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43章 失われた未来の銀と現代の白い霧

 華凛に推理するための判断材料を渡すため、Mr.シルバーに闘いを挑んだミスト。

 華凛はミストの頑張りを無駄にしないためにもMr.シルバーの動きを余すことなく観察し続ける。


「ほらほら、どうしました?飼い犬に噛まれる気分は?」


 ミストは操り糸を両手で巧みに動かし、ラゴウを操ってMr.シルバーを攻める。

 何だか側から見たらどっちが悪役なのかわからない。


「華凛ちゃん!」


 別の場所を調べていた素子と颯、八雲が駆けて戻って来た。

 華凛の近くに立ち止まり、Mr.シルバーとミストの闘いを一緒に見る。


「何故、老紳士殿とツインテロリが闘っているのだ?」

「華凛さん、何があったんでしょうや?」


 華凛は素子たちにこうなった経緯を話した。


「そうでしょうや…。Mr.シルバーの能力を華凛さんに見せるためにでしょうや…。」

「うむ、良き心意気だ!見直したぞ、ミスト!」

「そやったら、うちらも華凛ちゃんと一緒に観察や!」


 ミストが闘っている理由を知った颯たちは華凛と共にMr.シルバーの観察に入った。


「…そろそろ人形遊びに付き合うのも飽きて来たな。」


 Mr.シルバーはそう言うとステッキを一旦宙に放り投げ、トランプを数枚右手から出して投げた。


「なっ…!?」


 投げられたトランプはミストの糸を切断した。

 トランプはそのまま近くのシャッターに突き刺さった。

 操り糸から解放されたラゴウは即座に振り返り、ミストに回し蹴りを喰らわした。


「ミスト!?」


 ミストは吹っ飛び、服屋の店内に倒れた。


「華凛ちゃん、うちが行く!」


 素子は鞄から救急箱を取り出し、服屋で倒れているミストの元まで走った。


「ラゴウよ。式神とは言え、彼女も一応レディだ。お手柔らかにね。」


 ラゴウは頷くとMr.シルバーの近くに着地した。


「おのれ、よくもミストを!許さんぞ、老紳士殿!」


 颯はそう言うとスマホから激!勇者丸を実体化し、刀モードに変えてMr.シルバーに斬り掛かる。

 ラゴウが間に入り、両手を交差して激!勇者丸のビームの刀身を受け止めた。


「ふん…!お主とはまだ雌雄を決していなかったな、ラゴウよ!」


 颯はビーム刀を、ラゴウは両爪を互いにぶつけ合わせながら移動する。


「そのワンちゃんの相手は任せますよ?」


 服屋から飛び跳ねて来たミストがそのままMr.シルバーに向かって突進し、ナイフを刺しに行った。


「ふん。」


 Mr.シルバーはミストの降るナイフを後ろに二歩下がって避ける。


「取った!」


 ミストはナイフをMr.シルバーの首に向かって横一閃しようとするが、Mr.シルバーは無数の紙の鳩に変わって散らばった。


「その避け方…待ってた!」


 ミストはMr.シルバーが無数の紙の鳩から元の身体に戻ろうとする瞬間を狙って飛び込んだ。


「ミスト!?」

「なっ…!? 一体何を…!?」


 Mr.シルバーは元の身体に戻り、自分の身体を両手で何度も振れる。


「ミ、ミストちゃんがMr.シルバーの身体に取り込まれてしまったでしょうや…。」

「ミスト…。 …?」


 華凛はMr.シルバーに取り込まれてしまったミストの身を案じながらも、ミストとの約束を守る事も重視し、Mr.シルバーの身体を見ていた。

 Mr.シルバーの履いている靴が女性もののゴシックドレスに合う靴を履いていた。


「靴が…?あの時みたいに…。」


 華凛は四年前、Mr.シルバーの革靴が黒から茶色に変わった事を思い出す。

 その謎を明かすためのヒントがミストの我が身を顧みない行動のおかげでわかった気がした。


