第六話【選択する覚悟】
「彼の話はそれだけじゃなかったの……」
「……罪を犯してしまったら取り返しはつかない。だけど、ちょっとずつでも償うことはできる。『鬼』はそのためにいる」
「……な、何をバカなことを……。そんなものはなんの根拠もない、ただの妄想だ!」
「そう思うのなら俺を殺せば良い。ただし、『鬼』は俺以外にもあと一人だけ残っている。俺を殺せばそいつも殺さなくてはならない。そして、その罪を自分達だけで背負うことになる。……その意味をよく考えて結論を出した方が身のためだぞ」
後は好きにすれば良い、と言って目を瞑って動かなくなった。
「……その後、怖くなった村長達はとりあえず様子を見ることにしたの。……だから、監禁した」
「マサキが生きていることを村人には悟られないように、か」
「そう。そして、彼の言った通り、村にミクが現れた……。その日から毎日村長達は集まって話し合いを続けたの……」
「マサキは知っているの? 私たちの……呪いの解き方を……」
ミクは閉じ込められてからずっと、食事と寝ているとき以外はマサキと話して過ごしていた。
「……俺はお前が何も知らないことの方が驚きだけどな」
マサキは呆れたように言って、出来るだけ分かりやすいように説明した……。
「……そして彼は自分が知っていることを説明していったのよ」
「……ちょっと待て。何でマサキはそんなことを知ってるんだ? 村人も知らないんだろ……?」
「……あれ? 話してなかったっけ……?」