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閑話、戦う人間。

魔が跋扈する森がすぐ側にある辺境の街、リーリア。

リーリアは、辺境ながらもダンジョンが近くに3つもある事と、極彩の森と呼ばれる多種多様の魔物が生息する環境に後押しされ、王都にも劣らぬ豊富な物流と人口を有している。


そんな街の冒険者ギルドには、今日も魔物の巣が発見され緊急依頼を募集していた。


「おい、ディー。オークの巣が発見されたってよ。狩りに行くか?」


ギルドの受付前の簡易的な酒場で大剣を担いだ大男が、ディーと呼ばれた痩身の男に話を振る。

痩身の男は、斥候の格好をしており、その腰には二本の鋭利な短剣が下げられている。


「んー、どうだろうね。極彩の森のオークだから唯のオークってわけじゃないだろう?最悪ウォーオークの巣かもしれないよ?まぁエルゴに任せるよ。リディアは?」


斥候の男は、任せるとばかりに隣にいた女性に話を向けた。

女性は長く美しい桃色の髪を耳に掛けながら一瞬思案し、その後頷いた。


「エルゴが行きたいなら私も構わないわ。まぁオークじゃテイム出来そうに無いけど・・・というか、この変の魔物じゃあ無理ね。魔素が強すぎて干渉どころじゃないわ」


お手上げとばかりに溜息をついた女性は、すっかり温くなったエールを一気に飲み干した。

その様子に、大剣の大男ーーエルゴはニッと音が出るような獰猛な笑みを浮かべる。


「じゃあ決まりだな!久々の大仕事だから腕がなるぜ!ちょっくら受付してくらぁ!」


ドカンと音を立てて立ち上がり、エルガは受付へと向かっていく。

ディーはその様子を呆れ混じりでに見ながら苦笑した。


「エルガは相変わらずだね。まぁ彼らしいっちゃ、彼らしいけど」


くくくっと笑いながらそれよりも、とリディアの方を見て、先ほどとは代わり真剣そうな表情を作る。


「テイマーを目指すならこの街を出るべきじゃないのか?他所でも魔物はいるだろう。最悪、職業(ジョブ)を変えてーー」


そこまで言った所では、リディアが乱暴にグラスを鳴らして遮った。

その目には有無を言わせないとばかりの確かな決意の色を宿していた。


「ディー。その話は前もしたでしょう。私はこの場所でテイマーになりたいの。いいえ、この場所じゃなきゃダメなのよ」


まるで言い聞かせるように言葉を放ち、リディアは席を立った。


「エルゴには待ち合わせには行くと伝えておいて。少し風に当たってくる」


去り際に、心配かけてごめん、でも私が決めたことだから。と呟き、リディアはギルドを後にした。

入れ替わりのようにエルゴが席に戻ると、難しい顔をしたディーの姿を見て、またいつものかと笑いながらエルゴは二人分のエールを注文し、心配性の斥候の愚痴に付き合うのだった。


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