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第二話 適正試験

 俺は、駅の改札を抜け、足早に動物園に向う。


しかしなんで動物園なんだ…? 飼育員でもやらされるのか? それとも売店か何かの売子か…?


言われた通り、動物園に向かっては、いるが、考えれば考えるほど、変な話だ、動物園で適性試験なんて…


そもそも面接ではなく適性試験という部分も引っかかる。


 動物園の入口に着いたところで約束通り電話をする。


『はい、美都(みと)です』


それにしてもなんて可愛らしい声なんだ、実際に顔を見てみたい……


『もしもし…?』


「あっすみません! さっき電話した相原です、動物園に着きました」


『ありがとうございます、それでは園内に入り自由に見物をしてください』


「えっ!? 自由に見物をするんですか? ただそれだけ!? 具体的になにをするとか無いんですか?」


『はい、これも適性試験の一部になるので…』


(はぁ?見物をするだけ?マジか?なんだこの適性試験、ちょっと理解に苦しむぞ…だけど、せっかくここまで来たんだ)


「でも…… わかりました、見物するだけでいいんですよね?」


俺は、半ばあきれ気味に言った。


『はい…詳細を…お話し…できず申し訳…ありません…』


あれ?

ちょっと声が震えてる? ひょっとして、美都さんもイヤイヤ電話対応させられてるのか?

こんな訳のわからない事を指示しなければならないなんて…

ちょっとかわいそう…

美都さんを困らせちゃダメだ!


「はい!ぜんぜん大丈夫です! 動物園楽しいっすもんね!」


『うふふっありがとうございます、それではよろしくお願いします』


美都さんが笑った!


 なんだか趣旨が変わってしまっているが、適性試験に受かれば美都さんに会えるかもと淡い期待をしてしまっている…

気を引き締め、チケットを買い入園する。


 この江府市動物園は、市が運営しているとても小さな動物園だ、実際に入るのは、俺が幼い頃に親に連れて来てもらった以来だ、入ってみると記憶よりもだいぶこぢんまりとしている。


平日の4時過ぎとあって、人は、ほとんどいない。


 こんなに小さな動物園だけど、しっかり猛獣も飼育されているのだ。

竹虎(たけとら)】自分の名前に【トラ】がいるせいか

小さな時からトラが好きだった。


「とりあえずトラでも見に行くか」


 小さな檻の中に退屈そうに寝転んでいるトラがいる。


「こんなに大きくてもトラもやっぱりネコなんだな」と俺はつぶやく。


『ネコナンカト、イッショニスルンジャネーヨ  バカヤロウ』


えっ!えっ!! 周りには、誰もいないのに、声が聞こ え た!

いや気のせいだろ、空耳だと信じたい…


気付くとトラがこちらを見つめている、というか睨まれているのか…?


『ナンダヨ、モンクデモアルノカ?』


はい決定!

俺は頭がおかしくなっちまった!!

ヤバい!ヤバい!ヤバいっ!

慌てふためいていると。


また声が聞こえる


『キコエテイルンダロ? アタマガオカシクナッタンジャネーヨ、シンパイスルナ』


へっ!?やっぱり!しっかり聞こえる。

しかもクリアに、幻聴にしては、クリア過ぎるというか聴いているのではなく、感じていると言った方が正しいのか?


俺は恐る恐る聞いてみる


「お前が話しているのか?」


『オマエジャネーヨ、【シンゲン】ダ、オレニモナマエガアル』


「ごめんごめん、シンゲンが話しているのか?」


『ソノトオリダ ナンドモイワセルナ』


「そっそうなんだね…へぇー…まいったな…」


でも何で急に動物の声が聞こえるようになってしまったんだ??

うちにもイヌは、いるが声が聞こえた事は1度もないぞ?

パニックになりそうだ。


『オイ?キコエテいるのか?』


「えっ?はい?」


()()()()


「なんて?」


『ダカラ、ゴウカクダ』


ピロリロリン〜♪ピロリロリン〜♪


突然スマホの着信音が鳴る。


美都さんからだ。


「はいもしもし」


『おめでとうございます、合格したみたいですね!』


「はい…って なんで知ってるんですか??」


『詳しい事は研究所でお話ししますので、お時間があるなら今からお越しいただきたいのですが』


とにかく、この不思議な状況を、なんとか整理したいので、もちろん行く事にする。


「はい、俺も聞きたい事が渋滞してるので…」


『では、後ほど住所を送りますので、よろしくお願いします』


「はいわかりました、それではまた」


ツーツーツー


電話を切ってしばらく呆然としてしまっていると


ピロリン♪


住所が送られて来た、そこには【美都研究所】と書かれている、高校からさほど離れていない場所だ、また戻るのか…



『オイ、ハヤクイケヨ』シンゲンが言った。

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