「こ、この女…まさか、私の…!?」


 Mr.シルバーは珍しく動揺を見せ、左手を顔に当てて苦しんでいた。


「華凛!」

「…! ミスト?」


 よく見るとMr.シルバーの腹から長い糸が出ていた。

 華凛はその糸の意味を即座に理解し、Mr.シルバーの元に駆ける。


「わかるよ、ミスト!これはあなたの…!」


 華凛は糸を右腕に巻き付け、思いっ切り両手で引っ張った。


「命綱だぁーっ!」

「でしょうや!」「全く、粋な事してくれるで!」


 ハ雲と服屋から戻って来た素子も華凛の両手を掴んで一緒に引っ張った。


「華凛…!」


 Mr.シルバーの体内からミストが出て来た。

 舞い散る紙の中で、地面に倒れそうなミストを華凛は急いでキャッチした。


「大丈夫、ミスト?」

「へ、平気…だけど…。」


 ミストは左手で頭を抑えながら立ち上がた。


「か、かいま…。ま、まがつ…?な、何…?」

「ミスト…?どうしたの?」


 ミストは混乱状態にあった。

 華凛は急いで立ち上がり、ミストの背後から両肩に手を置いて心配した。


「驚いたな…。君は()()()()()()なのか…?」


 Mr.シルバーはふらつきながら華凛たちを見た。


「この、世界…?」

「ミスト…?まさか、キミは…?」


 ゴーストはミストとMr.シルバーの関係を察したようだった。

 ゴーストの反応で華凛も何となくわかった気がした。


「だとしたら、少々ショックだな…。同じ永久式神なのに元にした書物の違いでここまで変わるとはな…。」

「私だって…!あなたと私が同一存在だなんてお断りです…!」


 ミストはそう言いながらMr.シルバーにあっかんべーして見せた。

 Mr.シルバーも動揺しているようで意味深なワードを話し始めている。


「…ふん、ラゴウ!」


 Mr.シルバーがラゴウの名を呼ぶとラゴウは颯との闘いをやめてMr.シルバーの近くまで飛び跳ねた。


「に、逃げるんですかっ!?」

「お遊びが過ぎたよ…!何、私としても心の整理が必要なのでね…!」


 そう言うとMr.シルバーはラゴウに抱えられ、この場を去っていった。


「行ってしもうた…。」

「うむ、また逃げおった。」


 ラゴウと闘っていた颯は激!勇者丸を光の玉に戻し、スマホの中に戻した。


「…大丈夫。どの道、彼は華凛をまた監視しないといけないから近くで隠れてるはずだから…。」


 ミストはふらついたので華凛はしゃがんでミストを楽な体勢にして座らせてあげた。


「華凛さん、どうだったでしょうや?Mr.シルバーの能力判定は?」

「…新たにトランプ投げ…。それと、ミストを取り込んだ際に履いてる靴が変わったのは大分大きなヒントだったと思う…。でも、まだ…。」

「お困りですか、名探偵?」


 ミストは懐から巻き物を取り出した。


「これって…?」

「私の特技忘れた?スリよ、スリ。」


 華凛は少し笑みながらミストが持っている巻き物を手に取った。

 どうやらMr.シルバーと一体化したのはこのためもあったようだ。


「もう…。スリはやめろって言わなかったっけ?」

「言ってなかったと思うよ?華凛がやめろって言ったのは不法侵入と無銭飲食じゃなかった?後は紫煙家への謝罪。」


 華凛はミストの軽口に呆れながらも頭を撫でてあげた。


「ありがとう。ミストが身体を張って手に入れてくれたこのチャンス!私、絶対に活かすからね!」

「うん、その意気はよし。」

「もう、何様よ?」

「斬り裂きジャック様よ?」


 華凛とミストは共に笑いながらその場から立ち上がり、Mr.シルバーが去っていった方を見た。

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