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18章 華凛のデュエル・デュラハン制作記

「うーん…。」


 華凛は十糸(といと)の森から電車に乗り、家に帰って来た後、すぐに風呂に入って悩んでいた。


「もぐもぐ〜ん…。」


 風呂から上がった後、寝巻きに着替えて髪をドライヤーで乾かした後、晩御飯を食べている最中も悩んでいた。


「ふーむ…。」

「帰って来てから何悩んでるの、華凛?」


 華凛は腕を組んでベッドに置いたスマホとゴーストが映るデバイスと睨めっこしていた。


「とりあえずデュエル・デュラハンのアプリは落とした。ニックネームも入力した。でも、デュエル・デュラハンのモデリングで躓いた…。」

「あぁ、それで悩んでたのね。」


 華凛はスマホを手に取り、操作する。


「帰りの電車で素子ちゃんや颯ちゃんからアドバイスはもらったし、ネットサーフィンもしたけど…。一からモデリングするより、ベースモデルから作った方が楽…とは言ってもなぁ〜っ…。自分がこうしたい、っていうコンセプトがわからない…。」


 華凛はベースのデュラハンを次々と見るがどれもしっくり来ない。


「ははぁ〜ん?さては華凛はゲームを買ったら、まずキャラクリエイトに時間が掛かってすぐにプレイをできないタイプであられますか。」

「うん、あられます…。Solve the case…。」


 華凛は未だにデュエル・デュラハンのモデルユニットを確認している。


「だって、糸が覚醒したら颯ちゃんのデュエル・デュラハンみたいに実体化するんでしょ?何かファンタスティックでいいじゃん?だったら、ちゃんと納得のいくデザインにしたいじゃん?」

「その通りじゃん。ボクのまた新たな友達になるんだし、確かにちゃんと作りたいね。」

「でしょ?ゴーストは何かリクエストある?」

「そうだなぁーっ…。」


 デバイスの画面内のゴーストも悩み始めた。


「やっぱり、今日の戦いで気になった点は防御面だね。ボクはこの通り、幽霊だから華凛たちを身体を張って守れないし。」

「防御タイプのデュラハンか…。」


 華凛はディフェンスタイプのデュラハンのモデルユニットを確認したが、どれもしっくり来なかった。


「颯ちゃんが危なっかしい攻撃タイプで、もし素子ちゃんのデュエル・デュラハンが実体化したら回復タイプ…。私たちが今後研究会として活動する際に危険な目に遭う事を考えたら、確かに防御タイプがいいんだけど…。それでも実体化時間は三分…。三分だけ実体化する防御タイプってどうなんだろ?」

