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10.強化合宿の意味

【あらすじ】

アーフルたちは敵を全員倒したと思ったら、婆さんと爺さんが現れて小屋に行くように言われ、そこにはキリヤたちもいたが、婆さんたちにすぐに小屋に帰れと言われたのであった。

そして強化合宿八日目の朝がやってきて、ヴェントが生徒たちを広い敷地に呼び出して話し出した。


「今からある人を紹介する」


ヴェントの言葉とともにクマの魔物が現れて、生徒たちは警戒していたが、すぐに魔物は倒れ後ろから小屋にいた婆さんと爺さんが姿を現した。


「お初にお目にかかります、私がトメコで」


「わしがシゲハルだ」


自己紹介を終えると、今までの敵は婆さんらが全て操っていて、魔物は天力を入れることで自動で動くものだと言った。

これら全ては本当の強化合宿の前準備で、それぞれに合った敵を用意し、どう言う対応していくのかを見ていたと婆さんらは言った。

それともう一つどんな状況になろうとも、素早く対処できる能力を見ていたと言う。

そしてショウ以外の小屋へ行けた人をA班、行けてない人をB班にして分かれるように言われた。


「ビレッジはどこにいるんだい?」


婆さんが旅館の少年ビレッジを探しているようだ。

するとビレッジが旅館から出てきて、何やら言い合いを始めていた。


「えー、旅館に居るだけでよかったんじゃないの?」


「いいから、やってみなさい」


ビレッジは納得した様子で生徒たちの前に立ち、B班全員の相手をすると言っていた。

それからアーフルたちは別の敷地に行くのだが、アーフルは婆さんにビレッジで良かったのか聞いていた。


「あの子の天授てんじゅは特別でね」


ビレッジの天授てんじゅとは、あらゆる行動を分析し特有のクセなどを瞬時にわかることや、広い範囲を見渡し把握できる目だと言う。

そして別の敷地に行くと、ダンゴロとフラワーがいて本当の強化合宿が始まった。


「いまからそれぞれに合った練習方法の説明をする」


アーフルは特に欠点はないので爺さんの傀儡による百人組手。

キリヤは鈴など音の出るものを身につけ、天授てんじゅを使ってダンゴロと組手。

リミとカランは力を吸い取るリストバンドを、手と脚につけてフラワーと組手。

リナリアとヘリアは、天力てんりょくを受け付けにくい無効の石を破壊すること。

エリナは婆さんの指導のもと、天力てんりょくとはどのように使うのかを教わる。


そして練習が終わり、アーフルたちはヘトヘトで旅館に帰った。


「疲れた、死ぬ」


アーフルは今にも死にそうなほど疲れ果てていて、すぐに寝たいと思ったが、腹は減るものでキリヤとリミとリナリアを誘って食堂へ行くのだった。

そして食事が終わって、ある提案をアーフルはした。


「今からソウのところ行こうぜ」


昨日はソウを安静にしなければと言われ行けなかったので、今日は大丈夫かもしれないと思って、アーフルたちはソウのお見舞いへ行った。


「おーい、元気か……」


アーフルたちが医療室の扉を開けると、カランがソウに夕飯を食べさせていた。

ソウはこちらに気づいたのか、笑顔で喋りかけてきた。


「アーフルくんやないか」


ソウは立ち話もなんなんで、座ってから色々話そうと言ってきた。

アーフルは小屋へ行った意味や、今日の強化合宿の内容を話し、リナリアも小声だがお礼を言っていた。

ソウは気にしなくていいと、カランに食べさせられながら答えた。


「ソウ! これも食べなさい」


カランがソウの口にサラダを突きつけていた。

それを拒否するように、ソウは口を断固として開けようとはしなかったが、デザートを食べさせないと言われて、しぶしぶだがサラダを食べていた。


「苦い、ニガい、にがい」


「ほら、ご褒美のデザート」


ソウは死にそうな顔をしていたが、カランからデザートをもらい笑顔になっていた。

アーフルたちはあんまり邪魔をしてはいけないと、最後に激励の言葉をいって医療室を出た。


「俺も、食べさせてもらいたいな……、リミしてくれないか?」


アーフルはソウが少し羨ましかったのか、リミに食べさせてくれないかと質問をした。


「べつに……」


リミは顔を赤らめてモジモジしていたら、アーフルはどうかしたのかと顔を覗き込んでいた。


「何でもないわよ!」


リミは顔を背けていて、こちらを見ようとしなかった。

