夕日を眺めてた
「前の方にいなくてよかったー」
「前に座ってた人たちびしょ濡れだったもんね」
「私たちのところにまで水しぶきが届いてたんだからあれはやばいよ」
シャチの豪快なショーを見終えた俺と百合はまだ見れていないエリアに行ったり家族にお土産を買ったりした。おそろいのシャチのキーホルダーも買った。
今は帰りのバス停に向かうところだ。
「聖朱君は今日楽しかった?」
つないである手を上機嫌に振りながら百合は聞いてきた。
「うん、久しぶりに水族館に行ったし、何より百合と一緒だったから楽しかったよ」
「わたしも今日、聖朱君と来れて楽しかったよ」
満足気に話しながらまた百合は花唄を歌いだした。
バス停でバスを待っている間も歌っていて駅に着くまでもずっと目を細めながら歌っていた。こんな時間がずっと続いてくれればいいと思った。
駅に着くと人が誰一人としていなくて無人駅の状態だった。
海の方を見るとちょうど太陽が海に沈むところだった。夕焼け色に染まる海の色は切なさの中にどこか温かさを感じるものがあった。
太陽が沈む様子をジッと百合と一緒に眺めた。
眺めている間、百合は歌わないで静かにただ太陽を眺めていた。
「百合」
「ん?」
俺に呼ばれて振り向いた百合を俺はスマホのカメラに収めた。
夕日に照らされる百合がきれいで夕日に照らされる花みたいだった。
でも、
「あ、また勝手に」
「百合、なんで泣いてるの?」
「え?」
写真を撮った時、夕日に照らされてた雫が百合の頬に涙が伝っているのが見えた。
「あれ、なんでだろう。でもそういう聖朱君も泣いているよ」
「え?」
俺も気づかずに泣いていた。前に映画を観たときのように涙がこぼれていた。
「なんでだろうね」
「ほんと、なんでだろう」
「聖朱君、ハグしてもいい?」
「うん」
人一人いない駅、夕日に照らされながら俺と百合は互いの体温を確かめ合った。
百合の体は熱いんじゃなく温かくて心地よかった。
それに、花みたいな甘い香りがした。懐かしい香りだった。
どれくらい時間が経ったんだろう。そう思うくらい長く感じた。
でも太陽はまだ完全には沈んでいなくてまるで時が止まったようだった。
百合の家に行く前に手を一度解いたようにどちらからというわけではなく自然にお互いの体から離れた。
「ありがとう、聖朱君。落ち着いた」
「俺も、ありがとう」
タイミングを見合わせたかのようにちょうどよく俺っと百合が乗るべき帰りの電車がホームに迎えに来た。周りをもう一度見てみてもやっぱり人はいなくて乗るのは俺と百合だけだった。
「それじゃ、帰ろっか聖朱君」
「うん、帰ろう」
手をつないで電車に乗り、俺たちは乗り換えの駅まで電車に揺られた。
電車を乗り換えてまた揺られ始めると百合は俺の肩を枕にして眠ってしまった。
眠った顔があまりにも穏やかでこのまま目覚めなくなってしまうんじゃないかと不安になった。
「百合、着いたよ」
「ん、もう着いたんだ。ありがとう、起こしてくれて」
眠気交じりに体をゆらゆらさせる百合の手を引きながら俺は駅を出た。駅を出た後でも百合はうたうたしていたからそのまま百合の家まで送っていくことにした。
「ほら、百合、家着いたよ」
「あれ、いつの間に着いたんだ」
「そうだよ、じゃあ俺帰るからね」
「うん、、、あ、だめちょっとまってくてよかったー」
「前に座ってた人たちびしょ濡れだったもんね」
「私たちのところにまで水しぶきが届いてたんだからあれはやばいよ」
シャチの豪快なショーを見終えた俺と百合はまだ見れていないエリアに行ったり家族にお土産を買ったりした。おそろいのシャチのキーホルダーも買った。
今は帰りのバス停に向かうところだ。
「聖朱君は今日楽しかった?」
つないである手を上機嫌に振りながら百合は聞いてきた。
「うん、久しぶりに水族館に行ったし、何より百合と一緒だったから楽しかったよ」
「わたしも今日、聖朱君と来れて楽しかったよ」
満足気に話しながらまた百合は花唄を歌いだした。
バス停でバスを待っている間も歌っていて駅に着くまでもずっと目を細めながら歌っていた。こんな時間がずっと続いてくれればいいと思った。
駅に着くと人が誰一人としていなくて無人駅の状態だった。
海の方を見るとちょうど太陽が海に沈むところだった。夕焼け色に染まる海の色は切なさの中にどこか温かさを感じるものがあった。
太陽が沈む様子をジッと百合と一緒に眺めた。
眺めている間、百合は歌わないで静かにただ太陽を眺めていた。
「百合」
「ん?」
俺に呼ばれて振り向いた百合を俺はスマホのカメラに収めた。
夕日に照らされる百合がきれいで夕日に照らされる花みたいだった。
でも、
「あ、また勝手に」
「百合、なんで泣いてるの?」
「え?」
写真を撮った時、夕日に照らされてた雫が百合の頬に涙が伝っているのが見えた。
「あれ、なんでだろう。でもそういう聖朱君も泣いているよ」
「え?」
俺も気づかずに泣いていた。前に映画を観たときのように涙がこぼれていた。
「なんでだろうね」
「ほんと、なんでだろう」
「聖朱君、ハグしてもいい?」
「うん」
人一人いない駅、夕日に照らされながら俺と百合は互いの体温を確かめ合った。
百合の体は熱いんじゃなく温かくて心地よかった。
それに、花みたいな甘い香りがした。懐かしい香りだった。
どれくらい時間が経ったんだろう。そう思うくらい長く感じた。
でも太陽はまだ完全には沈んでいなくてまるで時が止まったようだった。
百合の家に行く前に手を一度解いたようにどちらからというわけではなく自然にお互いの体から離れた。
「ありがとう、聖朱君。落ち着いた」
「俺も、ありがとう」
タイミングを見合わせたかのようにちょうどよく俺っと百合が乗るべき帰りの電車がホームに迎えに来た。周りをもう一度見てみてもやっぱり人はいなくて乗るのは俺と百合だけだった。
「それじゃ、帰ろっか聖朱君」
「うん、帰ろう」
手をつないで電車に乗り、俺たちは乗り換えの駅まで電車に揺られた。
電車を乗り換えてまた揺られ始めると百合は俺の肩を枕にして眠ってしまった。
眠った顔があまりにも穏やかでこのまま目覚めなくなってしまうんじゃないかと不安になった。




