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2021年12月21日放送 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#15 大掃除

掲載日:2023/10/24


 サクソフォン奏者八巻和行(やまきかずゆき)さんのラジオ番組

 こうのすFM フラワーラジオ

 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)

   八巻和行の七転び八巻

 

 というラジオ番組の投稿コーナー

  妄想【愛の劇場】

 毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。


 小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。

 そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。


 妄想【愛の劇場】のコーナーで、絶賛!妄想仲間を募集中!! 

 こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです! 

 《番組への参加方法》

 ①フラワーラジオが聴けるように、ListenRadio(リスラジ)のアプリをダウンロード

 フラワーラジオを選局して、お気に入り登録

 ②パーソナリティ八巻さんのX(旧Twitter)をフォロー

 ③毎週日曜日の夜に、八巻さんのX(旧Twitter)から【作品のテーマ】が発表

 ④八巻さんのX(旧Twitter)のダイレクトメールから投稿

 ※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。

 ※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。


 小説の書き方を意識しながら文字おこしをしています。

 文章はできるだけ、投稿当時のままにしています。

 言葉が二重になるのが気になるところは、手直しをしています。


 サイト投稿回数 第15回目の今回は………

 2021年12月21日放送。

 妄想【愛の劇場】#15 大掃除


 芯から体が冷える夜が続く、本格的に迎える冬。

 年末にさしかかる今日(こんにち)、八巻(やまき)も少なからず忙しい毎日を過ごしていた。

 去年の今頃は、街のイルミネーションに元恋人の奏(かなで)と心躍らせていた事を思い出す。

 今年の八巻にはクリスマスは無い。

 街の賑やかな声に耳を塞ぐようにして、八巻は部屋のいたる所にある元恋人の残り香(が)を片付ける決意をした。

 洗面所の歯磨きや歯磨き粉。

 奏がお気に入りだった、ピンク色のヘアブラシ。

 “すみっコぐらし”のフェイスタオル。

 今まで楽しかった色々な思い出を思い出さないように、八巻は平静(へいせい)を装ってゴミ袋にそれらを詰め込んでいく。

 ピンポーン!

 ドアホンの音が鳴った。

 ドアホンの液晶を覗き込むと、歳の離れた双子の妹香央里(かおり)とナナヨの顔があった。

「厄介なのが来たな」

 八巻は部屋のドアの鍵を開けた。


「メリー・クリスマス!アニキ!」

 リビングのドアを開けるなり、高らかに声を上げたのは香央里だった。

 パーン!パーン!!パーン!!!

