狂った花びら。
触手のように求めている。
明るい陽射しに恋い焦がれて。
ただの自由研究の材料であったのだろうか。
「じゃあ、皆さん。 毎日記録をつけてくださいね~」
「「「 は~~~い♪ 」」」
先生の言い付け通りに鉢に植え付け、何処までも延びて良いように長い棒をあしらった。
夏休みの課題。 朝顔の記録。
向日葵でなかっただけマシだった。
毎朝早く起きて、ただ少量の水をやるだけで良かったのだ。
そして日記には「今日も元気でした」と記せば良い。
至極、単純な毎日、作業。
済ませたあとは。
おなかが一杯になるまでたらふく飯を喰らい、幼馴染みの友人と日が暮れるまで遊んだり、一人っきりで泥団子を作るのに熱中したりする。
ただ ── 彼は違っていた。
いや、彼女と言うべきか。
色鮮やかな花を咲かせるには栄養が足りなかったのだろうか。
澄み渡る青空を鮮やかに彩る蝶の羽のように彷彿させる緑色の蔦は、まるでジャングルのように。
暗闇さえ許さないほど、全てを奪ってゆく。
1LDK、よりも豪華な屋敷。
「うぅぅぅぅぅ……」
そのなかで時折聴こえたのは、きしめく唸り声。
今もなお、ひっそりと佇む蔦葛。
窓のなかから、誰かが視ていた ──