第ニ話 『死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ』
視界のウィンドウに"感想の獲得に失敗しました"と出る。
「結局感想は来なかったみたいだな」
そりゃそうだ、読み直してみると、最後らへんに俺の本心が文字起こしされてる。これもう俺が舐め腐ってるの隠せないな。心が広いオタクに期待するしかない。
そういえばなろうの小説ってほとんどが埋もれるんだっけ。当分は無能力者であることを前提に生きた方がいいな。
「さて、これからどう動くべきか…」
常識的にいけば草原を直進なんだよな。森も山も洞窟も明らかに人気はないし。
けど、普通に草原進んでも小説的には面白くないんだよな。イベントがなさそう。
小説的につまらないとせっかくの能力が活かせない。なんせ閲覧数が伸びないからな。ただ普通に飯食って寝るだけの小説なんて誰が見たがる。
「よし、決めた」
洞窟にしよう。確実に最も死に近い選択肢だけど、小説的には面白いだろ。
しばらく歩き、俺は洞窟に入っていった。なんか入口らへんに赤い文字の看板が立ててあったけど、異世界の文字読めねーし無視した。たぶん危険を知らせてんのかな?いいねいいね、緩やかに自殺してるよー。感想付けー。
灯りはないはずなのに、何故か中は明るい。異世界だと世界の構成がまず違うのかな。
…それにしても随分と広いな。道も入り乱れてるし。足元も別に舗装されてるわけじゃないから、気を抜けばコケそうだな。
「ギチギチッ」
変な音が背後から聞こえ、俺はバッと後ろを振り返る。
ゆっくりと足元に群がる、直径30センチほどの蟲が10匹。蟻とダンゴムシのハーフのような見た目をしている。
「うおっ!!!」
キッッショ!!!!!!!
俺はその場から即座に走り出す。背後からギチギチッギチギチッっとひっきりなしに音が聞こえる。
「これ絶対追いかけてきてんじゃん!!」
俺マジで蟲とか苦手なのに!!!死ね!!!!
しばらく走ると目の前に階段が見え、俺は速攻で下る。すると蟲の足音は聞こえなくなった。
「階段より先には来れないのか…?」
階段を下りきると開けた場所に出た。俺はそのまま先に進む。
しばらく進むと行き止まりに当たった。
「ありゃ…戻るか」
俺は振り返る。そして歩こうとするが、ドス、と目の前のものにぶつかる。なんかふさふさする。少し後退して目の前を確認する。
赤い眼が、こちらを見据えている。俺の身長の二倍ほどだろうか、黒い狼のような生物がグルルル…と涎を垂らしていた。
なるほど、これは絶対絶命というやつか。
逃げ場ねーし。詰んだか。
「………ダメ元で能力発動してみるか」
どうせ死ぬ。
それなら、死ぬ前に藁にでも縋っておこう。
感想を貰うためにこんな危険な洞窟に潜ったんだし、きっと来るはずだろ。
「能力発動…!!!」




