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9章 立ちはだかる問題

 華凛は教室に向かう最中、ゴーストが思わず反応した『道人』という男子生徒が気になりながらも教室に入った。


「おっす、華凛!」

「おはよう、華凛ちゃん。」


 颯と素子が椅子に座って挨拶をした。どうやら華凛が来るのを待っていたようだ。


「おはよう、楓ちゃん、素子ちゃん。」


 華凛は自分の席に座る。まだ授業開始まで時間があるため、二人との会話を楽しめる。


「うむ、この三人が同じ学校で同じクラスになるまで実に長きだったなぁ〜っ!」

「そやね。今まで祝日くらいしか会う機会なかったから新鮮やね。」


 あれから四年経ったが、颯は背は伸びたが容姿はあまり変わっていない。

 髪型はツインテールのまま。黒いタンクトップの上にパーカーを着て、念願の短パンを履いていた。修学旅行で買った木刀を常に持っている。

 素子はおかっぱなのは変わらないが、黒いカチューシャをつけて綺麗な青髪をロングに伸ばした。

 水色の上着に黒いジャンパースカートを着ていて、まるでお嬢様のような出立ちとなった。

 入学早々、男子生徒たちからは憧れの目で見られている。しかし、相変わらず太腿(ふともも)の上に何故か救急箱を置いている。


「これで本格的に御頭(おがしら)ミステリー研究会として活動できるね!」

「その話なんやけど…。先生にミステリー研究会の部活申請の件を聞いてみたんや。せやけど、部活として成立させたいなら部員を後二人は入れないと駄目やって…。」

「我らのような変わり者を後二人もか…。」

「あの、颯ちゃん?普通の子でええんよ?何で変わり者限定?」

「うんうん、颯は相変わらず自分を変わり者と自覚してるね。」

「華凛ちゃん、気づいて?うちらも巻き込まれて変わり者扱いされてるんやわ。」


 華凛は腕を組み、どうやって部員を増やせばいいか考えた。


「とりあえず、うち、入部募集のポスター作ってみるわ。」

「あぁ、派手で目立つポスターで頼む、素子。」

「何か偉そう…。」

「颯ちゃんが上からなのは慣れっこやからね。他にご要望あります?」


 華凛は右頬を何度も人差し指でタッチ、颯は木刀の(つば)を何度も鞘から上下させて考える。


「あ、そうだ!私たちはこういう活動をしています、っていう実績みたいなものが伝わるようにできないかな?」

「なるほど、それは良きアイデアやね。」

「前人未到、常人では到達できない程の難事件が必要となるな。」

「颯ちゃん?そんなに難しい事を成し遂げる必要はないんよ?それに過去に私たちが関わってきたミステリーでもええ訳やし…。」

「いや、せっかくだからホットな話題の方が良いと思う。あの事件をスピード解決するなんてぇ〜っ的な。」

「なるほどなぁっ、メモメモ…。」


 素子は救急箱からスマホを取り出し、続々と今出たアイデアをメモに書いた。


「しかし、この四年で御頭街(おがしらまち)は随分と謎に満ちた街になったものだ…。」

「あの式地さんがデュエル・デュラハンゆうゲームを作り出してまさかの大ヒット。会社エリアと遊園地エリアと一気に二つも島を増やしたましたもんなぁ〜っ。」


 そう、商店街で困っていたお爺さんの式地はデュエル・デュラハンの大ヒットで大忙しだった。もう四年経ち、あれから一度も会えていなかった。


「噂やけど、化け物と遭遇したって人も何人かおるみたいやし…。」

「何、そう不安がるでない、二人共!この不詳、颯!例えどんな化け物が出て来ようと我が愛刀の錆にしてくれるわ!」


 颯は木刀を両手で持ち、力強く振った。


「おい。」


 机に足を乗せて両手を後頭部に当てている男子生徒が声を掛けてきた。青髪で金属類をたくさん身につけ、制服を着崩しまくっている。


「まだ教室に人があんまいないからって、無闇に木刀振るんじゃねぇよ。」

「うむ、すまぬ…。お主の言う通りだ。…いや、待て。おい、二人共!」


 颯は抜刀の構えを取り、男子生徒に対して殺気を放つ。


「ちょうどこの場にいたぞ!生ける伝説!ホットな話題!全て満たした存在がぁっ!そうだろぉっ、海原深也ぁっ!」

「…あ?」


 楓は勝ち誇った顔に対し、深也は颯を睨んできた。


「ちょっとぉ〜っ…!?誰に喧嘩売ってますのん、颯ちゃぁ〜ん…!?…よりによって、不良王に喧嘩を売るってぇ〜っ…!」


 華凛たちと同じクラスの不良王・海原深也。小学生時代から仁王グループという不良集団に所属する男。

 小学生とは思えない格闘スタイルからこの異名が名付けられた。

 別側面もあってデュエル・デュラハン全国大会準優勝者の腕前を誇る。御頭(おがしら)中学校に入学して早々いくつも問題を起こしている。


「入学早々、お主には既にもうニ度も敗北を喫したが、今日こそお主に勝ってみせる…!」

「…三度じゃなかったか?」

「って言うか、私らの知らない間に決闘とかしてたの?」


 華凛は初耳で、反応を見るに素子も初耳なようだ。


「黙らっしゃい!数などもはや意味なし!私の初勝利の暁にはミステリー研究会のポスターにでかでかと我が勝利の証を載せてくれるわ!」

「楓ちゃぁ〜ん…!それ、逆効果やから!そもそも、それだと颯ちゃんの方が問題児になって部活発足がその時点で潰えるし!」

「木刀を校内で常に持ち歩いてる時点で問題児だと思うけど…。」

「…騒がしい女だな…。」


 深也は立ち上がり、両手をポケットに入れて去ろうとする。


「待て!臆したか、深也!」

「…一つ言っとくが、今度喧嘩売ってきたら、木刀だけじゃ済まねぇからな…。気をつけな。」

「深也さぁ〜ん!」


 深也の取り巻き二人が教室の外から手を振っている。


「…それに俺はなるべくなら、女には手をあげたくねぇ…。」


 深也は小声で何か呟いて退室していった。


「…はぁ〜っ…!心臓止まるかと思ったぁ〜っ…!堪忍してぇな、颯ちゃぁ〜ん!」

「むむむっ、不良王め…!この屈辱は必ず…!」

「堪忍しなぁい、颯ちゃぁ〜ん…!」


 素子は涙目になって両手で涙を拭う。


「お、落ち着いて、二人共…!あぁっ、もう!入学早々、ぐだぐだしてるなぁ〜っ…!」


 そうこうしている内に始業のチャイムが鳴った。結局何のミステリーを取り扱うか決まらなかったとさ。

○風沢颯 12歳

血液型B型

誕生日 6月4日 双子座

身長 153cm

体重 颯「ふっふっ、私は隠さぬぞ…!48kgだ!」

趣味 武士の嗜み 勇者の嗜み 愛刀探し アニメ ゲーム 漫画 時代劇

好きな食べ物 甘いもの全般 煎餅

嫌いな食べ物 野菜全般

颯「次にスリーサイズはだなぁっ!上からバスト7…。」

華凛「そ、それは言わなくていいから!」

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