30章 展開せよ、究明のパズル!私/ボクたちはディテクティブ・デュラハン!
華凛たちは天衣無縫の館を後にし、紫煙ファミリーが住む一軒家までやって来た。
「ゴースト、お願い。家の中や物置きにある段ボールを見つけたら、写真を撮って来て。」
「お安い御用さ。」
華凛はそう言うとカードを実体化し、デバイスに読み込ませた。
「ヘッドチェンジ!シャインカメラ!」
ゴーストはシャインカメラゴーストに姿を変え、紫煙家の中に入っていった。しばらくするとシャインカメラゴーストが戻って来て写真を手渡して来た。華凛は写真をすぐに受け取って確認する。
「八雲先輩、これ…。」
華凛は八雲に一枚の写真、カラクリ人形が入れられた写真を渡した。
「…間違いないでしょうや。お侍さんに笛吹き…。全部お兄ちゃんが作ったカラクリ人形でしょうや。」
「当たりって訳やね…。せやけど、何でこないな事したんやろ?」
そんな話を素子としていると、ちょうど家の中からかなえが姿を見せた。
「お母さん、ただいまでしょうや。」
「あら、八雲。お帰りなさい。華凛さんたちもいらっしゃい。」
華凛たちはかなえに対し、お辞儀をした。
「あの、かなえさん、聞きたい事があるんです。」
「あら、何かしら?改まって。」
「昨日かなえさんが持ってた段ボール…。その中身の話です。」
華凛からその言葉を聞いた後、かなえは少し間を空けた後、口を開いた。
「あ、あぁ、対した物じゃないのよ?使わなくなった食器とかだから…。」
「これが食器ですか?」
華凛はカラクリ人形が入った段ボールの写真を見せた。
「…!? どうやって、そんな写真を…!?」
そう言った後、かなえは急いで右手で口を塞いだ。
まだ証拠が不十分な状態ではあるが、華凛はこの場面を好機だと思い、思い切って攻める事にした。
それに華凛の推理が正しければ、かなえは別に悪い事をしている訳ではないので証拠はなくても大丈夫なはずだと思った。
「かなえさん、あなたが何故、火縄さんが作ったカラクリ人形をカラクリ人形コーナーからここへと運んでいたのか?そして、ここ一週間で何故カラクリ人形だけが破壊されていないのか?それは、怪物からカラクリ人形を守るため…ではないですか?」
素子たちとの会話でカラクリ人形を隠れて売ったりしている訳ではない事はわかっていたので華凛はこの仮定に辿り着いた。
「そ、そうよ。この家にある思い出のカラクリ人形たち…。特にあの子が作ったカラクリ人形たちはあの化け物には破壊されたくなかった…。」
「つまり、かなえさん。あなたは怪物がどんな存在なのかを知っているんですね?」
華凛の言葉を聞いて八雲たちは驚いた。
「ちょ、ちょっと待ってや、華凛ちゃん!怪物はカラクリ人形は壊さへんのやろ?ほなら、火縄さんの作ったカラクリ人形をわざわざ回収せんでもええんとちゃう?」
「違うよ、素子ちゃん。壊さないんじゃない、壊させないようにしてたんだよ。仕組みは私にもよくわからないんだけど…。」
かなえは両手で自分を抱きしめ、下を向いた。華凛が持っているデバイスが青く光り始める。
「そうだ…!この事件は現実に起こる事件の、人としての視点を持ったままじゃ解決できないんだ…!超常現象を納得した状態で私は真理を、謎を解明してみせる…!」
そう言った途端、華凛の瞳の色が茶色から青に変わり、光らせた。身体から青いオーラを出す。
華凛の脳内に口元を緩めたMr.シルバーの姿が一瞬見えた。
「か、華凛…?」
華凛の心配をするゴースト。華凛が持つデバイスに勝手に二枚のヘッドカードが読み込まれた。
『ディサイドヘッド、承認。この承認に問いかけは必要ありません。』
デバイスから音声が鳴った。
「ディ、ディサイドヘッド!?何で…!?ボクと華凛の…!?そうか、一回ヘッドを使ったから…!でも、勝手に発動するなんて…!?」
ゴーストに華凛に似た髪、サイドテールのついた鹿撃ち帽のようなヘッドが装着され、茶色いインバネスコートを着込んだ。
「な、何だ、一体!?」
「…あの姿…。まるでホームズのようなでしょうや…。そう、名探偵のデュラハンでしょうや…。」
颯と八雲がゴーストと華凛を見て驚いた。
「見える…!ゴーストの目を通して真実が見える…!真実はこんなに世界に溢れてる…!かなえさんが隠している事がわかる…!」
華凛の周りに様々なパズルのピースが次々と浮かび始める。華凛は目の前に青く光る球体が出現する。
「な、何だ?パズル?」
颯たちは困惑しながら急に周りに現れたパズルのピースを見渡した。
「これは、これまで私がみんなと一緒に得て来た情報や、かなえさんが隠している感情や秘密をパズルのピースとして具現化したものだよ。」
華凛は両手を動かし、あくまでこの事件にだけ関係するパズルのピースを見つけて
、パズルをどんどん完成させていく。
「…そっか、かなえさんはこの家のやり方に不満を持っている…!家事を一人でやっているストレス、その上で陰陽師コーナーも任される辛さ…!自分の家とやり方が異なる陰陽道…!そこに繋がるのは…これだ!」
華凛は近くに浮かぶピースを次々に手に取り、青く光る球体に合体させた。
「火縄さんの洋風を取り入れようという新たなアイディアを全く取り入れない事!凝り固まった閉ざされた風習に対しての反抗意識…!それが集まったのが…!」
「お前だ!」「オマエだ!」
「あ、あぁっ…!?」
華凛とゴーストが一緒に指差すとかなえが声を上げ、背後から大きな羽の黒い鳥人が姿を現した。かなえは気絶し、地面に倒れる。
「な、何なん、あれ!?」
「まさか…式神でしょうや!?」
「そうです、八雲先輩…!かなえさんの邪念や不満、憤りが積もり積もってしまって生まれた存在…。それが怪物の正体だ!」
華凛はまたピースを手に取って光の球体に合体させた。
「Ms.ホワイトミストと出現タイミングが同時期なのはそれがとどめのストレスとなったから!かなえさんはその前までは自力で封じ込めてたんだ、この醜悪なる怪物を…!」
華凛はそう言った途端、急に目眩がした。
「あっ…!?」
華凛とゴーストは元に戻る。華凛は地面に膝をつき、頭がくらくらするので右手を額に当てた。
「か、華凛ちゃん!?平気かっ!?」
素子たちもしゃがんで華凛とゴーストの心配をした。
「キシャァァァァァーッ!!」
鳥の化け物はかなえから離れ、飛んでいった。
「…!? いけない…!?あいつを館に向かわせちゃ…!?みんな、すぐに追いかけよう!」
「華凛ちゃん、でも…。」
「私なら、大丈夫だから…!行こう!」
華凛は何とか立ち上がり、ふらつきながらも気絶したかなえを皆で協力して家の壁に寄っ掛からせ、天衣無縫の館まで走った。




