物語がはじまる
僕の名前は、吉田武志。一流まではいかない、そこそこの4年生大学社会学部に入学。安定した仕事がいいかなと、公務員を目指す。地方公務員合格講座をとって、就職のための勉強をそこそこ頑張った。国家や県の試験はあっさり一次試験で敗退したものの、地元の公務員試験は、運よく合格できて、桜散って葉桜になりそうな4月1日、入職したのであった。
2週間の研修期間を経て配属されたのは、社会福祉課の生活支援係。生活保護のケースワーカー。社会学部であって社会福祉を学んだわけではない。資格だってない。確かに、社会福祉入門的な単位は、取得した。テストも過去問もらえれば余裕、出席もとらない授業だったから。そんな裏事情はいっていない。あ、面接の時いっちゃったか、言ったかも。福祉に興味があるとかなんとか。「高齢者だけでなく、低所得な人や子ども、母子家庭や父子家庭そうした社会的に弱者になるような人への支援をしたくて試験を受験しました。」これ、このセリフか。これがあったから受かったのかもしれないが、これがあったからこの仕事なのか。て、生活保護って、働けないとかで税金もらって生活しているってことだよね。よくわからないぞ。
「研修がおわり、今日から配属されました吉田武志です。社会学を学んでいて福祉について、この仕事については、全くわからないですが、一生懸命頑張りたいと思いますのでよろしくお願いします。」
「同じく、今日から配属されました赤井夏芽です。福祉職です。仕事についてはわからないのでご迷惑をおかけすることもあるかとは思いますが、学んだ知識を生かしていけるように頑張りたいと思っていますので、よろしくお願いします」
同じ課の新人は二人。僕は生活保護のワーカーであるが、赤井さんは生活保護の初期相談を受ける担当になるという。初期相談とワーカーとどこが違うんだろう。ところで生活保護ってどんなん?僕は何すればよい感じ?てか、赤井さん福祉詳しそうだし、真面目そう。顔は可愛いよりは綺麗系かなあ。でも好みではないかなあ。
僕の担当課での業務の始まりは、こんないい加減な感じからだったのであった。