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象山強襲および臨海占領

 象山しえんしゃんは、奉化ふぉんほあ寧海にんはい間に突き出た半島部分に存在する小城市だから、寧波方面の水上戦力が壊滅した清国側にとっては非常に防衛が難しい地域と化している。

 仮に南明勢力が奉化と寧海を占領してしまえば、敵中に孤立することになるからだ。


 かと言って象山を放棄してしまえば、南明勢は海上から象山に兵を送り込み、奉化と寧海との両拠点をうかがう態勢に持ち込む事が可能になるために、それもまた防御側にとっては頭が痛い状況だろう。


 現に台州陥落前には、動揺した象山守備隊内で事実誤認の同士討ちが発生してしまっているのだが、これは「新倭寇」が何時攻め込んで来るか分からないという極度のプレッシャーに晒され続けた結果である。


 9,500t級舟艇母船「大津丸」と、177t武装フェリー「潮」および「汐」が舟山港へ戻る際に実施した象山海岸陣地への砲撃は、この傾向に拍車を掛けた。

 大津丸と2艘の武装フェリーは、ほんの挨拶程度に75㎜野砲4発と37㎜速射砲6発を発射したに過ぎないのだが、海岸要塞は混乱の中に炎上した。

 なお大津丸の装甲艇は船内に収容されたままだったので、この砲撃には参加していない。

 大津丸には(もちろん武装フェリーにも)鹵獲品が隙間無くと言って良いほど詰め込まれていたために、装甲艇をへん水する余裕が無かったためである。


 次に象山が砲撃を受けたのは、大津丸と同じく台州で鹵獲した山ほどの物資を満載した「海津丸」が御蔵島に帰港する際に実施したものである。

 海津丸が使用した砲は、飛行甲板に臨時増設していた150㎜迫撃砲で、砲手は積み上げられた貨物の間から迫撃砲弾を発射するハメになった。

 そのために照準はかなり「いい加減」なものとなったが、150㎜砲弾の面制圧力の高さから、象山守備隊は海岸線の防衛を放棄する決定を下したらしく、後続する福州水軍は易々と無血上陸を果たした。





 この間、台州に集結した温州軍主力は、台州・温嶺うぇんりん楽漬ゆえちんから兵を進めて、臨海りんはいを包囲している。

 温州軍には、清国軍投降兵や匪賊化した反乱部隊なども続々と参加を続けて兵力は増える一方であり、対して臨海守備隊は兵数・士気ともに極度に低下した。

 台州飛行場からは連日ビラ撒きの偵察機が出撃し、城兵に降伏勧告を行った。


 包囲後3日目に、天台方面から増援部隊の先鋒らしき清国騎兵500ほどが姿を現したが、あまりの兵力差に臨海城内への強行突入を躊躇ためらっている間に、飛来した偵察機の地上掃射を受けて混乱状態に陥った。

 温州軍の一部(元匪賊約2,000)は、敵増援部隊の動揺を見て攻勢をかけると、敵先鋒騎兵部隊を壊乱させた後にその勢いのまま増援部隊本隊(歩兵約2,000)に襲い掛かり、これを殲滅した。

 この匪賊部隊の長は関仁かんじんという名前だったために、「今関羽」「関将軍」と称されて兵5,000を預かる事となり、寧海攻略へと出発する。


 臨海城では味方の増援部隊が壊滅したのを見て降伏派がクーデターを起こし、抗戦派との間で戦闘が勃発した。

 戦闘では降伏派が優勢だった上に、一部の兵が城門を開け放ったため、突入した温州軍が早々に臨海を占領した。

 この時、降伏派は南明勢に対して敵でない事を示すために白襷しろだすき白鉢巻しろはちまき姿で戦ったため、以後も白襷・白鉢巻姿で南明軍に参加した。


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