表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/40

21章 友情と奇策のレアフレーム

「よいしょ、っと…、」


 華凛は個室に入り、椅子に座った。机の上にデバイスとカードパック1BOXを置いた。


「早速開けるの、華凛?」

「うーん…。期待感でここまで来といてなんだけど、どうしようか?パックを開けてからデュエル・デュラハンの着想を得るか…。それとも今、デュエル・デュラハンを決めてそれから開けた方がいいのか…。」


 華凛は腕を組んで考える。


「後者の方が本人情報を読み込んだ際にそれに合わせたヘッドカードになりやすいかもね。」

「そうだよねぇ〜っ…。その方が不必要なカードが出る事がない気がするし…。このカードパック、本人のその時の想いや気分とかにも左右されるんだね。ホント、珍しいゲームだ。となると、後者か…。」


 華凛は今まで見てきた光景を思い出して見る。


「…ねぇ、ゴースト。私とあなたはさ…二人共、今の自分じゃ駄目だ、変わらないと…って思いが共通してあるよね?」

「そうだね…。二人共、昨日の戦いみたいな事にはなりたくない、って思いは共通してる。」

「つまり…そう、颯ちゃんに付き合ったヒーローショー!素子ちゃんと話した女児向けヒロイン物!今後ぶつかるかもしれない難関を打破したいという『変身願望』だ!」


 華凛はひらめきと同時に指を鳴らした後、スマホを取り出し、デュエル・デュラハンのアプリを起動した。


「私にも、ゴーストにも、新たに作るこの子にもそれぞれが臨機応変に対応できる…そうだ、『オールラウンダー』!」

「いいよ、いいよ、華凛!ノッて来たじゃない!」


 華凛は思いついたデュエル・デュラハン像をどんどん形にしていった。


「この見た目だとシンプル過ぎるから、少しアクセサリーもつけて…よし、できた!できたよ、ゴースト!見て、見て!」


 華凛はスマホの画面をゴーストが映るデバイスに見せた。


「名付けて、『ルフォーゼ』!よし、これでSolve the case!」

「へぇっ、いいじゃないか。やったね、華凛!じゃあ、早速…。」

「開封開始、だね!」


 華凛はデュエル・デュラハン完成の勢いに乗り、パックを開け始め、続々と絵柄をつけていく。


「ふふっ、なるほど!これは確かに楽しいね!絵柄がどんどん付いてくし!」


 華凛は一枚ずつ手に取ってカードを作っていく。


「でも、確かに私の情報読み込んでるね、これ…。『カメラ』、『手帳』、『単眼鏡』とか探偵七つ道具みたいなヘッドができ上がってるし…。結構偏るね…。ダブらないようにしないと…。」


 華凛は次のパックを開けると一枚だけ違うフレームのカードが出てきた。


「あっ、これが例のレアフレームか…。」

「おぉっ、やったじゃないか!早速試す?」

「…いや、一旦保留。えっと…あった、これだね!」


 机の上に特殊な手袋が置いてある。壁に貼ってある注意書きによると、これをつけてカードを持てば絵柄がつかないまま机などに置き直す事ができる。

 別に手袋でなくても厚めのタオルとかでも大丈夫と書いてある。

 1BOX開けた結果、レアフレームは三枚出た。


「よし、ゴースト。デバイスから出てきて。」

「う、うん?わかった…。」


 ゴーストはデバイスの中から出て来て霊体となって華凛の隣に浮く。


「私の手とあなたの手を重ねて。一緒に持とう?」

「えっ?」

「最初の一枚のレアフレームはゴーストと一緒に持とうって思ってさ。」

「それはいいけど…。意味あるのかな?ボク、手が透けてるのに…。」


 ゴーストはそう言って自分の右手を見た。


「実体があるかどうかは関係ないよ。このカードは気持ちが大事なんでしょ?私がゴーストと一緒にカードを作りたい、って強く思えるようにゴーストには側にいて欲しい。ゴーストをより身近に感じたいんだ。」

