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王太子ウィリアム(ウィリアムSide)


「キャー!!ロザモンド様だわ!」

「オルレアン公爵令嬢だ。相変わらず美しい…。」


教室で本を読んでいたわたしは校庭のざわめきで、本から目を上げる。

王太子であるわたし、ウィリアムは護衛の都合上、生徒にもみくちゃにされることを避けて皆が通学してくる時間帯よりも早く登校させられている。


「相変わらず人気があるなあ。」

窓から校庭を見下ろせば、ロザモンドが頭を高くそらしてまっすぐな姿勢で流れるような足さばきで優雅に校舎に向かってくるのが見えた。

「…本当に君は綺麗だなあ…。」


王立貴族学院へ3年間通学するのは貴族の義務なので仕方ないけれど、彼女を他の男子生徒に見せたくない。と思う自分が居る。

王太子妃そして王妃になれば多くの貴族に囲まれることは仕方がない、わかっていることだけれど、まだ自分の物になっていないから彼女を奪われそうで少しだけ不安なのだ。

もちろん、絶対に奪わせはしないけれど。

彼女にふさわしくありたいと勉学や武芸に励み、幸い、この学院では常に学年1位か2位をキープしている。

ちなみに1位と2位を争っているのは将来、魔術長官になること間違いなしと言われている天才魔術師カイル・アードレーが居るからだ。彼の父は公爵で財務大臣を務めている。父王の良きブレーンの一人。

頭の良さは父親から。そして魔力の強さは彼の母たる公爵夫人の父、すなわち祖父が現在の魔術長官フリッジ侯爵なのでその血を濃く受け継いだと言われている。

成績は総合判定。つまり、魔術では絶対にカイルに勝てないため他の科目で彼に勝つしかない。そんなわけで少し油断するとあっという間に1位を奪われる。

良いライバルであると同時に生まれた時からの親友だからいいんだけど。


「よお。ウィリアム殿下。」

「カイル。今朝は早いね?いつもはギリギリに来るのに。」

「従姉妹が今日、入学式なんだよ。親が今領地を離れられないんで俺に案内してくれって頼まれちゃってさ。」

「従姉妹…?ああ、ロールス辺境伯のところの令嬢か。」

「そうそう。それ。」

「ロールス辺境伯は今、隣国スパード王国との緊張が高まっているから確かに領地を離れられないな…。令嬢の入学式に参加もできないとは申し訳ないことをした。父王に伝えておこう。」

「相変わらず硬いなあ。お前は。…まあ、そこがお前の良い所だけどさ。…そうそう、入学式後の新入生の魔力検査、出るよね?」

「ああ。生徒会長としても出ないといけないだろう。」

「今年の新入生にマシな魔力持ちが居るといいんだけどなあ。」

「お前が規格外過ぎなんだよ。」


 入学式には在校生は出席しない。

入学式と言っても、校長挨拶と授業内容と教師の紹介、入学前の試験結果によるクラス発表だけだからすぐ終わる。

その後は魔術庁から派遣されてきた役人が新入生の魔力の種類と量を調べる。

魔力の種類は、光、闇、火、水、地、風。

魔力を持つのは貴族だけで、普通の貴族はどれか1属性のみ使える。

最も多い属性が地。次が火でその次が水だったか。

闇属性と光属性を持つ者は少ない。

闇属性は王族に多く現れる。

光属性は滅多に現れず、持つ者の爵位はバラバラ。癒しの力なので見つかれば下位貴族であっても重宝される。

わたしの母である王妃が光属性。その母は伯爵家出身。

今のところ、他には数人しかいないはずだ。


 王家と王族の血が濃い公爵家は2から3属性が使える者が多い。

ちなみに王太子のわたしは闇、火、風の3属性。

婚約者のロザモンドは水、地、風。

将来の魔術長官と言われるカイルはなんと闇、火、水、風の4属性持ちだ。現在の魔術長官でさえ3属性しか持っていないので、それがわかった時は大騒ぎになった。


さて、今日の新入生の中に2属性以上持つ者か光属性を持つ者が現れるかどうか。

今年の新入生は伯爵以下の令息令嬢ばかりなので可能性は少ないかな?


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