ひつじ雲にバッテン
ひつじ雲が流れていた。
きっとあなたは、落ち着きがなくなっていることだろう。
白がこんなに多かったら、あなたはきっと塞ぎ込んでしまう。
塞ぎ込んで、メールも電話も返してこなくなってしまう。
今日は、雲ひとつない快晴だと聞いて、会うことを決めた。
なのに、車窓の空の青は、白い雲のすき間から、僅かに覗いているだけだった。
目の前に、両手の人指し指を持っていき、ひつじ雲に重ねて、バッテンにした。
少しでも、白が消えて、青が増えるように。
でも、左の方を見ると、雲が白色でもなかった。
雨なんて降ったら、あなたと接することが困難になる。
空に向かって、願っていた。
両手をガッチリと絡ませて。
"トゥルン"
ケータイにメールが来た。
あなたからだ。