第十六話【伝説の結末】
「さて、と……。続けましょうか……?」
『……そっか。だからマサキはいろんなことを知ってたんだね……』
マサキの話を聞き終わったミクは、納得したように頷いた。
「……くそっ。今更文句を言ってもどうにもならないから、伝えるべきことを伝えるよ。《霊》は、二つのことを成し遂げなきゃいけないらしい。一つは《霊感》を持っているヤツに『鬼』のことを説明すること……。そしてもう一つは……」
そこで一度切って深呼吸をすると、吐き捨てるように言った。
「……そいつとある程度まで仲良くなった上で、そいつにその力で成仏させてもらうことだ……」
『…………っ!』
ミクは想像していなかったらしく、息を飲んで呆然としている……。
……その時、マサキの顔が悲しそうに歪んだ。
「……悪いな。もう駄目みたいだ。もう、お前のことが見えない……。……でも、お前が選んだんだ……。しっかり役目を果たせよ……」
マサキは苦しそうに途切れ途切れに言うと、力尽きたように、そのまま倒れてしまった……。
「……次にマサキが目覚めたときには既に力を失っていて、それから《霊》を視ることも声を聞くことも二度と無かったの……」
「……ふぅん……」
「……それからマサキや村人はそれぞれに生きて、死んでいった……。その村は結局、子供が産まれることもなく滅んじゃったけど、みんな幸せだったんじゃないかな……?」
「……そうかもしれないな……」
「うん。……そうじゃないと、悲しいよ……」