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45章 第一推理開始!シルバーを追い詰めよ!

「では、聞かせてもらおうか。君たちの推理を。」


 そう言うとMr.シルバーは指を鳴らして椅子を出現させ、座った。

 余裕そうに見せているが、椅子をわざわざ出現させて座っているところを見るとさっきのミストとの闘いのダメージが少し残っているのかもしれない。

 華凛は咳払いをして調子を整えた。


「まず、あなたと十糸(といと)の森の近くで初めて戦った時の事。あなたはゴーストと同じ失われた未来からやって来た…。」

「その通りだ。」

「つまり、あなたはゴーストと同じくある程度の未来予測。未来に起こる出来事の知識がある…。『DULLAHAN WAR』や『戦島(いくさじま)』とかね。あなたは自分の事をミステリアスだと言っていたけど、実は割と自分の事を話しているんだ。」

「うむ、よく覚えていたね。」

「当然よ、華凛は私の長い肩書きも覚えられる程の記憶力を有しているんだからっ!」


 ミストはまるで自分の事のように誇らしげにMr.シルバーを指差してみせた。


「あなたは未来に関する知識で式地博士が羽島博士と出会う日を知っていた…。博士はあの日、言ってたよ。『電子データだと流出の恐れがあるから紙媒体で持ち運びする事にした』って。あなたはその日に目をつけて、まずは羽島博士を狙ったんだよ。」

「羽島博士?さて?」


 Mr.シルバーは腕を組んで華凛から目を逸らした。


「その人、ディサイド・デュラハンに関する知識を植え付けられた一人なんだよね?」


 華凛はここでゴーストから聞く事ができた未来知識のカードを切った。


「…さて、ね。」


 Mr.シルバーは惚けたが華凛は推理を続ける事にした。


「羽島博士はあの日、荷物を置いたまま行方不明になった。それはあなたが攫ったから。あなたは科学者じゃない。設計図を入手できたとしてもラゴウを造る事はできない。だから、攫った。」

「私が人攫いを?」

「ヒントは革靴。私たちがMr.シルバーと本屋で最初に会った時、あなたの革靴は黒色だった。なのに私に封筒を返した時には茶色に変わってた。さっきのミストとあなたが闘った際、あなたの靴はミストと同じ靴になった!あなたは大胆にも()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」


 華凛は右手でMr.シルバーを指差してみせた。

 素子たちもそれを聞いて驚いている。


「あなたのあの時の本来の靴の色は茶色。あの日の羽島博士の靴の色は黒色。私に封筒を返しに来た際はもう羽島博士と分離していた事になる…。多分、足…いや、体の一部分は羽島博士の身体を出しとかないといけなかったんだ。じゃないと死に至る…。さっき、ミストがMr.シルバーと一体化しそうになった時、ミストは予め命綱を出していたから助かったけど、あれは危なかったんだ。現にミストはMr.シルバーから離れた際に記憶の混乱が見られた。かいま、まがつ…ってね。」


 華凛の言葉を聞いたミストは両手で自分を抱き、震えた。

 八雲がミストに近寄って寄せ、頭を撫でてあげていた。


「随分なトンデモ理論を披露してきたものだ…。」

「あなたは十分にそのトンデモな存在、式神なんでしょ?あなた言ってたよ?『私は自分の身体に図と文字を全て内包した』、ってね。普通、身体に内包したなんて言い方しないでしょ。さっきも言ったけど、あなたは最初に戦った時に結構喋ってるんだ。自分の正体をね。」

「…まぁ、続きを聞こうじゃないか。」


 Mr.シルバーは余裕綽々(しゃくしゃく)で華凛の推理の続きを聞く。


「羽島博士に不意打ちする形で自分の身体を紙の鳩に変えてバラバラにし、体内に取り込んだあなたは次に式地博士の封筒を狙いに商店街に行った。博士が昼食を食べる隙を狙うため、()()()()()()()、時間を潰しに本屋に寄った。そして、私たちと出会った。」

「間違いないよ、華凛。ディサイド・デュラハンに関する知恵を開花させるためには何かしら脳に刺激を与える必要がある…。Mr.シルバーはそれを探すために本屋に来たんだ。羽島博士を体内に入れた状態で無理矢理本を読ませようとしたんだね。」


 ゴーストが華凛の推理に対して捕捉をしてくれた。


「式地博士は後の未来に多大な影響を与える人物…。だから、手を出せなかったんだよね?後の事を考えるとディサイド・デュラハン誕生の未来を変える訳にはいかないもんね。」

「かと言って、封筒を盗む訳にもいかない…。そこで使ったのが、さっき言った()()()。この巻き物って訳。」


 華凛は左手で持った巻き物を一旦宙に浮かせた後、キャッチしてMr.シルバーに見せた。


「華凛ちゃん、うちら何だか華凛ちゃんの推理についていけへんのやけど?」


 素子たちは頭上に?マークを浮かべまくっていた。


「無理もないよ。これは未来知識や式神といった特殊な現象が絡んだ次元を超えた推理。ミスト、言ってたよね?」


 華凛の言葉を聞いてミストは頷いて肯定した。


「これは私が必ず一回以上ゴーストのヘッドチェンジを使わせるように仕向けられた試練だって。ミストがこの巻き物をスリしなければ解けなかった…。この事件は巻き物ありきの事件でMr.シルバーは私に解かせる気が最初からなかったんだ。」


