かなしからずや
掲載日:2023/01/24
「白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」
中学生の頃、国語の授業で知った短歌だ。その清冽さに心を打たれた。
歌の背景も知らず、作者も忘れてしまったというのに、海や白鳥をみると、この歌が心に浮かぶ。そしてそのたびに、美しい切なさに出あう。
一月下旬の午前八時過ぎ、職場へ急いでいると、前方上空の右から左へ、真っ白な鳥たちが渡ってきた。五羽から十羽ほどだろうか、思わず、「わぁ」と口にしていた。
それはほんの数秒のことで、振り仰げば、もう群れは遠ざかっていた。
抜けるような青空と白鳥は、ありのまま、美しかった。




