第四話【閉じられた未来】
「それじゃ、話を再開しましょうか」
吊るし上げにされた母親を見たミクは呆然と立ち尽くした。
「お……、お母さん……?」
ミクを見た村人達ははざわめき始めた。
居るはずのない……、違う。居てはならない、頭に角を生やした子供。
少女と女の間くらいの歳に育ったその子供が、村人に戸惑いを与える。
ミクは、呆然とした瞳から涙を流すと、その場に倒れて、そのまま気絶した……。
気が付くと、壁に背を向けて座った姿勢で、手が頭の上で縛られ、動かすことができなかった。
暗い部屋に、閉じ込められたのだと分かるのに、しばらくかかった。
「……ここは、どこ……?」
思わずポツリと呟く。
誰に尋ねたわけでもない。……敢えて言うなら、自分自身への問いかけだった。
しかし、期待しなかった答えが、暗闇から聞こえてきた。
「……気付いたのか、新入り?」
「……誰?」
「おいおい……。人に名前を聞くときは自分から名乗るものだ、って教わらなかったのかよ?」
「むぅ……。……私は神谷未来。ミライって書いてミク。……あなたは?」
「俺は逸見マサキ。シンのクサリのキボウと書いて真鎖希だ」
「……彼は3年前、12才の時に見付かって、監禁され続けていたの」
「……監禁? 殺されなかったのか?」
「殺さなかった? 違うわ。殺せなかったのよ……」
「……殺せなかった……?」
「そう。……色々な意味でね。そして、死んだことにして監禁され続けているの」