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闘病は、しかし長くは続かなかった。

肝臓転移が分かった。

気づいたら、余命半年と宣告されるほどになっていた。


私は、彼を家に連れ帰ることにした。

疲れたね、と彼が言う。

そうねと、私が答える。

最後の残された日々は、あっという間に過ぎていく。

それでも、わずかの間でも、私は彼と大切な日々を過ごした。


子供らも、予期された死の前に会おうとして、入れ替わりやってきた。

教え子たちもそうだ。

彼が教え子で連絡がつながる子らに手紙を送ったために、死ぬ前に一目、ということで会いに来たようだ。


そして、その日がやってきた。

家の縁側で、彼はのんびりと好きな緑茶を飲んでいた。

私がそのすぐ横に座ると、彼はコップを縁側に置く。

この人生、どうだったと、彼が私に言う。

貴方と出会えてよかったと、私が彼に言う。

そうかと、彼が言った。

ポンと私に倒れてくる。

ありがとう、と彼がつぶやく。

そして風が、彼の魂を天へと連れて行った。

「ありがとう」

私は、彼にそう答えた。

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