 華凛は既にお土産の床に散らばせてある巻き物の紙を指差した。


「この巻き物は素子ちゃんの言う通り、メモ帳でもあって、ミストの言う通り携帯食でもあったんだ。」

「う、うちらの言ってた事は全くの的外れやなかったっちゅう事なん?」


 素子はミストと目を合わせて驚いた。


「そう、Mr.シルバーは式地博士から奪った封筒を開けずに体内に入れて中身をトレースし、この散らばった巻き物にコピーして体内に取り込んだんだよ。式神だからこそできる技だね。」

「な、なるほどでしょうや…。でも、何でわざわざお土産屋を選んだんでしょうや?」

「それはシンプルですよ、先輩。ボケ気味のお婆さん店主がいて、風で紙が飛ばない場所で人通りが少ない場所…。そして尚且つ、近場である事!だから、ここを選んだ!」

「待て、華凛!それだと何で事前にこの店に紙を散らばせる必要があったのだ!?」


 颯が華凛に待ったを掛けるように右平手を伸ばした。


「その答えはもう私たちの目の前にあるよ。よく散らばった紙を見てみて、颯ちゃん。」

「見てって…。」


 颯が華凛と共にしゃがんで散らばった紙を見た。


「…!? 紙が何だか薄っすらと光ってる…?」


 颯の言う通り、紙の外側が緑色に少し発光していた。


「この巻き物は起動するのに時間を置かないといけないんだ。だから、地面に予め散らばせておく必要があったの。一応、誰かに見つからないようにくしゃくしゃにした紙ゴミも一緒に配置してね。」

「な、なるほど…。」

「四年前、颯ちゃんが木刀選びをしてくれたからこそ、気付けた事だよ。」


 華凛と颯は共に立ち上がり、Mr.シルバーを見た。


「ミスト言ったよね?『本は食べると重たいからすぐにお腹がいっぱいになる』って。だから、全部は食べられない。どこかに転移させる必要もあったんだ。」

「て、転移?」


 颯たちはまた?マークを浮かべる。


「Mr.シルバーはアルジェントルランドに私たちが来た時にこう発言していた。『ここは四年前の御頭(おがしら)商店街を再現した場所さ』ってね。でも、ここは私たちに試練を与えるために用意された場所じゃない。ここにコピーした紙と羽島博士を転移させるために四年前に予め用意されていた場所だったんだ!」

「な、なるほどでしょうや。つまり、華凛さんはここでMr.シルバーがコピー作業を行った際に一緒に羽島博士を転移させた…でしょうやから、華凛さんに封筒を返した際に革靴が元に戻っていたと言う事でしょうや?」


 華凛は八雲の捕捉説明があっていたため、頷いて肯定した。


「本当は式地博士に返す予定だった封筒を私に返す事になったのは予想外だったんだろうけどね。それも私に推理材料をくれる貴重な出来事だったよ。」

「…ふっ、はっはっはっはっはっ!」


 Mr.シルバーが急に拍手をしながら笑い出したので颯たちは少し驚いたが、華凛とゴーストはびびらずにMr.シルバーを見た。


「素晴らしい厚顔無恥な推理だ、名探偵華凛君。何せ、証拠が何一つないファンタジックな推理なのだからね。」

「その領域外のファンタジーに君たちは足を踏み入れないといけないって言ったのはどなたでしたっけ?」


 華凛はデバイスにスマホを装着し、Mr.シルバーに見せた。


「証拠なら提示できるよ、領域外のファンタジーの力…ヘッドチェンジでね!」

「…なるほど、ここでディサイド・デュラハンの力を使うというのか、君は…?」


 その時、Mr.シルバーは華凛の真っ直ぐな瞳を見てハッとなった。


「…いや、違うな。ふふっ、これは驚いたな…。逆だ。君は使()()()()()()()()。この場で君がヘッドチェンジを使えば確実に私の証拠を得られるだろう…。それはもう確定事項。この場は使わずに乗り切るつもりなのか、君は?」


 Mr.シルバーの言葉を聞いて華凛は不敵に笑み、ゴーストは腕を組んで華凛の横に浮かんだ。


「…はっはっはっはっはっ!何というはったり!大した度胸!証拠を得るための強運!そして、ペテン師ぶりだ!華凛君、やはり君は探偵より犯罪者の方が向いているんじゃないのかね?」

「私、聞いた事があるよ。探偵は犯罪者になれる素質があって、逆に頭が回る犯罪者は探偵になれる素質がある…。」

「その素質がどちらに傾くかはその者の意思次第、か…。」


 Mr.シルバーは椅子を消し、立ち上がった。


「いいだろう、合格だ!誇りたまえ、華凛君!君は第一関門を見事アルウス君のヘッドチェンジなしで乗り越えてみせた!」

「ううん、それはちょっと違うよ、Mr.シルバー。私一人じゃこの状況に持って来る事は難しかった…。これは私たち、御頭(おがしら)ミステリー研究会みんなで勝ち得た勝利なんだ。」


 華凛は後ろを振り返り、素子たちを見た。みんな笑みを浮かべ、颯はサムズアップした。


「ふっ、探偵とは群れれば厄介なものだな…。では、次は第二関門だ!準備があるから君たちはしばしの休みをとりたまえ。それでは、一旦幕を閉じるとしよう…。」

「待ってなさい、Mr.シルバー!私はこの試練の終盤にヘッドチェンジを使ってこの事件の正確な経緯を知ってやるんだから!」


 まだMr.シルバーが何故ラゴウを造ろうと思ったのか?などの細かい出来事はわかっていない。そのための追求がいずれ必要だった。


「楽しみにしているよ、華凛君。」


 Mr.シルバーはそう言うと姿を消し、世界は急に暗転した。

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