4.騎士学校生活、開始!
【あらすじ】
アーフルとリヒトの決闘は、アーフルの勝利に終わった。
その闘いは両者にとって、人生を左右する一戦になったのだろう。
そしてアーフルの騎士学校生活が始まるのだった。
「おい! アーフル、これ持ってけ」
「こんないいものを! ありがと、おっちゃん」
昨日のアーフルを見た、果実屋の店主が心配に思ったのか、店で一番いい果物を渡した。
アーフルは果物を貰い、走って学校へ行く途中、リミとキリヤが一緒に歩いてのを見たので、喋りかけに行った。
「リミ、キリヤ、おはよう!」
それを見たリミとキリヤは、あっけに取られていた。
しかし、いつも通りのアーフルになったんだと、安心した表情で喋りはじめた。
「もう、急に帰って心配したのよ」
「ごめん、ごめん」
「今日はみんなで一緒に帰るよ」
そんなたわいもない会話をしながら、学校へ向かっていった。
騎士学校に着き、廊下を歩いていると誰かが喋りかけてきた。
「昨日、なにかあったん?」
アーフルたちは声のするほうを見ると、そこには大聖堂で不思議な少女リナリアと一緒にいた、狐目の少年ソウだった。
「え?」
「いやー、昨日は驚いたよ、アーフルくんって、すごい力持ってるんだね」
「あ、うん」
アーフルは少し戸惑い、空返事をしていた。
ソウが言うには、カランと一緒に学校へ帰り着くと、大広場でアーフルとリヒトが決闘しているのを見たらしい。
それで暗い雰囲気になっているのを見て、元気づけようと、喋りかけたのだという。
ソウが喋っていると、ソウの肩を誰かが叩いてきた。
「ソウ、なにやってるの!」
「いやー、元気づけようと」
「いいから行くよ!」
「それじゃあ、アーフルくん、また」
カランに引きづられながら、ソウは笑顔で去っていった。
アーフルたちはポカンとしながら、見ていた。
「あいつ、なんだったんだ?」
「いい人? なんじゃない」
「そうか」
アーフルは疑問に思ったが、キリヤに言われた一言に納得して、教室へ向かった。
教室について数分が経ち、教師のヴェントが教壇に立って授業を始めた。
「まずは、歴史について、知ってもらう」
ヴェントは喋り始めた。
その昔、魔と人は共存し豊かに暮らしていたと言う。
しかし、一人の魔族、後の魔王により侵略が開始された。
この世界の全ては醜く残酷であるため、全ての生物を滅し、一からやり直せば理想とする世界が作られる、という理由だった。
一度、人間側は和平を持ち掛けにいったが、それを断られ戦争へと発展していった。
その時作られたのが、六天騎士や鋭天騎士の始祖である、神聖騎士である。
そして多くの犠牲を払い、魔王はいなくなり、人間側の一時的な勝利となった。
だが、戦いは終わってなく、今でも続いているのため、きみたちはここにいるのだという。
「次は、神聖騎士がなぜ、六天や鋭天になったのか話そう」
もともと騎士はあったが戦う必要がほぼないため、名前だけがある状態だった。
しかし戦争が始まると、強いものを集めるために、神聖騎士と名前をつけ、各国に呼びかけたという。
戦争も落ち着き、神聖騎士の中で功績を残した騎士を讃えるために、名前がつけられた。
六天になったのは、もっとも功績を残したのが六人だったからだという。
鋭天になったのは、一生懸命頑張りこれからに励むことを望むため作られものだという。
そして、鋭天は二年間の騎士学校の卒業して年一回行われる試験により決められ、六天は五年に一回、挑戦ができるのだという。
「最後に、それぞれの国について話そう」
まずはアーフルたちが住んでいる国エレメンタリオについてだ、あらゆる国の中心にあるエレメンタリオは、一番栄えていて全ての始まりだといわれている。
そのため、大きな行事がある時は、真っ先に集まる場所だという。
つぎは南の国シーオーシャンについてだ。
この国は海が広がっていて、水が綺麗で高級品として売り出されるほどだ。
それだけではなく、景色もよく料理も絶品揃いで、スープや飲み物は世界一だとされている。
つぎは北の国ヒトレアルについてだ。
この国は山々に囲われており、一番活気盛んで、武器や防具を作らせたら一流だという。
少し気温が高く暮らすには、ちょっと難点があるが、熱い料理を作らせたら右に出る者はいないといないといわれている。
つぎは東の国エニヒースについてだ。
この国は一番平和で魔物の侵入がなく、誰もが暮らしたい国だという。
だが、住める人数が限られているため、今は誰も移住できない状態になっている。
料理は高級嗜好の物が多く、美味いが高い、というちょっとした難点があるといわれている。
つぎは西の国…………
「アーフル、起きて!」
「母さん、もうちょっと」
「だれが母さんよ、起きなさい!」
「お、リミどうしたんだ?」
アーフルは寝ぼけて状況がつかめていなかった。
リミに説明されて、授業が終わったのと、これから昼飯だと言われて、アーフルは飛び起きリミとキリヤと一緒に食堂に行く途中、リナリアが歩いていた。
「なぁ、一緒に昼飯たべないか?」
「わたしは、いい」
アーフルはまたも振られてしまった。
それをみたリミはキリヤに疑問を投げかけた。
「だれあの子?」
「きのう大聖堂に行った時に、いた女の子、名前はリナリアだっけ」
「ふーん」
リミは不機嫌な顔をして答えた。
昼食を済ませて、つぎの授業である実技が始まるのだった。