2021年12月21日放送 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#15 大掃除
サクソフォン奏者八巻和行さんのラジオ番組
こうのすFM フラワーラジオ
フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)
八巻和行の七転び八巻
というラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】
毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。
小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。
そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。
妄想【愛の劇場】のコーナーで、絶賛!妄想仲間を募集中!!
こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです!
《番組への参加方法》
①フラワーラジオが聴けるように、ListenRadioのアプリをダウンロード
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②パーソナリティ八巻さんのX(旧Twitter)をフォロー
③毎週日曜日の夜に、八巻さんのX(旧Twitter)から【作品のテーマ】が発表
④八巻さんのX(旧Twitter)のダイレクトメールから投稿
※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。
※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。
小説の書き方を意識しながら文字おこしをしています。
文章はできるだけ、投稿当時のままにしています。
言葉が二重になるのが気になるところは、手直しをしています。
サイト投稿回数 第15回目の今回は………
2021年12月21日放送。
妄想【愛の劇場】#15 大掃除
芯から体が冷える夜が続く、本格的に迎える冬。
年末にさしかかる今日、八巻も少なからず忙しい毎日を過ごしていた。
去年の今頃は、街のイルミネーションに元恋人の奏と心躍らせていた事を思い出す。
今年の八巻にはクリスマスは無い。
街の賑やかな声に耳を塞ぐようにして、八巻は部屋のいたる所にある元恋人の残り香を片付ける決意をした。
洗面所の歯磨きや歯磨き粉。
奏がお気に入りだった、ピンク色のヘアブラシ。
“すみっコぐらし”のフェイスタオル。
今まで楽しかった色々な思い出を思い出さないように、八巻は平静を装ってゴミ袋にそれらを詰め込んでいく。
ピンポーン!
ドアホンの音が鳴った。
ドアホンの液晶を覗き込むと、歳の離れた双子の妹香央里とナナヨの顔があった。
「厄介なのが来たな」
八巻は部屋のドアの鍵を開けた。
「メリー・クリスマス!アニキ!」
リビングのドアを開けるなり、高らかに声を上げたのは香央里だった。
パーン!パーン!!パーン!!!
その声が合図なのか、ナナヨは手にしていた3個のクラッカーを鳴らした。
ナナヨはケラケラ笑いながら、香央里と一緒にリビングの奥へと入ってきた。
クラッカーの紙の残骸が、リビングの入り口に散乱している。
八巻はひとつため息をついた。
「どうしたんだ、アニキ?元気ないじゃん」
「クリスマスだよ!お兄ちゃん!プレゼントちょうだい!」
二人共に満面の笑みで両手を開き、八巻にプレゼントの催促をする。その姿を可愛らしいと思う反面、今は少し煩わしいと感じる。
「この袋なぁに?」
ナナヨは八巻が左手で持っていたゴミ袋を奪った。
「奏の荷物だよ。捨てようと思って」
「お兄ちゃん……」
ナナヨは寂しそうに言葉をもらした。
「分別しなきゃだめだよっ!」
そして、強く八巻に言葉を投げた。
「お兄ちゃんのこういうガサツなところが、奏さんが嫌いに思うところじゃないの?」
ナナヨは袋の中身を分別し始めた。
「アニキ、本当に別れたの?」
香央里は確認するように八巻に聞いた。
「好きな人ができたなら、仕方がないだろう」
八巻は感情を表に出さないように答えた。
上手く奏への未練を殺せただろうか……。
「いい人だからね。モテるだろうし、奏さんがアニキに固執する必要ないよね」
香央里は八巻の反応に、つまらない男だなといった表情で答えた。
奏がモテる事は、香央里よりも知っている。
男達が親しくなりたいと奏に声をかけては、屈託のない笑顔でやり過ごされる。
それは、常に前の当たりにしてきた光景だ。
八巻も彼女に好意を持っていた。
その彼女と何故か交際することになった。
有頂天になった。
八巻は常に彼女の事を考えていた。
八巻は常に彼女の側に居たいと思った。
八巻は彼女の側に居れば、ただそれだけで想いが通じ合っていると信じていた。
しかし、そうではなかった。
奏が理解しようと努力してくれたから、お互いに想いが通じていると錯覚していたのだ。
少しくらい感情的になっても、奏なら理解してくれて当然だと、自惚れていたのだ。
奏に対しては、未練しかない。
奏ほどの女性は、これからも現れないだろう。
「ねえ、これも全部捨てちゃうの?」
ナナヨの声のする方へ八巻は視線を移す。
奏の好きなアイドルのCDが並んでいるCDラックを、ナナヨは指さしていた。
八巻の趣味ではなかった。奏との出会いでその世界を親しむようになった。
アイドルだけではない。ドラマに映画、小説にファンシーグッズ。
妹たちの知る『女の子の世界』とはまた違った『女の子の世界』を知る事もできた。
もちろん、八巻の理解できるものと、理解できないものとがあるけれど。
奏とそれらを楽しむ時間は、かけがえのない時間だった。
「CDはそのままでいいよ」
「ふうん……」
気のない返事を返してきたナナヨは、CDラックの隣にある写真立てに目を向けた。
「コレどうするの?」
「それは、後で片付けるよ」
八巻は素っ気ないフリをして答えた。
「スマホの写真も消しちゃおう!」
香央里はそう言うと、リビングのテーブルに置いてあったスマートフォンを手に取り、暗証番号を解除しようとする。
「何でお前が暗証番号を知っているんだよ!」
八巻は慌てて香央里の手からスマートフォンを奪う。
「アニキ、絶対に写真消さないよね」
「後でやるは、絶対にやらないってやつだよね」
「「キモイ!!!!」」
香央里とナナヨは声を揃えた。
「元カノの写真とかずっと持ってる男、チョーキモい!!」
ナナヨは強い拒否反応を示した。
「アニキは奏さんに未練があるって事よ。だから、すぐに写真を捨てられないんでしょう?」
落ち着いて話す香央里の言葉に、ナナヨが続けた。
「やっぱ、キモいって事じゃん!!」
ナナヨは兄に対しての拒否反応を止めない。
「アニキはどうしたいの?奏さんの事、嫌いなの?」
八巻は答えずに香央里を見ていた。
「奏さんとやり直したいと思わないの?」
香央里の言葉に、八巻は返す言葉が出てこなかった。
奏の幸せを考えれば、この前紹介された五郎という、誠実そうな男と一緒になるのが良いのかもしれない。
奏の幸せを考えれば、俺と一緒に居る事の方が本当は幸せなのかもしれない。
奏の幸せを考えれば、誰が奏の側に居る事が正解なのだろうか。
八巻にはすぐに答えが出せなかった。
しかし、八巻にはただ一つだけ正解を導き出す事ができた。
八巻自身の幸せは、奏の側に居たい。
ただ、それだけだという事。
俺は奏とやり直したい。
今もまだ、奏の心に俺はいるのだろうか。
八巻は、奏へ連絡をするべきか悩んでいた。
それと同時に、妹たちに促されて行動を起こそうかと考えいる事に、少し癪だなとも思っていた。
スマートフォンを握りしめて、写真立ての中で笑う奏を見つめながら、八巻はそんな事を考えていた。
ありがとうございました。
次回もラジオ番組の投稿コーナー
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妄想【愛の劇場】#16「アルバム」




