魔法倶楽部結成?!
教室はいつものように騒がしかった。
「寿也~、今日の昼早退して遊びに行かない?」
まさに不良のような提案をしているいかがわしい女子が俺のほうに向かって話しかけてくる。
寿也とは俺のことだ。
井口 寿也 17歳。
そして怪しい女の子は鈴宮 瀬莉歌 同じく17歳。
幼馴染として育ってきた一人であり、俺の知る中では、かなり良い魔法を持っている。
自分が指定したものを動かす魔法。もちろん条件もそれなりにある。
自分が移動した距離の半分の物体を動かすことができる。
条件が整えやすく、それなりに利用方法もあるので、俺にとっては羨ましい限りだ。
「俺はパスするよ、てかお前そろそろ出席日数やばいって言ってなかったか?」
「たしかに言ってたわね、私の記憶通りならこう言ったわ。わわわ、大変だよ~、あと十日しか休めないよ~。と言ってたはずね」
瀬莉歌が何か言おうとしている所に割って入ってきたのは北条 皐。こいつも幼馴染の一人、何にしてもこいつの情報を持っている人は相当少ない。
みんなに内緒にしている理由は本人曰く、情報戦にとって情報を隠すのは基本だからだそうだ。
だからみんなが住所すら知らないらしい。
先生に聞けばわかることなのだろうが、そこまでして調べようとする人はいないだろう。
「た、たしかに言いました」
瀬莉歌は、は~っとため息をつきながらその時の事を思い出しているようだった。
いくらでもサボれる魔法とかあったらなーっと俺は思いながらも、なんだかんだでこのつまらない授業を聞き続ける現実が好きだった。
「そいえば皐、今日はあいつ来てないのか?」
皐は頷いてから一息あける。
「今日はサボりだそうよ。何かこの島の季節について調べるとか言ってたわね」
「そっか。そいえば不思議だよな~」
そう、この鏡島では、季節が逆に流れるのだ。
冬に始まり、秋になり、夏になって春に終わる。
こういう不思議な現象からこの島の名前が決められたと伝えられている。