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イザベラその後

 ウィリアムからわたくしはバーリー侯爵の逮捕およびその後について説明を受け、ため息をついた。


「ローズ?」

「イザベラ様は大丈夫でしょうか…。彼女は何も知らなかったですよね?」

「そうだね。彼女は父が罪を犯していたことを知らなかった。でも、バーリーが犯したのは全て大罪。本人は死罪の上、家の取り潰しもあり得た。そうならなかったのは一応今まで国にある程度の貢献があったからだ。平民に落とされず、貴族にとどまることが許されたのだから、後は彼女次第だ。」

「でも、イザベラ様は未成年の上、母君が実家にひとり逃げていきましたし…。」

「ああ、あの夫人ね。でもあの夫人は実家で軟禁になったようだよ。社交界には2度と出てこられないだろう。離婚したのでやむなく兄である伯爵が妹を受け入れたようだけれど、侯爵夫人になった後、自分より爵位が低くなった実家を馬鹿にしていたそうでね。自業自得だ。」

「そ、そうだったのですか。であれば、なおのこと、イザベラ様は…。」

「うん。だから、彼女の後見人としてバーリー侯爵の遠縁で経営に堪能な人に後見人兼仮の当主をお願いした。イザベラはわたし達と同じ年齢で、あと半年もすれば成人だけれど、その後も3年間、当主を務める。イザベラが本気で彼から学ぶ気があるなら、その3年の間に子爵として家政を運用できるようになるはずだ。…侯爵よりも子爵の方が家政の規模も小さくなるし…ね。」

「…そうですね…。イザベラ様が乗り越えてくださることを祈ります。」

「君はやさしいね…。」


ウィリアムがわたくしを抱き寄せ、額に口づけしてくる。


「さて。後は、マリアンヌの問題だけだね。…もう少し、辛抱して?」

「ふふ。辛抱はしておりませんわ。ウィル。むしろあなたのご負担を和らげることができずに申し訳ございません。」







 その後、イザベラは爵位が下がっただけでなく、生活苦とも直面しなければならなかった。

領民から搾取した税金を返金させられた上に領地を失ったため、急速に財政が悪化したから。

所蔵している宝飾品や調度品を売っても足りず、王都の屋敷を売ってようやく支払いを終え、その後は郊外の小さな屋敷に引っ越した。


かろうじて残った財産は少なく、その財産を自分の後見人が上手に運用してくれて貴族として最低の体面を守ることはできたけれど、今までのように好きな時にドレスや宝石を買うことはできず、甘やかされて育てられた彼女はストレスを溜めていく。

さらに彼女は後見人が家政を一生懸命教えてくれたのに

「なぜ、わたくしがそのようなことをしなければならないのですか?そのような仕事は執事がするものでしょう。」

と我が身に必要なことなのに目を背けて学ぼうとしなかった。


その結果、イザベラは後見人が去ると同時に、大店を経営する裕福な男爵家の次男を高額な持参金と共に婿に迎えることになる。

これは、イザベラを心配した後見人の恩情で見つけた縁談だったけれど、それに気づかない彼女は自分より15歳も年齢が上で太り気味かつ顔立ちもぱっとしない彼と結婚することを激しく嫌がった。

でも、後見人から

「私が後見人から降りたあと、どうやって生活していくのですか?この家の財産はこれしかありません。イザベラがこのまま生活していった場合、3年ほどで財産は尽きてしまいます。財産を増やす当てはありますか?無いでしょう。3年後、路頭に迷って野垂れ死にするか、娼館で身を売るか、あるいは修道院に入るかの三択になるのがわかっていませんね?さあ、どうされます?」

と迫られては何も言えず、従うしかなかった。


罪人の父を持つ自分を娶ってくれる貴族が皆無であることを、元侯爵令嬢の彼女だからこそ、よくわかっていた。

この婿の実家は自分の子供が我が家の男爵家よりも上の子爵家を継ぐことを喜び、喜んで援助を続けてくれた。

その援助のお陰で最低限の貴族としての体面を保って生活していくことができたけれど、イザベラは屋敷に閉じ籠り孤独な一生を送った。

子爵に落ちぶれた自分が社交界で哄笑の的になることを恐れて。



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