第十一話【生死の狭間】
「それじゃあ、続けよっか」
ミクが祈り始めると、村人達がすごい頭痛に悲鳴を上げ、その中の数人があまりの痛さに気絶した。
悲鳴を聞いたミクが急いで祈りをやめようとしたとき、声が響き渡った。
「うるさい! 黙れ! それくらいの痛みで大声を出すな! ミクも祈りをやめるなよ! 今やめたら村人全員、死ぬことになるぞ!」
その言葉にミクは思い出した。自分の力の恐ろしさを……。
自分に関わっただけで死んでいった、たくさんの動物のことを……。
「…………ッ」
歯を噛み締めて精一杯に祈る。
……村の人たちやマサキに、未来を与えてください……。
その時、マサキが何かを呟くと、ドサッ、と何か重い物が倒れる音が立て続けに聞こえた。
「……よくやった。《儀式》は終わったぞ……」
その言葉にミクが目を開けてみると、ついさっきまで絶叫していた村の人たちは全員、地面に伏せてしまっていた。
「…………ッ!?」
ミクが声にならない悲鳴を上げてマサキを見ると、状況を理解したマサキが呆れたように言った。
「……安心しなよ。誰も死んでいない。ショックで気を失っているだけだよ……」
「……マサキの言葉を裏付けるように、村長を含めた村人の中からイビキが聞こえてきたの……」
「……それにしても、そんなに酷い頭痛だったのか?」
「……まぁ、そうなんだけど……。でも、ほとんどマサキが気絶させたのよ。自分の力を使ってね……」
「マサキが……?」
「多分、悲鳴を聞いて苦しむミクの姿を見たくなかったんだよ。……だから」
「気絶させて苦しまないようにした、と……?」
「きっとそうなんだと思う。……想像でしかないけどね。それじゃあ、後日談と行きましょうか」