「うーん、状況によるかな?ならさ、ボクをサポートするタイプとかは?合体とか!または、華凛が見たり読んだりしてる憧れのヒーローに模してみるとか!」

「ははっ、それ著作権とか大丈夫かな?」


 ゴーストは次々と案を出してくれるが、どれもやっぱりしっくり来なかった。


「うーん…。あ、そうだ。お姉さんに聞いてみたら?お姉さんもデュエル・デュラハンやってるんでしょ?」

「お姉ちゃん、お疲れでもう寝ちゃってるし…。」


 華凛は天音がいる部屋の方向を見た。


「それにお姉ちゃん、育成ゲームとして楽しんでるからバトル絡みは専門外かも。さて…。」


 華凛はノートに自分がイメージしたゴツいデュラハンを描いてみたりしてみたが、段々と眠くなってきた。

 華凛が次に気がつくともう朝だった。


「…あ、しまった。何かそのまま寝ちゃってたよ…。」


 華凛は普段通り、シャワーを浴びて朝ご飯を食べる。

 仁と天音はもう出勤していて家にはいなかった。

 朝ご飯を食べ終え、依唯子に行って来ますの挨拶をし、中学へと向かう。


「デザイナーさんとかって、毎日こんな風に過ごしてるのかな…?」


 華凛は通学路を普段よりも隅々まで見渡しながら歩くが、特にアイデアらしきものは見つからなかった。


「おっす、華凛!」

「おはよう、華凛ちゃん。」

「うん、おはよう。颯ちゃん、素子ちゃん。」


 あっという間に教室に辿り着き、颯と素子に挨拶した後、自分の席に座った。


「それで華凛、デュエル・デュラハンはできたか…!?早速、バトろうぞ…!」


 颯が期待の眼差しで華凛を見てきた。


「あははっ、それがまだ…。デザインに躓いちゃって…。」

「あらま。華凛ちゃん、凝り性やからねぇ。」

「うん、何かヒント見つからないかな…?」


 華凛は教室を見渡すがあまり人はいない。いるのは後頭部に両手を当て、足を机に置いている深也だけだった。


「…あっ、そうだ!」


 華凛は立ち上がり、深也の側まで小走りした。


「あのさ、海原君。」

「あん?お前は確か…華凛、だったか。」

「そう、華凛。海原君ってさ、デュエル・デュラハンの大会準優勝者なんだよね?私にアドバイスしてくれない?今、始めたいと思ってるんだけど、悩んでてさ…。」


 深也は華凛を見て驚いていた。


「ん?どうかした?」

「…いや、ここの連中は俺の不良部分にしか触れなかったんだが…俺を大会準優勝者として見て近寄って来たのはお前が初めてだ…。変わってんな、お前…。」

「えっ?そうかな?すごいじゃん、準優勝なんて。」


 華凛が不思議そうにしていると深也は照れ臭そうにしていた。


「おい、華凛!何も…!」

「は、颯ちゃん!ちょっと静かにしてなぁ〜っ…!」


 素子は急いで颯の口を両手で塞いだ。


「…だが、俺みたいな不良と関わってたらお前にまで悪影響を及ぼしてかねねぇから、あんま関わらねぇ方がいいぜ?不良とつるんでる奴、って見られちまうぞ?」

「そうかな?そんな風に気にしてくれてるところからして、あなたはそんなに悪い人じゃないと思うな。」

「…ホント、変な奴…。で、何を悩んでんだよ?」


 深也は聞いてくれる気になったみたいで華凛はつい笑みを浮かべた。


「ありがとう!うん、えっとね…。ディフェンスタイプのデュラハンを考えてるんだけど…。」

「ディフェンスか…。専門外だな、俺は…。俺のオルカダイバーはアタックタイプだしな…。」


 深也は自分のスマホを取り出して見る。


「そうなの?」

「あぁ、俺には身体の弱い妹がいてな…。そのためには治療費が必要で、何が何でも勝ちてぇっ、勝ち続けなければならねぇ、ってよ…。だから、アタックタイプをとことん極めたんだ…。」

「し、深也…!お前にそんな事情があったとは…!この颯、お前をパーティに入れたくなったぞ…!」


 素子をどかした颯は涙を流し、深也を見つめた。深也はちょっと引き、椅子から立ち上がった。


「…あぁーっ、まずはデュエル・デュラハンの専門店とか行ったらどうだ?そこの品揃えとか見たら、ビビっと来るかもしれねぇぜ?」

「専門店かぁっ…。」


 華凛はあまりデュエル・デュラハンのお店には行った事がなかった。確かに行けばインスピレーションが湧くかもしれない。


「うん、わかった!私、行ってみるよ!ありがとね、海原君!」

「へっ…。」


 そう言うと深也は教室から去って行った。


「何だ、深也の奴?また授業サボりか?」

「せやろうねぇ〜っ…。」

「…と、いう事なんだけど!颯ちゃん、素子ちゃん!」


 華凛は小走りし、自分の席に戻った。


「うむ、良かろう!放課後、華凛をデュエル・デュラハン専門店に連れて行ってやろうではないか!」

「うん、うちもええよ。Mr.シルバーが抜き打ちで何かしてくるかもしれんし。」

「サンキュー、マイフレンド!」


 華凛は二人の手を握り、握手した。


「ほなら、御頭(おがしら)デパートに行こか。あそこなら結構品揃え良かったと思うし。」


 御頭(おがしら)デパートとはこの御頭(おがしら)街の中では一番大きいデパートだ。確かにそこなら品揃えがいいかもしれない。


「よし、決まりだね!よぉし、『窮地を脱するには気力あるのみさ』!大神華凛、頑張ります!」


 華凛が右拳を上に上げると同時にチャイムが鳴った。

 生徒たちが続々と教室に入り、担任の先生も入って来る。

 華凛は放課後を楽しみにしながら、授業を張り切って受けた。

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