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「昨日の夜さ、


彼女から電話があってさ。


あの黄金のセリフ


「仕事と私どっちが大事なの?!」


をやられたわけよ。」




「おおおお〜。それはすごい。」



「俺も酔ってたし、


昨日、おっさん連中の相手で

疲れてたのもあって



選べないだろそんなの。

職場の飲み会だって立派な仕事だよ


ってキレちゃってさー。」




「やらかしましたね〜。」





はーーーあ。


と、深くため息をつく香坂は

きっと今の彼女のことが


心から好きなんだろうなあ。



しっかりとお互いを

向き合って喧嘩ができてる。



なんだかそれがとても

羨ましい気がして。





「それで電話切っちゃったんですか?」



「そうそう。


まあ向こう泣いてたし。

俺、気付いたら寝落ちしてるし。


最悪だよなー。


でもなんとなく謝罪電話もしづらくて。


現実逃避のため職場へ逃亡ってわけよ。」







「今の彼女、長いんでしたっけ?」



「いや、、、実は3ヶ月。」




「はあ?!

馬鹿みたいに何しても

楽しい時期じゃないっすか!」




いつもなんとなく

彼女が途切れない気がしていたが


さては私が思っている以上に


この人、モテるんだろうか。






身長もそこそこ高く、

鼻筋も綺麗で


服のセンスも


嫌味じゃなく

オシャレで落ち着いてて。


話も楽しくて。


独身。



まあ、モテない要素がない男なのか。





「なんか、、、


結婚までは遠そうですね。ふっ」



思わず乾いた笑いを

こぼしてしまった。



「なんか嫌味100パーだな、おい。」



「まあ今回の子は、結婚はないなぁ。」



「なんかそれ毎回聞く気がきますけど。」



「そういう冬野はどうなんだよ。」





「えっ、、いや」




今、このタイミングで


どうやっても聞かないで欲しかった。






結婚、









「うーーーん。


なんか今の関係で満足なんですよねぇ」




「同棲かー。


でも女子って早く

結婚したいもんじゃねーのか?」



「それセクハラ発言っすよ。


私は子供欲しい願望もないし


むしろ束縛されるの嫌だし



むずかしいっすねー。ほんとに。」






「実感がすごいな。」



メインの油淋鶏と、

豚キムチ、

麻婆茄子が届き


酒の量も進む。







「そういやさー、

お前不倫とか気をつけろよ。」



「ふぁっ?!、、、ゲホッ


いや、私、独身ですけど」





油淋鶏を勢いよく口に入れた瞬間に


凄まじいワードを振られ、

思わずむせてしまった。





「大丈夫か?!」



「げほっ、いや、変なこと言わないでくださいよ。急に。」




「いやお前は独身だけどさ。ほら。」


「ほらってなんすか。」




その先をどうか、


どうか言わないで欲しい。





「俺さ、昨日一次会の途中から


おじさん達のとこから抜けられて

春田の横だったんだけど、


あいつ酔っ払って

まじでお前のこと好きっす〜


みたいなのを

ずーっと皆んなにヘラヘラやってたぞ?」



「自分で言うのもなんですけど、、

いつものことじゃないですか。」





「まあそうだけどさ、


というかまあ冬野に限って

大丈夫だとは思うけど


もし本気で付き合うとかになったら

不利なのどうやってもお前だろ?



絶対、手出しちゃだめだかんな。



なんか、珍しく上司みたいなこと言っちゃったな。」





真剣な瞳で語る香坂に

これまでの6年間の絆は伊達じゃないと

そう、思わされる。


きっと、私の些細な変化に

この人が1番機敏に、、もしくは

野生の勘的に

かんずいてたいるのだ。


なにがなんでも、

私はこれ以上進むつもりもないし


一ミリでも勘付かせたくない。





「たしかに。

珍しく実感こもってますね。


さては経験者ですか?」




香坂に話題をふろうと

軽く言ったつもりが、




「まあな。」



と、神妙な顔で

ビールの残りを一気に飲みほす。



「え?!」





「まあ、生きてりゃ色々あるっしょー!」






少し遠い目をして、

切ない顔を浮かべるその顔は


確実にだれか


忘れられない誰かを

脳内に思い描いているようで。





どうしても







どうしても、

聞かずにはいられなかった。





「両思いになったんですか?」







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