸術作品の数々、そして何よりも多くの書物を財宝以上に大切にする様は感心したものだ、他の下賤な連中に渡していたら今頃全てが消えていた。」
「どこかにお隠しになったのですね」
「そうだな、ガルジアのことだ、どこかに大切に保管しているはずだ。」
教皇エルバルス2世は戦争の継続を宣言して魔界側を失望させる。怒った魔界側は神聖エルフ帝国軍と共に大軍で攻め入るがガルジア率いる大諸侯連合軍は大勝利を収める。これで本来なら人間帝国の旧領を取り戻すべきだが…ガルジアは世界経済の覇権を握るのに人間帝国の再興はアントウェルペンには邪魔だと考えて戦争を終わらせてしまう。それに教皇と諸侯が怒ってガルジアに戦いを仕掛けるがガルジアは返り討ちにして散々に破り、諸侯の首を落として都市を焼き討ちし、略奪をした。
「ほらな、魔界帝国軍など我々の敵では無かったのだ!!」
「素晴らしいですね、しかし、都市まで焼き討ちするとは…」
「甘いなセルビコ、ガルジアは善人では無い、焼き討ちした都市は全てアントウェルペンの商売敵だ!!」
「!?」
東原の連中から見れば巨悪だが我々から見れば全く違うものであった。神原では逆らう諸侯が消えてアントウェルペンの覇権が確立する。魔界との戦いに加えて無能な世襲の諸侯の消滅は神々の喜ぶところだったらしく、アストレイアは大変喜んでアントウェルペン家に御旗と聖剣を与え、サヴィアス家に聖騎士の称号を与えた。私には天界の宰相であるオーディンが自らの槍であるグングニルをお貸しくださった。
「グングニルを貸してもらうとは凄いですね。」
「私が生きている間だけだがな」
まさに栄光であり、東原の連中から見れば辺境だったアルカディア地域が一気に人間社会の中心地へと発展する起爆剤となったのである。栄光は続くかに見えたが莫大な戦費は厳しくアントウェルペンに襲い掛かった。さらに人間帝国の庇護と市場を失ったのは大きくアントウェルペンは弱体化するかに見えたがガルジアは積極的なネ族との経済的協力と新たな市場の開発などを推し進めて以前よりアントウェルペンを繁栄させるという神業を成し遂げてしまう。
「恐ろしいほど隙が無いですね」
「まったくだ、私は横で眺めているだけだった。お零れを貰うので必死だったと言っておこう。」
ここまで順調だったが…大セルディウスが行方不明になると同時にガルジアは軍事的には消極的になってしまう。大セルディウスの死後、魔界帝国は戦争を繰り返していたセルギア王国に大規模攻勢を仕掛け始めた。
「奴は経済面では大セルディウス死後も積極的だったがな…」
「大セルディウスに頼りきっていたのですね」
「それも甘い考えだなセルビコ、奴の配下には他にも優秀な人材が沢山いた。」
「では、なぜ消極的になったのです。」
「私から見れば、奴は本質的に商人だ、金儲けには興味があっても領土意欲も政治的な野心も無かったとしか言いようがあるまい。」
そしてシュタウフェン家は拡大を開始する、ガルジアの妨害はあったが巧みにガウヴィンが大義を掲げ、武器や食料をアントウェルペンから買うとガルジアはシュタウフェン家の拡大を消極的だが認めるようになった。
「北辺の勇者の出現も中々大きな収穫だった。」
ガウヴィンの統治は巧であった。領内の治安を徹底的に取り締まり、領内の商売と工業を積極的に新興した、アントウェルペンがネ族ならシュタウフェンはイ族やウルフ族を積極的に受け入れることで獣人達を手なずけた。その支配の素晴らしさは世界中に知れ渡った。
「彼がそんな時に現れたのですね。」
「鴨がネギを背負ってな」
北辺の勇者は一人の領主を殺してから周囲の諸侯と争った。その地域が丁度、シュタウフェン家の領地の西側であった。ガウヴィンは上手いこと仲介に入るなどして北辺の勇者を支援した。その結果、突然、北辺の勇者が手に入れた領地をガウヴィンに差し出してきたのである。
「ありがたく貰わせてもらった。」
その後、彼を騎士に任命し、さらに千人長に任命するという高待遇に出たガウヴィンの期待に応えるように北辺の勇者は活躍してくれたお陰で勢力を益々拡大してガウヴィンの力は強まっていった。
「最近、北辺の勇者殿が優秀な仲間を集めたとか聞いています」
「ああ、あのヒヨッ子どもか…中々優秀だから訓練してやれば強くなるかもしれんな」
「訓練しないのですか?」
「馬鹿を言うな勇者の従者になれて気が上がっている連中だぞ、自分たちが発展途中だと言うのに最強だと勘違いするような輩に教えることなど無い。」
「しかし…」
「もっと真面目に地道に訓練をするもの達の方が優先されるべきだろう?」
ガウヴィンの言うとおりである、優秀な彼らが望めば無料で学校に入れるし、優秀な師匠だって見つかるだろう、そういう豊かな才能をもった人間が奢れている。一方で才能が無く、高い授業料を必死に工面して学校に頑張って入る人間もいる。ガウヴィンは後者の方を好んだ。彼は努力と規律を誰よりも愛したからである。
「ガルジアは死んだ!今やシュタウフェン家の道を止めるものは無い!!今この機を逃してアントウェルペンを打倒する機会は無いだろう、セルビコよ、雌雄を決する時は来たぞ!!」
ガウヴィン・シュタウフェンは本当に強いです。
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