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ユメヲミル  作者: はねのこ
交差点編
3/9

第三話: 交差点管理人

「夢路、最近よく寝てるよね」


翌日の昼休み、響がそう言った。


「え?」


「いや、授業中とか。前はぼーっとしてるだけだったけど、最近は本格的に寝てる」


言われてみれば、確かにそうだ。明晰夢が楽しくて、現実の授業がますますつまらなく感じるようになった。


「まあ、授業がつまんないし」


「でも、先生に怒られるよ?」


「大丈夫、大丈夫」


響は心配そうな顔をしていたが、俺はあまり気にしなかった。現実よりも夢の方が大事になってきていたから。


その日の夜も、俺は交差点に向かった。


相変わらずベンチには俺しかいない。でも、不思議と寂しくはなかった。いつか誰かが来てくれるという希望があるからかもしれない。


「今日は何をしようかな」


交差点から少し離れた場所に、小さなカフェを作ってみた。コーヒーの香りが漂って、心地よいBGMが流れている。


でも、やっぱり一人だ。


「はあ……」


ため息をつきながら、俺はまたベンチに戻った。


そのとき、ふとあることを思いついた。


「そうだ!現実のSNSで交差点の宣伝をすればいいんだ!」


明晰夢を見ることができる人なら、もしかしたら俺の作った交差点に来ることができるかもしれない。少なくとも、同じ場所を意識して夢を見れば、何かが起こるかもしれない。


「でも、どうやって来てもらえばいいんだろう?」


俺は交差点に来るための条件を考え始めた。明晰夢を見れること、交差点のイメージを共有すること、特定の時間に夢を見ること……


ある程度条件が決まってきたところで、夢から覚めた。もう朝だった。


「よし、これをSNSに投稿してみよう」


俺は学校に行く準備をしながら、頭の中で投稿内容を整理した。

学校につくと、いつものように響に挨拶をした。


「おはよう、夢路!」


「おはよう」


「今日も授業中寝るのかー?」響は苦笑いを浮かべながら聞いた。


「最近夢にハマってるんだよね」


「へー」響は軽く答えるだけだった。明晰夢なんて説明しても理解してもらえないだろうし、変に思われるかもしれない。


授業が始まっても、俺の頭の中は交差点のことでいっぱいだった。


「そうだ、SNSに投稿するんだった」


俺は思い出したかのようにスマホを取り出し、交差点に行く条件を書き出そうとした。でも、指が止まる。


「待てよ、リアルのアカウントで書いたら周りに変に思われるかな?」


クラスメートや響がこんな投稿を見たら、確実に「夢路、大丈夫?」って心配される。いや、下手したらヤバい奴だと思われるかもしれない。


「よし、新しいアカウントを作ろう」


俺は新しいアカウントを作成した。アカウント名は適当に「交差点管理人」にした。


そして、慎重に文章を考えながら投稿した。


『【夢の交差点へのご案内】


明晰夢を見ることができる方へ。


夢の中に「交差点」という場所を作りました。


一つのベンチと街灯があるだけのシンプルな空間です。


もし興味があれば、夢の中で「交差点に行きたい」と強く意識してみてください。




条件:


明晰夢を見ることができる


午前2時〜4時の間に眠りについている


交差点のイメージを頭に浮かべる(ベンチと街灯)


同じ夢を共有できるかは分かりませんが、実験として試してみませんか?


#明晰夢 #夢の交差点 #実験





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