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44章 謎の巻物

 Mr.シルバーとの戦闘を終えたミストの功績により、華凛は第一関門突破への大きな手掛かりを得られた気がした。


「よし、ミストが大分頑張ってくれたから今度は私の番!」

「私たち、やろ?華凛ちゃん。」

「そうだね、訂正!今度は私たちの番!ミストの頑張りに応えるために絶対に解決に導いてみせる!」

「「「おーっ!」」」「おーっでしょうや!」


 華凛は早速ミストがMr.シルバーからスリで手に入れた巻物を色んな角度から見始めた。

 座っていたミストも頭を横に振った後、立ち上がって華凛と一緒に見る。


「華凛さん、新たに得られた情報を改めて整理するでしょうや。」

「はい。今の戦闘で見る事ができたMr.シルバーの新しい能力はトランプ投げくらいだけど…。注目すべきはこの巻物…。」

「しかし、何なのだろうな?この巻物は?」


 颯たちは華凛を囲むようにして華凛が手に持つ巻物を見る。


「あのMr.シルバーの持ち物やし、何らかの便利グッズなんやろうけど…。」

「とりあえず、開いてみたら、華凛?」

「そうだね。みんな、何が起こるかわからないから私から少し離れてて。」


 ゴーストの言う通りに巻物を開く事にし、華凛は両手で巻物を持った。


「大丈夫か、華凛一人で?」

「どんな事があろうとうちらはいつも一緒やで!」


 そう言うと颯は両手で華凛の右手を、素子は左手で華凛の左手に触れた。


「でしょうや。」

「やれやれ、ここまで来たら一連托生ってやつ?」


 続けて八雲が両手で素子の手に、ミストが両手で颯の手に触れた。


「ボクも、ボクも!」


 ゴーストは身体が透けているから気持ちだけ両手を合わせた。


「…あの、みんなの気持ちは嬉しいんだけど…逆に開きづらいかなぁーって…。」

「ええやんええやん。ほな、せーので行くで?」

「「「「「せーのっ!」」」」」

「せーのでしょうや!」


 華凛たちは一緒に巻物を横に開いた。

 華凛はつい目を閉じてしまったが、恐る恐る両目を開く。


「…特に何も起こらないね…。」


 みんなが華凛の手から手を離した後、華凛は改めて巻物を見た。

 巻物には何も書かれておらず、まっさらだった。


「何だ、外れか?ミスト呼びからツインテロリ呼びに逆戻りか?」

「別にあなたにどう呼ばれようと気にしませんし!苦労して手に入れたんだから、意味があると思いたい!」


 華凛もミストの頑張りを無駄にしないために巻物を更に広げて見た。

 やはり何も書かれていなかった。


「Mr.シルバーのメモ帳か何かやろうか?」

「それなら使われた形跡が全く見受けられないのが変でしょうや。」

「メモ帳なら持ち運びやすくて、もっと小さいのを選ぶだろうしな。」

「颯の言う通り…と意見を同じくするのは不服だけど…。確かにわざわざこんな巻物を携帯する必要はないわよね…。」


 ミストの言い方が癪に触った颯は歯軋りをし、両手でミストのツインテールを上下し始めた。

 ミストは誇らしげに腕を組んで堂々としてみせる。


「華凛、よく見たらこの巻物切り取り線があるよ?」


 ゴーストが巻物に切り取り線を指差す。


「うん、確かにあるけど…。」


 華凛は巻物の持ち方を変えて切り取り線を親指でスリスリした。


「試しに千切ってみるでしょうや?」

「はい、じゃあ…。」


 華凛は八雲の言う通りにし、一枚千切った。

 千切った後に巻物はすぐに再生した。


「わっ!?すごい!元に戻った!?」

「何てエコなんでしょうや!?」

「すぐに再生するんやったら、巻かれてる部分意味なくあらへん?」


 巻物の機能に驚く華凛と八雲に対し、素子は即座に巻物に突っ込みを入れた。


「なくならない紙とか私にとっては素晴らしい携帯食じゃない…!」

「ミストちゃん、よだれよだれ!はしたないで!」


 ミストは目を輝かせながら華凛が持つ巻物を見る。


「えぇっ?それじゃあ、これはミストやMr.シルバーのような式神にとってのご飯って事ぉ〜っ?」


 華凛はMr.シルバーからせっかく手に入れた巻物がただの携帯食かもしれなくて両肩をがくっと下ろした。


「ふふん、秘技!乱れ紙破りぃっ!」


 颯はそう言うと華凛の前に立って一緒に巻物を持ち、巻物の紙を破いては地面に散らした。


「おぉっ、面白い!かなり地面にばら撒いたのに問題なく巻物は再生してみせたぞ!」

「もう、颯ちゃん!遊んでる場合やないやろ?」

「ふん、まるで遊んだ玩具を散らかす子供のようですね。」

「おのれ、やはりツインテロリ呼びに戻すか…!」


 颯はやれやれ顔のミストを見て怒り出した。


「…!? これって…!?」


 華凛はしゃがんで床に散らばった紙を見た。

 華凛はこの光景に見覚えがあった。


「どうかしたの、華凛?」

「…もしかしたら!」


 華凛は両手で握り拳を思わず作り、立ち上がった。

 何か重要な手掛かりを掴めた気がしたからだった。


「何かわかったん、華凛ちゃん!?」

「ほれ、見ろ!ミスト!私の一見遊びにしか見えない天然なる行動が華凛に重大なる閃きを与えられたのだよ!」

「やれやれ、偶然でここまで強がれるのも才能ですね…。」

「二人共、仲良く。仲良くでしょうや。」


 互いに火花をバチバチさせる颯とミストに対して八雲は間に入って落ち着かせてみせた。

 華凛はその間にしゃがみ直して地面に散らばった紙を拾い集めて立ち上がった。


「みんな、お土産屋に行くよ!」

「お、お土産屋?何でなん?」

「何だ?閃きに閃いて予め勝利の美酒を買っておく算段か?」

「華凛に限ってそれはないでしょ…。」

「ミストちゃんと意見を同じくでしょうや。」

「み、みんな!とにかく華凛について行こうよ!」


 ゴーストに言われ、颯たちは走る華凛について行った。

 華凛はお土産屋の前に立ち止まった。


「これを…こうだっ!」


 華凛は回収した紙をお土産屋の床にばら撒いて見せた。


「おぉっ、華凛!この光景は!?」

「そうだよ、颯ちゃん!あの時の紙は恐らくこの巻物の紙だったんだ!」


 四年前の事件で華凛たちが来た際に散らばっていた紙。帰る時にはなくなっていた紙。

 その答えは間違いなくこの光景に答えが秘められていた。


「どうやら、推理ショーの開演時間と言ったところかな?」


 華凛たちは急いで声がした背後を振り向くとMr.シルバーが立っていた。


「あなたは老紳士殿!」

「やぁ、さっきぶりだね。そして、リアクションありがとう。」

「待つんや、Mr.シルバー!まだうちらは推理がまとまって…。」


 素子がそう言い掛けると華凛は素子の右肩に手を置いて頷いてみせた。


「ありがとう、素子ちゃん。私なら大丈夫!さぁ、Mr.シルバー!あなたの言う通り、開演してあげる!私たち、御頭(おがしら)ミステリー研究会の推理ショーをね!」


 華凛は自信満々、威風堂々とMr.シルバーを右手で指差してみせた。

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