[第一章]第二の人生の案内
「ごめん…。お前を…こうするしか…無かったんだ………。」
霞む視界に見えるのは、カッターを握った少年。
胸から溢れでる赤い液体。
抑えても流れ落ちてくる…
いずれ、大量出血で私は助からないだろう。
「……?最期に…伝えたい…ことが…ある…お…え…と…あ…し…る…。」
薄れゆく意識の中で私は彼の最後のメッセージを聞き取れなかった。
[第二の人生案内所]
きっと、もう天国へ着いた筈だ。きっと目を開けた先には、私の前には純白のドレスを着た、優しい天使いる筈…
「おはようございます。ようこそ!第二の人生案内所へ!」
…は?
何なんだ、この光景…
嘘だろ?
何故、私の前に可愛らしい天使がいない。目の前にいるのは可愛らしい男の子。
きっとこれは、夢だ…
もう一度目を閉じて開いた時には、可愛らしい天使が私を待っているだろう。
…。
Σ(゜д゜lll)いない!
変わってない…!ここは地獄なんだ!
嗚呼…きっとあれだ、兄のプリン勝手に食べたりしたから罰があたったんだ。
「お客様。大丈夫ですか?」
そう言って、私の顔を覗き込む男の子。
よくよく見れば、顔的に整っていて天使という分類なのだが…
「あの…。すみません…ここって天国ですよね?何で天使がいないんですか?」
「は?天国では無いですよ。どちらかといえば、地獄に近い所ですね。」
うわああああああああああ!
やはりここは地獄だったんだ。拷問をされ舌を抜かれるんだ。
死んだ後ぐらい、幸せに暮らしたかった。
「はぁ…解りました。私は前世で沢山の罪を犯しました。舌をお抜き下さい。」
べーっと少年に向け、舌を出す私。