5.リヒトの行方
【あらすじ】
いつも通りのアーフルに戻り、リミとキリヤは安心した表情を浮かべ、みんなで学校へ行った。
教師ヴェントが歴史について教え、アーフルはまたもリナリアに振られた。
そして全員が大広場へ集まり、実技の授業が始まった。
「そういえば、リヒトはどこにいるんだ、ずっとみてねぇし」
アーフルはリヒトが授業の開始からいなくて心配している様子だった。
教師ヴェントが生徒全員の前に立ち話し始めた。
「お前たちに教える人たちを紹介する」
そうするとアーフルたちの目の前に若い騎士たちが現れ、自己紹介を始めた。
「僕はツツジっていいます、よろしくお願いします」
「俺はカガトだ、よろしく」
「わたしは、ササコ、よろしく」
誠実そうな男性がツツジ。
荒っぽい男性がカガト。
面倒くさそうにしている女性がササコだ。
ヴェントが言うには実力テストを基準として、騎士の中から教える人を決めているといい、グループ分けを始めた。
アーフルとキリヤと欠席のリヒトはカガトになり。
リミとエリナとビータとシスオの三人衆はササコになり。
そのほかの生徒たちはツツジが教えることになった。
アーフルとキリヤはカガトの所に集まり話を聞いていた。
「基本はできてるっていわれたから、実戦形式でやるぞ」
そういうとカガトがいきなり攻撃を仕掛けてきたので、アーフルとキリヤは避け、焦った表情でこういった。
「なにすんだよ、いきなり」
「なにするんですか」
「よし、剣を持て、始めるぞ」
アーフルはなぜこんな事をしたのか聞いたら、実力を試すためといわれ、唖然とした表情だったが、なんとなく納得して剣を持ち、カガトとの天授を使わない実戦形式の授業が始まった。
一方その頃リミたちはというとササコに教えられていた。
内容はというと、リミは天授がうまくコントロールてぎてないので、できるように教えてもらっていた。
エリナ、ビータ、シスオの三人衆は、天授を使える素質があるので、使えるように基礎を教えている。
一方、ツツジのグループは基本となる天力の使い方や武器の使い方を教えていた。
そして授業は終わり、教室に戻って帰りの準備をしていると、教師ヴェントが教壇に立ち喋り始めた。
「リヒトは来週まで休むことになったので、心配のないように」
アーフルの心配に思い、真剣な顔になっていたら、リミとキリヤが大丈夫と言ったので、心配をかけないように返事をして、一緒に帰る約束だったので帰ろうとしたら、リミがもう一つの約束を言ってきた。
「これから秘密基地に行くわよ」
「え? なんで?」
アーフルは疑問に思ったが、リミが言うには初投稿の日に、みんなで行くと約束していたと言った。
色々なことがあったアーフルは忘れていてたが、リミとキリヤに言われ森の奥にある小さな小屋の秘密基地へ行った。
「久しぶりだな」
「六年ぶりだっけ」
「懐かしいね」
アーフルとリミとキリヤは懐かしい気持ちになり、リミが昔の話を始めた。
「ここから始まったんだよね」
アーフルとリミとキリヤは秘密基地でよく遊んでいたが、来なくなったのは理由があった。
子供の頃アーフルたちはいつも通り遊んでいたが、キリヤが迷子になり、夜がふけてきた頃にキリヤを見つけたが、怯えている様子だった。
キリヤの目の前には人の姿をした魔物がいて、アーフルたちは助けにいった。
その時に勇者の力を使って倒したものの、その力をリミとキリヤ見られてしまったので、一緒に騎士を目指そうとなった。
「あん時だよな、キリヤが夜が怖くて、一人で出歩けなくなったの」
「もう、僕だって克服しようと、頑張ってるんだよ」
「ふふっ」
「「ははっ」」
アーフルたちは笑いながら、色々なことがあったなと昔話に花を咲かせ、そろそろ帰る時間になってくるとリミがなにかを思い出し、秘密基地の片隅にある箱を持ってきた。
「これ覚えてる」
リミが持ってきたのは、騎士になった時にみんなで開ける約束をして置いてきた箱だった。
中身は古い本やみんなで撮った写真やメッセージなどが入っていた。
それを見てさらに懐かしい気持ちになり、次に開けるのは立派な騎士になった時と約束をし、秘密基地の外へ出て帰っていた。
その時、秘密基地の方から大きな爆発が聞こえて、アーフルたちは慌てて戻ると、そこには人型の魔物がいた。
「誰だ、おまえは!」
アーフルは怒りと疑問の感情が表情に出ていた。
魔物が言うには、ただの気分転換だといい、そしてアーフルたちを見つけたことは魔物にとっては、いい気分転換の相手が現れたと楽しそうな顔をしていた。
「楽しませてくれよ!」
魔物はいきなり襲ってきたが、アーフルたちは避けて反撃の体制に入り、アーフルが剣を生み出して戦闘が始まった。
アーフルたちと魔物の力は互角で、なかなか決着がつかず、キリヤがある作戦を立てた。
「僕が敵を引きつけるから、リミとアーフルは一気にやって!」
「「わかった!」」
キリヤが気配がある分身の天授を使い、魔物がキリヤに翻弄されてる時に、アーフルは力を貯め、リミは全身を雷で纏い、一斉に攻撃を仕掛けて魔物は消し飛んでいった。
「やったのか?」
「やったみたいだね」
「うん」
リミとキリヤは安心した表情で倒れ込んでいたが、アーフルは疑問に思ったことがあった。
それは魔物がやられる時に、不敵な笑みを浮かべていたことだが、気にすることはないだろうと思い、秘密基地をみんなで片付けて家に帰った。
そして騎士学校へ行って授業を受ける日々が始まり、リヒトがやってくる一週間後に時はうつる。
「今日はリヒトがやってくる日だな」
教室で席に座っているアーフルはそう呟き、リヒトが教室に入ってきたが何事もなく授業は進み、アーフルが帰る準備をしていると、リヒトが目の前に立ち話しかけてきた。
「アーフル、僕とまた闘ってくれないか、この一週間なにをしていても君だけのことを考えていた、だから」
「もう俺は、お前とは闘わない」
「それはどういうことだ!」
アーフルは荷物を持ち、リヒトの前から立ち去り、教室のドアを閉めて、リヒトの目を見ずに帰っていった。
「アーフル!」
リヒトは叫び、何故闘わないのかと疑問に思い立ちすくんでいた。
リミとキリヤは廊下で待っていたが、アーフルが真剣な顔で教室から出てきたのを心配に思い、話しかけにいった。
「なにがあったの?」
「いや、なんにも」
リミは疑問を投げかけたが、アーフルは空返事で答えて家へ勝った。
そして次の日に学校へ行くとリヒトの姿はなく、教師ヴェントから衝撃の一言が発せられた。
「リヒトは転校することになり、今日から来なくなったのでよろしく」
アーフルは少し戸惑いがあったが、これで良かったのかもしれないと、心を押し殺して授業を聞き始めた。
そしてリヒトがいなくなって、いつも通り授業を受ける日々が数週間のほど経ち、ヴェントが教壇に立ち、全員へ向けて言葉を発した。
「数日後、強化合宿へ行くので、全員は必要な物の準備は忘れないように」
アーフルはわくわくしていた、どんなことが待っているのか、内容はなんなのか期待に胸を馳せ、合宿当日の朝を迎えたのだった。