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1,アーフル誕生! 騎士学校へ行く道で出会う不思議な少女

「勝った、これでやっと、みんなと一緒に、平和に暮らせるんだ、やっと……」


「こんなところで朽ち果てるのならば、貴様も一緒にくるがよい」


 勝利したと思い油断していた勇者に、魔王は最後の一撃を放った、勇者は死んでしまった。


「俺は、死んじまったのか、やっと平和を掴んだって思ったのに、みんな、ごめんな」


 そして数百年の時が経ち、勇者の魂はある男の子に宿るのだった、それは彼にとって最善か最悪かはまだ誰も知らない。


「ここはどこなんだ、確か魔王を倒したはずじゃ、いや違うあいつの一撃で死んじまったはずじゃないのか」


「あら、目が覚めたみたいね」


 勇者にそう言いながら見つめる女性と男性がいた、

 そこにもう一人女性が入ってきて何やら話しているようだ。

 会話の中で勇者は自分の名前がアーフルであること、見つめていた女性と男性が母と父であり、名前は母がシャール、父がアフストであることがわかった。

 そして、勇者にとっては衝撃の言葉を耳にする。


「そういえば、アーフル君に騎士を目指して欲しいって言ってたけど、将来魔王なんか倒したりして」


「魔王なんて数百年も現れてないじゃないですか、でもオレとシャールの息子なら、なんてな」


「もう、あなたったら、でもアーフルが魔王も倒せるくらい強くて、立派な騎士になったらうれしいかな」


 そんなたわいもない会話の中で、魔王が数百年間いなかったという事に勇者は動揺をかくせずにいた。

 それ以外にも、勇者にとって衝撃の事実が判明することになるのだった。


「なんでオレは赤ん坊になってるんだあああ!」


 勇者の叫びは赤ん坊の声となって響いていた。

 それをみかねたシャールは赤ん坊を優しく抱きかかえ、あやしていると勇者は静かに眠りについたのだった。


 十二年の時が流れ、勇者もといアーフルは健やかに成長した。

 髪は父親に似て少し癖っ毛で顔は母親似な少年へと育ち、騎士学校へ初めて行く朝を迎えるのだった。


「アーフル起きなさい遅刻するわよ」


「なんだよ母さん、こんな朝早くに」


 アーフルは起きたが少し寝ぼけていて状況が理解できていないようだったが、すぐ事の重大さに気づき慌てて着替えをしている最中アーフルは愚痴をこぼす。


「なんでもっと早く起こしてくれなかったんだよ」


「何回も起こしたわよ、そんなこと言ってないで準備していきなさい」


 母シャールはそういい部屋を出ていった。

 アーフルは少しやってしまったかなと思ったが、そんなことを考える前に早く準備をしないと思い、早急に着替えて玄関へ向かった。


「母さん、行ってきます」


「行ってらっしゃい、今日はアーフルの大好きなハンバーグカレーだからね」


「ハンバーグカレーか、今日は一段と頑張らなくちゃ、ヤッホー!」


 アーフルは走りながら飛び跳ねて喜んでいた。

 それをみた母シャールは少し不安な顔をしていたが、自分と夫の息子だからと安心するように言い聞かせ、アーフルのために気合を入れてハンバーグカレーの準備を始めた。

 一方アーフルは全速力で騎士学校へ向かう途中、果物屋の店主が話しかけてきた。


「アーフルそんな急いでどうしたんだ?」


「今から学校があるから、じゃ」


「それならこれ食べていけよ、ほら」


「ありがとうおっちゃん」


 店主から果物を貰い走り出そうとした瞬間、何かにぶつかりそうになったが、うまく体制を変えてぶつからなったが、その何かの目の前にしりもちをついて転んでしまった。


「いってぇ〜、ごめんな急に倒れこんじまっ、えっ!?」


 アーフルは驚いた、なぜなら目の前に映ったのはアーフルが勇者だった頃の妹に顔がそっくりだったからだ、妹は髪は黒く活発な少女だった。

 だが目の前の少女は髪は白く華奢で不思議な感じがした、その少女はアーフルには目もくれず通り過ぎようとした。


「ちょっとまってくれ! イーラなのか?」


 アーフルの言葉は少女には届いていなかったのかわからないが、そのまま通りすぎていってしまった。

 しりもちをついていたアーフルは少しの間立ち上がれずにいた、それを心配におもった店主がかけより介抱してもらった後、アーフルはあることを思い出す。


「やべっ、遅刻しちまう」


 そう言いアーフルは全速力で騎士学校へ向かった。

 教室のドアがガラガラと大きな音を立ててアーフルが息をきらしながら入ってきた。


「よし、ギリギリセーフ」


「全然アウトだ」


 教壇に立っている男がそう言い放ち、早く席に座れと言われたのでアーフルは席の場所を聞いた。

 一段と二段と三段になっていて、三人が座れる長机と長椅子が九つに分けられている、ちょうど真ん中の右に座ろうとした時にある人物が視界に入った。


「おっ、リミじゃねーか、隣なんて偶然だな」


「なにが、おっ、よ、遅刻しておいてちゃんとしたらどうなの、だいたいあんたはね」


 怒りながら喋り始めた少女の名前はリミという、髪は赤く短いツインテールで体型は普通のアーフルの幼馴染である。

 なぜリミが怒っているのかというと、アーフルは大切な日になると遅れることがあるのだ、それを直してほしいと言い合っている時


「二人とも、そろそろやめたほうがいいよ、ほら先生が」


 リミの横に座っている少年が小声で二人の会話に入って喋りかけてきた。

 その少年はアーフルのもう一人の幼馴染で、名前はキリヤという、髪は青がかった黒色で体型弱々しく見え、幼馴染三人の中で一番身長が小さい。


「キリヤじゃねーか、お前も一緒の席なのか」


「それはいいから、ほら二人とも先生が」


「「えっ?」」


 アーフルとリミが同時に、キリヤが指を差した方を向くと、教壇に立っている男が鋭い眼光で二人のほうをみていた。

 それを見た二人はすぐに謝り席に座ったところで、教壇に立っている男が喋り始めた。


「21人全員集まったみたいだな、今回から君たちを教えることになったヴェントだ、突然だが全員大広場へ行け、そこで君たちの実力を見てこれからの参考にはせてもらう」



 突然言い渡された実力テストに教室の大半は困惑していた、他の大半とは違いアーフルは張り切っているが、それを見たリミがあんまり無茶をするなとアーフルに忠告をし、キリヤはアーフルらしいと思わず笑みがこぼれていた。

 そしてアーフルたちは大広場に集まり実力テストが始まるのだった。










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