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学院祭のダンスパーティ2

「ロザモンド様は王太子殿下の婚約者としてふさわしくありません!婚約を破棄すべきです!!」


マリアンヌの大声に、その場が凍り付いた。

一瞬の静寂ののち、怒りに満ちたウィリアムの声がホールに響いた。

静かな、それほど大きな声では無いけれど、凍り付いたホールの中によく通る声が。


「…君は何を言っているのかな?」


マリアンヌは雰囲気を全く読まずに大声で自信満々に続ける。


「今から、ふさわしくない理由を申し上げます!ロザモンド様はわたしをずっと苛めてきました!身分が低いことを理由に!そのような苛めをするような人間は王太子の婚約者にふさわしくありません!」


王太子の目が細くなる。


「…確かに身分を理由に苛めるような人間であればそうかもしれない。でも、ロザモンドが君をどう苛めたのだ?」


マリアンヌがその瞬間、悲しそうな顔に変わる。


「教科書を破られて、ゴミ箱に捨てられていたり…。」

「待て。ロザモンドはグロー男爵家に行ったことがあるのか?」

「え?…ありませんけど?」

「では、どうやって君の教科書を破ることができるんだ?」

「…え?教室の机の抽斗に教科書が入ってますよね?それが破かれていて…。」


その瞬間、周りで失笑が漏れた。

マリアンヌがさっと顔を赤くする。意味がわかっていないようだ。


「…グロー嬢。教室の机の抽斗に入っている教科書は学院の備品だ。君の物ではない。だから教科書が破かれていたとしたら、学院の備品損壊罪になるかもしれないが、君を苛めたとは言えない。」

「…え?」

「個人の所有物としての教科書を自宅で予習復習するために用意する生徒は確かにいる。だが、学院にわざわざ持ってくることは無い。それとも君は私物(きみ)の教科書をわざわざ学院に持ってきていたのか?仮にそうだとして、その教科書が君の私物だとどうやってロザモンドが知るのだ?」

「……っ!わたしが座る机の教科書だけが破かれていたからっ!わたしへの嫌がらせだとしかっ!」

「…基本的に座る席は自由だ。それに学年が違うのにどうやってロザモンドがグロー嬢の席を知ることができたのだろう?」



「………!くっ…。教科書の件だけじゃありません!廊下でよく突き飛ばされて転ばされたし!校庭では風の魔術を使われて噴水に落とされたこともあるし!」

「ロザモンドがそれをしたという証拠はあるのか?」

「わたしの友人が見ていました!…ね?」


マリアンヌが後ろを振り返って数人の女生徒に首を傾げれば、彼女たちは揃って頷く。


「はい。わたくし達がマリアンヌさんと一緒に居た時に起きた出来事です。」


その時、突然横からカイルが冷笑を浮かべて彼女たちに声をかける。


「君たちの証言はもしかしたら王宮裁判所でもう一度同じことを言わされる可能性があるけれど、大丈夫?何しろ事は王族がらみだからね。…知ってると思うけれど、王宮裁判所での証言は正しいことを言うという宣言をするために魔術契約が結ばれるので、嘘をつくと大変なことになるけど?」


とたんに彼女たちは顔色を変えた。


「…え?」

「本当に、マリアンヌ嬢を突き飛ばしたのがロザモンドだと断言できる?」

「…そ、そう言われると…。直接、相手の顔を見たわけでは無くて…。」

「そう、そうですわ。美しい金髪がちらりと見えたので、ロザモンド様だと…。」

「ふうん?つまり、状況からロザモンド様だと推察しただけで、断定はできないんだよね?君たちは。」

「そ、そうです…。」

「…だそうだけれど?マリアンヌ嬢?客観的な証拠が何も無いと苛めた相手がロザモンド様とは判断できないよね?」

「……ぅっ…!!!」


「…結局、君の被害妄想ではないのか?グロー嬢。」


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