アーフルは断られてしまったと思い、リナリアにも同じ質問をしたら、背後から妙な気配を感じていた。


「アーフル!」


リミのいつもとは違う怒った顔に、アーフルは怒らせた理由はわからないがすぐに謝ったら、リミは部屋に戻っていった。

リナリアもいつのまにかいなくなっていて、アーフルは何が何だかわからずにいた。


「アーフル……」


いままでの会話を全て聞いていたキリヤは、アーフルの肩を軽く叩き呆れた顔をして、強化合宿八日目が終わった。


そしてソウが復活する十日目の朝がやってきた。

ソウはアーフルたちと一緒に練習する敷地へ行き、婆さんから練習内容を説明された。


「君はこの傀儡を操ってもらう」


ソウが言われたのは、糸の精密度を上げるために色々な傀儡を動かせるようにすることだ。

そしてアーフルたちの練習が始まった。


アーフルは練習に慣れてきて苦もなく百人組手をしていたら、爺さんに生成した剣を使うなと言われ、刃こぼれした剣を渡された。


「こんなんで切れるのか?」


アーフルは疑問に思い爺さんに質問をしたら、天力を入れたら切れるようにはなると言われたが、どうやってするのかが分からずにいた。


「一回見せてやる」


爺さんが刃こぼれした剣を持って、岩を一刀両断したが、剣は全く傷ついておらず、アーフルは驚いていた。

天力てんりょくを剣に入れるのは、天授てんじゅと同じで自分の心の中にある物を想像し、それを腕から手にそして剣にまで届かせ、行き渡ったと思ったら剣を振ったらできると言われた。


「わかったぜ、爺さん」


アーフルは目を閉じて剣を出した時のことを考え、天力が剣に行き渡ったと思い、剣を大きく振って岩を切ろうとした。


「あれ!?」


岩は全く傷ついてなく剣は折れていた。

アーフルはいつも通りに剣を出した時のことを想像したのに、なぜできないのかと不思議に思っていたら、爺さんが近寄り話しかけてきた。


「もしかして天力をだせないのか?」


アーフルは天力てんりょくを一回も出したことがなく、今まで剣の実力だけでやってきたと言う。

爺さんは天授てんじゅを使えるのなら、誰でも天力てんりょくはすぐに身につくと言っていたが、ごく稀に天授てんじゅのみを使える人もいるので、気にするなと慰められていた。


「ならばこの剣だな」


アーフルが持たされた剣はすごく重く天力てんりょくを使えれば軽くなると言われたが、アーフルは天力てんりょくを使えないので良い鍛錬になるからと持たされた。

そしてアーフルは重い剣を持って、爺さんによる百人組手が再開された。


キリヤたちも色々と苦労している様子で練習をしていたら、夕方になってきて一日が終わろうとしていた。

アーフルたちは旅館に戻り、初めてのアーフルたちとソウたちとリナリアの夕食が始まった。


「合宿終わったら、みんなで遊びに行かん?」


ソウはアーフルたちと仲良くなったのが嬉しかったのか、一緒に色々行ってみたいと言ってきた。

リナリア以外のみんなは嬉しそうに了承して、アーフルはとある場所行きたいと言い始めた。


「星がよく観えるいい場所があるんだ」


キリヤとリミも一緒に行ったことがあって、とてもよかったと言っていた。

ヘリアとカランは行ってみたいと言っていて、ソウは予想外の提案に驚いて理由を聞いていた。


「星を観ると落ち着くからかな、それに綺麗だろ」


ソウはなんとなく納得したのか、アーフルの提案に乗り合宿が終わったら休みの日に行こうと言っていた。

アーフルはわくわくしていたが、リナリアも一緒に行くのか気になり話しかけていた。


「リナリアも一緒に行こうぜ」


「わたしは……」


リナリアは次の言葉に詰まっていたら、アーフルはリミとか女子同士で話せるし、それにリナリアと一緒に行って星を観たいと言っていた。


「わたしは……、わたしも……、みてみたい」


リナリアの言葉に、アーフルは飛び跳ねて喜び、リミは不機嫌な顔になっていた。

夕食も終わり、温泉に行く途中にリミがアーフルに話しかけていた。


「ねぇ、アーフル」


「え、なんだ?」


「いや、なんでもない」


リミはリナリアのことを聞きたがったが、そんなことをしたら自分の気持ちまで気づかれるのかもしれないと思い踏みとどまっていた。

アーフルはなんで呼ばれた理由が知りたかったが、気に留めなかった。


そして強化合宿十日目の夜が終わった。


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