マリアンヌは人気者
それから、マリアンヌは意識して魅了の力を使うようにした。
放課後はカイルがいつも傍にくっついていて、高位の貴族令息に近づこうとすると邪魔をしてくるので、攻略対象に近づくことはできなかったけれど、同学年の子であれば休み時間を利用して話しかけるのは難しくなかった。
なぜなら、カイルは1学年上だったため、さすがに休み時間まではマリアンヌに会いにこれなかったから。
マリアンヌが男女問わず、相手の手をぎゅっと握って目を見ながら話しかけ、その時に魔力をこっそりと放出すれば、彼らはころっとマリアンヌの言いなりになった。
ただ、その効き目は1週間程度。1週間ほど彼らから離れていると元に戻ってしまう。
だから、マリアンヌは自分の元に置いておきたい者を終日、引き連れて歩くようになった。
攻略対象に近づくためには、カイルが邪魔だ。
カイルは闇の魔力を持っているため、自分の魅了が効かない。
マリアンヌはカイルを攻略するのを諦めた。
でも、ウィリアムを諦めるつもりはない。もともと王太子妃になって威張りたいのだから。何とか外堀を埋めて王太子妃になってやる。
そうなってくると、カイルが邪魔だ。
ヤキモチ焼いてるんだろうけれど、高位貴族の令息に近づくことも話しかけることも許してくれないから。
マリアンヌは自分の魅了の力で言いなりになる生徒を何人も作り出し、カイルが自分に近づくのを邪魔するように命じ、彼から離れて行動するようになる。
また、言いなりになった生徒達には、ロザモンドはマリアンヌを苛めるから王太子妃に相応しくないという噂を流させた。
それだけでなく、高位貴族の令嬢達には、王太子殿下がロザモンド様を婚約者に置いておくのはいかがなものか、とまで言わせた。
実は、高位貴族の令息とはなかなか近づけなかったけれど、お茶会の授業では高位貴族の令嬢とは間近で話す機会がある。しかも、ロザモンドと同じグループになることが無いから魅了を使うのにはとても好都合だった。
授業中に魅了にかけても、その後、彼女たちと接点を持てないので効果は1週間程度。それだけで十分。
その1週間の間に彼女たちが王太子とロザモンドは相応しくないとつぶやいてくれるだけで、彼女たちの派閥の下位貴族達が勝手に煽り立ててくれる。
マリアンヌはいつも大勢の生徒に囲まれていて賑やかだった。
教師の何人かにも魅了にかけることができたので、味方が少し増えたのも喜ばしい。
マリアンヌは自分の思う通りに動く人間が増えたため一人一人に気を回す余裕がなくなって、いつの間にかカイルが自分の側に近づこうともしていないことに…気付いていなかった。