 その声が合図なのか、ナナヨは手にしていた3個のクラッカーを鳴らした。

 ナナヨはケラケラ笑いながら、香央里と一緒にリビングの奥へと入ってきた。

 クラッカーの紙の残骸(ざんがい)が、リビングの入り口に散乱している。

 八巻はひとつため息をついた。

「どうしたんだ、アニキ?元気ないじゃん」

「クリスマスだよ!お兄ちゃん!プレゼントちょうだい!」

 二人共に満面の笑みで両手を開き、八巻にプレゼントの催促をする。その姿を可愛らしいと思う反面、今は少し煩(わずら)わしいと感じる。

「この袋なぁに?」

 ナナヨは八巻が左手で持っていたゴミ袋を奪った。

「奏の荷物だよ。捨てようと思って」

「お兄ちゃん……」

 ナナヨは寂しそうに言葉をもらした。

「分別しなきゃだめだよっ!」

 そして、強く八巻に言葉を投げた。

「お兄ちゃんのこういうガサツなところが、奏さんが嫌いに思うところじゃないの?」

 ナナヨは袋の中身を分別し始めた。

「アニキ、本当に別れたの?」

 香央里は確認するように八巻に聞いた。

「好きな人ができたなら、仕方がないだろう」

 八巻は感情を表に出さないように答えた。

 上手く奏への未練を殺せただろうか……。

「いい人だからね。モテるだろうし、奏さんがアニキに固執(こしつ)する必要ないよね」

 香央里は八巻の反応に、つまらない男だなといった表情で答えた。

 奏がモテる事は、香央里よりも知っている。

 男達が親しくなりたいと奏に声をかけては、屈託(くったく)のない笑顔でやり過ごされる。

 それは、常(つね)に前(ま)の当(あ)たりにしてきた光景だ。

 八巻も彼女に好意を持っていた。

 その彼女と何故か交際することになった。

 有頂天(うちょうてん)になった。

 八巻は常に彼女の事を考えていた。

 八巻は常に彼女の側(そば)に居たいと思った。

 八巻は彼女の側に居れば、ただそれだけで想いが通じ合っていると信じていた。

 しかし、そうではなかった。

 奏が理解しようと努力してくれたから、お互いに想いが通じていると錯覚(さっかく)していたのだ。

 少しくらい感情的になっても、奏なら理解してくれて当然だと、自惚(うぬぼ)れていたのだ。

 奏に対しては、未練しかない。

 奏ほどの女性は、これからも現れないだろう。


「ねえ、これも全部捨てちゃうの?」

 ナナヨの声のする方へ八巻は視線を移す。

 奏の好きなアイドルのCDが並んでいるCDラックを、ナナヨは指さしていた。

 八巻の趣味ではなかった。奏との出会いでその世界を親しむようになった。

 アイドルだけではない。ドラマに映画、小説にファンシーグッズ。

 妹たちの知る『女の子の世界』とはまた違った『女の子の世界』を知る事もできた。

 もちろん、八巻の理解できるものと、理解できないものとがあるけれど。

 奏とそれらを楽しむ時間は、かけがえのない時間だった。

「CDはそのままでいいよ」

「ふうん……」

 気のない返事を返してきたナナヨは、CDラックの隣にある写真立てに目を向けた。

「コレどうするの?」

「それは、後で片付けるよ」

 八巻は素っ気ないフリをして答えた。

「スマホの写真も消しちゃおう!」

 香央里はそう言うと、リビングのテーブルに置いてあったスマートフォンを手に取り、暗証番号を解除しようとする。

「何でお前が暗証番号を知っているんだよ!」

 八巻は慌てて香央里の手からスマートフォンを奪う。

「アニキ、絶対に写真消さないよね」

「後でやるは、絶対にやらないってやつだよね」

「「キモイ!!!!」」

 香央里とナナヨは声を揃えた。

「元カノの写真とかずっと持ってる男、チョーキモい!!」

 ナナヨは強い拒否反応を示した。

「アニキは奏さんに未練があるって事よ。だから、すぐに写真を捨てられないんでしょう?」

 落ち着いて話す香央里の言葉に、ナナヨが続けた。

「やっぱ、キモいって事じゃん!!」

 ナナヨは兄に対しての拒否反応を止(や)めない。

「アニキはどうしたいの?奏さんの事、嫌いなの?」

 八巻は答えずに香央里を見ていた。

「奏さんとやり直したいと思わないの?」

 香央里の言葉に、八巻は返す言葉が出てこなかった。


 奏の幸せを考えれば、この前紹介された五郎(ごろう)という、誠実そうな男と一緒になるのが良(い)いのかもしれない。

 奏の幸せを考えれば、俺と一緒に居る事の方が本当は幸せなのかもしれない。

 奏の幸せを考えれば、誰が奏の側に居る事が正解なのだろうか。

 八巻にはすぐに答えが出せなかった。


 しかし、八巻にはただ一つだけ正解を導き出す事ができた。

 八巻自身の幸せは、奏の側に居たい。

 ただ、それだけだという事。


 俺は奏とやり直したい。

 今もまだ、奏の心に俺はいるのだろうか。

 八巻は、奏へ連絡をするべきか悩んでいた。

 それと同時に、妹たちに促されて行動を起こそうかと考えいる事に、少し癪(しゃく)だなとも思っていた。


 スマートフォンを握りしめて、写真立ての中で笑う奏を見つめながら、八巻はそんな事を考えていた。


 ありがとうございました。

 次回もラジオ番組の投稿コーナー

 妄想【愛の劇場】へ投稿した作品の投稿になります。


 妄想【愛の劇場】#16「アルバム」

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