第一話【全ての始まり】
「知ってるかな? この辺りには、昔から伝説と呼ばれるモノがあってね……」
『鬼』一族。
それは、この辺りに昔から伝わる言い伝えだという。
その頃、この辺りには人間じゃなくて、『鬼』と呼ばれるモノ達が生活していた。
そのモノ達の頭には、決まって角が生えていたという。
そのモノ達は争いを嫌い、争いばかりの人間から逃れ、この辺りに村を作って、平和に暮らしていた。
大人達は朝早くから田畑の世話をして、子供達は毎日元気に遊びまわっていた。
そんな村だからこそ、笑い声が途切れることはなく、楽しく暮らしていた。
しかし、その平和はあっけない終わりを迎えることになる。
……人間だ。
ある日の朝、人間が攻めてきたのだ。
争いを嫌う『鬼』達がちゃんとした武器を持っているわけもなく、まず、男達がどんどん殺されていった。
女達はといえば、1人を数人で押さえて無理矢理犯し、さんざん遊ばれた後に殺された。
老人や子供達にも容赦することはなく、簡単に殺された。
逃げるモノすらも追い、人間達は笑いながら、楽しそうに殺していった。
半日もしない内に村は壊滅した。
そこら中に死体が転がり、真っ赤な血が飛び散っていた。
人間は次々とやってきてその土地に新しい村を作った。
「……それがこの辺りってわけ。どう? 怖い?」
「……怖いもなにも、この話はまだ終わってないだろ? それだけなら伝説にはならないからな」
「さすがだね、双夜君。そう、この話はまだ続くのよ」