「華凛…。わかった、やろう!」

「うん、そう来なくっちゃ!じゃあ、行くよ?」


 華凛がそう言うとゴーストは華凛の右手に自分の右手を重ねた。


「「せーのっ!」」


 華凛とゴーストが同時に机に置いたレアフレームに手を当てる。

 レアフレームは『ミステリアスヘッド』のカードになった。


「よし、何だか良さげのカードになったよ!これでゴーストはミステリアス・デュラハンだね!」

「ミステリアス・デュラハン…。ははっ、何だかかっこいいね!」

「でしょ?よし、次は…。一旦個室から出て…っと。」


 華凛が個室から外に出ると既に颯と素子が立って待っていた。華凛はデュエル・デュラハンの制作時間もあったので一番遅くなってしまった。


「ごめん、お待たせ!」

「ううん、うちらもさっき終わったばかりやから。」

「何だか嬉しそうだな、華凛。良いカードは出来上がったか?」

「うん、まぁね!」

「ほなら、店内に戻ろか。」


 素子と颯は集中開封室から出ようとする。


「あっ、待って!二人共!」


 華凛は手袋で持ったレアフレームを二人に見せた。


「それはレアフレームやん…。」

「何だ、まだ絵柄をつけてなかったのか?」

「うん。私さ、さっきデュエル・デュラハンを遂に作る事ができたんだ…。それを思いつけたのは、完成できたのは二人が私に付き合ってくれたおかげでもあるから…。だから、このレアフレームは三人で一緒に持って作りたい、って!そう思ったんだ!」

「華凛ちゃん…。うん、わかった!ええよ?」

「嬉しい事言ってくれるじゃないか、華凛!」


 華凛は頷いた後、近くのテーブルにレアフレームを置いた。


「二人共、私に手を合わせて。」


 華凛が左手にデバイスを持ち、右手を前に出すと素子、颯の順で手を重ねた。


「…行くよ?今後の御頭(おがしら)ミステリー研究会に幸、あれ!」

「えい!」「そりゃっ!」


 華凛たちは三人で机に置かれたレアフレームに触れた。レアフレームは『フレンドシップキャンドル』カードになった。


「何だか、いかにもゴーストに使ってね、みたいなカードになったね…。」

「当たり前やん。うちらの出会いの始まりは白霊の寺やし。」

「それが読み込まれてキャンドルヘッドになったのだろう。」


 華凛は左手に持ったデバイスを見た。


「もしかしたらさ、ゴーストの情報も読み込まれたのかもしれないね。」

「そうだね…。きっとそうだよ。」


 華凛はフレンドシップキャンドルのカードを手に取って改めて見て実感を得た後、入れ物に保管して鞄に入れる。

 華凛たちは集中開封室から外に出て店内へと戻る。


「このヘッドカードは一見、攻撃的なように見えるが…その実、防御的でもある。押しだけでなく、引きも大事だ。」

「うん!わかったよ、おじさん!」


 店内に戻ったら意外な光景を華凛たちは目の当たりにした。

 Mr.シルバーが二人の子供にティーチングをしていた。


「ん?おぉっ、華凛君たち。開封、終わったのかい?」


 Mr.シルバーは振り返り、華凛たちを見た。


「う、うん。終わったけど…。」

「何してはりますのん?」

「何、この子たちがデュエル・デュラハンのカードゲームで遊んでいてね…。カード効果に悩まされていたようだから、見兼ねてついティーチングしてしまったのだよ。」


 Mr.シルバーは顎に手を当てて華凛たちを見る。


「ふむ…。どうやら、手応えはあったようだな…。ならば、私の役目はここまでだ。今日はここで別れよう。私はまだこの子たちを教え導かねばならないからね…。」

「…らしいぞ、華凛?」

「そっか…。わかった。じゃあ、行こっか。」


 颯と素子は店内から出るが、華凛はMr.シルバーに近寄った。


「…ねぇ、Mr.シルバー。」

「ん?何だい、華凛君?まだ何か…?」


 華凛は何度も折り畳んだハンカチでレアフレームを左手で握っており、右手に持ち変えると同時にMr.シルバーの左手に当てる。

 レアフレームは華凛とMr.シルバーの情報を読み取り、絵柄がついた。


「…ほう、これは驚いたな…。」

「ふふっ、切り札ゲット♪もしかしたら、これがジョーカーになり得るかもね?」


 華凛は口の前に絵柄のついたカードを配置し、笑みを浮かべた。その後、振り返って歩き去る。


「…その行動は予想していなかった…。ふふっ、素晴らしい欺きだ…!やはり君は食わせ者だよ、華凛君…!」


 背後で何やらMr.シルバーが喜んでいたが、華凛は無視して颯と素子の元へと走った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