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◇キーワード小説

◇たいやき

作者: しおん

キーワード:たいやき・逃亡

講義が始まって20分。俺は大事な事を忘れていたのに気がついてしまった。


真剣に聞いて欲しい。

たいやきを買い忘れていたのだ。


正確に言えば、本日先着15名限定販売のたいやきを買う為に並ぶ事をすっかり忘れてしまっていたのだ。


大学の正面に位置する"おざき商店"その名の通り年配の小崎夫妻が経営する個人商店だ。ここでは時折、革命的なたいやきが販売される。キャンパス内でひっそりと噂されるその味は一度食べたら忘れられない程の美味(びみ)で、俺も運良く先輩に分け与えてもらった一口で虜になった。


表面のカリッとした部分と生地のふかふかさの絶妙のバランスと、中にぎっしり詰まったつぶあんは甘すぎず小豆の旨味を消さない味付けで、噂によると小崎夫妻の自家製らしい。


そんな奇跡のたいやき。

お宝を狙っている奴らはこの学校には数えきれない程いるわけで、販売開始時刻に行ったらすでに完売している事もしばしば。

今から行ったからとて販売時刻には余裕で間に合うものの、15人という制限の壁が立ちはだかる。

いかにショートカットをし、スピーディにおざき商店に駆け込むかがこの作戦のメインとなだろう。


そ、の、ま、え、に、だ!

この作戦にとっての最大の難関を解決せねばならない!

それはと言うと、この授業をいかにしてサボタージュするかという事だ。如何にしてこの空間から脱するか……担当教授は話が長いというより小言が多い。まるで姑のようなそれに対して、この授業をとっている学生からの文句は絶える事を知らない。


そんな面倒くさい教授の授業は、上手く脱け出す事などできる気がしない。上手くなくても抜け出すできる気はしない。

でも、男にはやらねばならない時があるのだ。



やってやるぜ!



なんの予告もなしに立ち上がり、出入り口を目指す。

驚愕というレアな表情をうかべる教授を横目に俺はダッシュで駆け出した。


後悔はしていない。美味しいたいやきを食べられたから……でも、その後の俺の運命を知るものはどこにも居なかった。

読んでくださりありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[一言] たいやきは私も大好物です。さくさくした生地と甘いあんこのコラボレーションが最高においしいお菓子です。 15人限定の奇跡のたい焼き……ぜひとも食べてみたいと思いました!
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